CADオペレーターの仕事はどのような仕事なのでしょうか。
スーツを着てクライアントや設計士と打合せをして快適なオフィスで図面をパソコンで描く。
CADオペレーターはオシャレなイメージですか?
それともパソコンに向かって黙々と図面を描く地味なイメージでしょうか。
実際に12年間CADオペレーターとして建築の現場で働いてきた私が、CADオペレーターの仕事内容のリアルをお伝えします。
またCADオペレーターの仕事内容は、職場環境やCADソフトで変わりますので基本の仕事内容とあわせて解説します。
CADオペレーターの仕事内容
CADオペレーターの実際の仕事内容についてお話ししていきます。
あなたがイメージしている仕事内容と実際の仕事内容は同じなのか確認してみて下さいね。
私自身が経験した「CADオペレーターなのにこんな事もするの?」のお話もぜひ聞いてください。
設計図の作成
設計図の作成では、設計士が設計した建物などの図面を指示通りに図面に起こします。
手書きで書いたものをCAD化する場合や、設計士と共に打合せをしたり指示をもらいながらCADで描きあげていく作業です。
打合せがとても大切になってきます。
ですから、ほとんど設計打合せの場に同席することになります。
図面の修正
図面の修正はCADオペレーターの仕事内容として非常に大きな部分を占めるかもしれません。
図面と一言で言っても多くの種類があります。
平面図、天井伏図、設備図、立面図、断面図などです。
それら各図面を設計士が設計し、その図面をもとに施主様と打合せをします。
打合せで変更箇所があった場合、設計士が自ら直すこともあります。
しかし大体が設計士の指示のもとCADオペレーターが修正します。
何故かと言うと、設計士はいくつもの物件を抱えています。
打合せで変更になった全ての軽微な修正をその都度直している時間はありません。
その為、CADオペレーターが打合せでの変更の修正や軽微な修正も設計士の指示のもと早く正確に行います。
次の打合せですぐに使う場合があるのでスピード感はとても大切です。
そして、設計士と共に打合せに参加する事もあります。
打合せではその場で図面に修正場所を聞き逃さず書き込むなどの作業がとても重要になります。
図面のトレース
図面のトレースとは、古い建物などはCADデータ化されてない所もまだ多く、青焼きなどの手書きの図面をCADデータ化する仕事があります。
これは、CADオペレーターの仕事の中でも、かなりの労力と知識と正確さが必要とされる仕事です。
何もない状態から建物全体の図面のCADデータを作成することになるので一人でやるには大変な作業量です。
何名かでチームを組んで取り組むこともあります。
その後、その図面を元に改修工事などが行われる為、正確な図面が必要になります。
実際に、手書きの図面で読み取れない部分やわからない部分がある場合は、実際の建物の現場確認をする場合もあります。
基本図の作成
基本図と言ってもよくわからない思います。
基本図というのは、改修工事での全ての図面の基本になる図面の事です。
例えば店舗改装に伴いデザイン設計図を書くにあたり、店舗の面積や基本的な内装の仕様、建物ごとのルールがわかる図面の事です。
どのような設備(消防設備)が必要なのかもわかる図面です。
その店舗が建物の中にあるのかまたは路面店なのか等により什器の高さ規制があったり使える材料が決まっていたり必要な設備が変わってきます。
それらを、店舗が入る建物側の方との打合せをしながら基本図を作成していきます。
必要があれば消防署などの各関係場所に赴き、法律的に問題がないかなどの確認業務が伴う場合もあります。
建築の基本から設備まで幅広い知識が必要になります。
打合せに必要な資料作り
打合せで簡単な図面が必要とされる場合があります。
その打合せに必要な図面を依頼されて作成する仕事があります。
それは手書きであったり、エクセルなどで書かれていたり様々です。
依頼人が必要とする図面をCADに起こす事もCADオペレーターとしての重要な仕事です。
これがまた大変で、スケールアウトは当たり前だったり、文字の配置や色合い、バランス等を求められることがあります。
そして、あくまでも自分が思ったように書くのではなく依頼人の伝えたいことを図面にする事が出来るかの力量を求められます。
番外編!CADオペレーターなのにこんな事もするの?
