一般雇用やフリーランスでも、いまだ人気が衰えないDTPデザイナー。ここを訪れたあなたも、芸術家のような仕事ぶりに憧れて制作基盤となるデザインツールを手に取り、慣れない操作に奮闘したこともあるのではないでしょうか?
しかし、ただデザイナーの肩書きを持つだけでは、本当のプロにはなれないのが現実。やりがいも大切だけど、一番気になるのが「年収」ですよね?
私は長年、印刷業界でDTPデザイナーとして活動していますが、同じ分野のデザイナーでも人によって年収に格差があることを目の当たりにしています。
ここでは、DTPデザイナーの平均年収をタイプ別に解説するとともに、まとまった年収を稼ぐことにコミットする具体策も伝授いたします。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
タップできる目次
DTPデザイナーの年収は?

DTPデザイナーの年収は地域や実務経験、業務内容、会社の業績によって変わってきます。下記に都心と地方の正規雇用、およびフリーランスの平均年収を掲載していますが、あくまで目安として参考にしてください。
- 東京や大阪など首都圏で働く正社員
- 20代〜30代 300〜450万円
- 40代〜50代 450〜600万円
- 地方の企業で働く正社員
- 20代〜30代 200〜300万円
- 40代〜50代 300〜400万円
- フリーランスの場合
- 200〜400万円
上記の平均年収からも分