これは、私自身が実際によく経験する事です。
参考にお話しします。
まず第一に、事務員を兼ねていることが非常に多かったです。
電話の応対や、メールのチェック、打合せにおける議事録の作成などは仕事の一部としてやる事がほとんどです。
CADオペレーターの仕事は非常に集中力が必要な仕事です。
私の場合最低でも3時間ごとに休憩をする事にしています。
気付くとあっという間に時間が経ってしまっていることも正直ありますが、休憩をしないで作業を続けるとミスが増えます。
ですから意識して休憩を取るようにしています。
休憩の間は、メールのチェックをしたり打合せ資料の整理をしたりして頭を休めます。
図面を描くことの集中力からすると休憩時間のような感覚ですよ。
打合せに来た方にお茶出しをしたりもします。
「私はそんなことをする為にCADオペレーターになったわけではありません。」
なんて、言わないでやってくださいね。
女性だからではありません。
詳しい説明は次の実際に作業をする場所の仕事内容と作業環境の違いでご説明します。
勤務する職場ごとの仕事内容と作業環境
実際に建築のCADオペレーターとして作業をする場所とはどういった環境でしょうか。
作業する場所により仕事内容や作業環境が変わって来ます。
具体的にどのように違うのか具体的にお教えします。
建築現場のプレハブなどで出来た短期の現場事務所
建築現場では、その都度プレハブなどで事務所が作られます。
その事務所は作りは簡易的でありながらCADオペレーターの仕事をするには何の問題もありません。
現場によってパソコンも用意されます。
しかし、CADオペレーターとして仕事をする場合は使い慣れた自分のパソコンがあった方がいいです。
これは、作業をする場所が変わっても言えることです。
その都度新しいパソコンを使用することは効率が良くありません。
実際に図面を描く現場が近くにあるのでいつでも実際の現場を確認出来ます。
ですから私は一番仕事がしやすいです。
この場合、設計士は近くにいません。
本社などにいて、他の物件を掛け持ちしつつ、現場事務所で打合せをする場合には来ます。
基本的には補佐ですが、打合せには設計士の代わりに出ることもあります。
現場の状況と打合せによる修正の指示をもらい図面の修正を行います。
わからなければ現場を確認しながら修正します。
また、実際に打合せ中に修正を頼まれ、すぐ修正をして人数分印刷して会議に持っていくなどの対応もしたことがあります。
大きな改装工事の場合は事務員の方がいる場合もあります。
しかしながら、現場の規模にもよりますが、私の経験上あえて事務員の方がいたことは数える程度です。
ですから、図面の作成、電話の応対、メールのチェック、お茶だし、事務所の掃除・ごみ捨て、打合せなどの全ての業務をすることもあります。
そこで働く誰もがやることです。
常駐現場となる建物の中にある事務所
長い期間の現場、例えば常時テナントの入れ替えがある商業施設などには常駐の現場事務所があります。
その場合、ほとんどが会社の事務所と設備などに差はありません。
建物のルールや建物側の担当者などは付き合いも長くなるのでやりやすいです。
ただ、ずっと何人も常駐している訳にはいかないので、少人数でやりくりすることになります。
その為、短期の現場事務所と同様に事務員のする仕事もやります。
そして、CADオペレーターとして基本図の作成やテナントの図面のチェックなども行う場合があります。
それは、現場に常駐することになり現場の状況をよく把握しているようになる為、設計士がいない場合も代わりに出来るようになるからです。
もちろん、責任は大きくなりますので仕事を受ける覚悟は必要です。
設計事務所または設計部
設計事務所または、本社の設計部でのCADオペレーターの仕事は、ほとんど設計の仕事と同様です。
設計事務所や本社の設計部にいるという事は、設計として採用されている事がほとんどです。
CADオペレーターとして雇われる場合は少ないでしょう。
一応、大きな設計事務所などにはCADオペレーターを雇っているところもありますが、基本的には設計士の勉強をしつつCADオペレーターのような仕事をしている場合が多いです。
CADソフトは会社で用意されています。
仕事内容については設計図の作成から打合せ、打合せによる修正など様々です。
自宅で在宅勤務
自宅での在宅勤務では、まず作業環境を作らなければなりません。
会社に勤めていて在宅勤務の場合は、パソコンやCADソフトやプリンター等は支給されるでしょう。
しかし、フリーランスでCADオペレーターとして、在宅勤務をする場合はパソコンはもちろん、高価なCADソフトも自分で用意しなければなりません。
また、プリンターやデータを保管するための外付けのハードディスクなども必要になります。
仕事内容としては、図面の作成、図面の修正等、在宅の場合は提出期限を決められてそれまでに提出します。
やり取りは基本的にメールでのチェックバックで行います。
現場を見ないと確認が出来ない場合は現場を見に行くこともあります。
また、設計の打合せに参加することもあります。
なお、フリーランスのCADオペレーターに関する以下の記事も参考にして下さい。

建築CADソフトの種類による仕事内容
建築CADソフトはどのような種類があるのでしょうか。
建築CADオペレーターとして仕事をする場合それぞれソフトによって仕事内容が変わります。
どのソフトがどの仕事内容に適しているかご説明します。
AutoCADは正確性重視
AutoCADは、とても正確性に優れています。
ですから、建築図面はもちろん設備図面や機械図面などの図面に多く利用されます。
契約図面などの面積が正確に求められる図面を描く場合にも利用されます。
私は一番好きなソフトです。
仕事上、私自身が契約図面を描くことが多いという理由でもありますが、より正確な図面を描ける為です。
修正する場合も、元の図面が正確に描かれている事が多いのでとてもやりやすい印象です。
ハッチングや色も多くデザイン設計として利用することも可能です。
VectorWorksはデザイン性が優れている
VectorWorksは、デザイン性に優れていて色やパターンなどが数多くあり、出来上がりのイメージがしやすいです。
店舗内装などに多く利用されます。
現在、実際に殆どの店舗設計図はVectorWorksで描かれたものばかりです。
3Dに非常に力を入れていて打合せなどで利用する資料としても非常にわかりやすく、スクリーンに映し色々な角度から出来上がりを見れたりします。
Jw-cadはフリーソフトの為利用しやすい
JW-CADは、フリーソフトの為誰もがすぐに利用することが出来ます。
その上、機能も十分に備わっていて正確性にも優れています。
電気図面や機械図面、ラジコンの設計図など細かく正確な図面を描くのに利用されます。
操作性も良いので、CADを始めるのにとてもいいソフトです。
CADオペレーターの仕事内容のまとめ
あなたのCADオペレーターに対するイメージは変わりましたか。
それとも、思っていた通りの仕事内容でしたか。
今回私はCADオペレーターといっても建築に特化したCADオペレーターのお話をさせていただきました。
現場事務所というような特殊な場所での仕事もあります。
私が経験したCADオペレーターの仕事内容を以下にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
- CADオペレーターの仕事内容
- 設計図の作成
- 図面の修正
- 図面のトレース
- 基本図の作成
- 打合せで必要な資料作り
- 番外編!CADオペレーターなのにこんな事もするの?
- 実際の作業をする場所の仕事内容と作業環境の違い
- 建築現場のプレハブなどで出来た短期の現場事務所では現場の状況と打合せによる修正の指示をもらい図面の修正を行う
- 常駐現場となる建物の中にある事務所では、基本的には短期の現場事務所と同じ業務をするが、責任が大きい仕事も増える
- 設計事務所または設計部では、ほとんど設計の仕事と同様であり、設計図の作成から打合せ、打合せによる修正など様々な仕事を行う
- 自宅で在宅勤務の場合、まずは作業環境を作ることが必要で、図面の作成、図面の修正等、在宅の場合は提出期限を決められてそれまでに提出する
- 建築CADソフトの種類による仕事内容
- AutoCADは正確性重視であり、建築図面、設備図面や機械図面など多く利用される
- VectorWorksはデザイン性が優れていて店舗内装などに多く利用され出来上がりのイメージがしやすい
- Jw-cadはフリーソフトの為利用しやすく、電気図面や機械図面、ラジコンの設計図など細かく正確な図面を描くのに利用され、操作性もよい
綺麗なオフィスでもなければ、トイレが近くになかったり窓がなかったりなどそんな現場事務所もあります。
それにCADオペレーターであるからといってただその仕事だけをするということはどの業種もないのではないでしょうか。
逆に、とても快適な綺麗なオフィスで、CADの技術に長けていて、CADオペレーターとしての地位を確立している方もいらっしゃるでしょう。
あなたは、どんなCADオペレーターを目指しますか。
CADオペレーターの仕事内容はわかっていただけましたか。
せっかくあなたがCADオペレーターを目指すのであればぜひ上を目指してください。
なおCADオペレーターになる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさって下さい。

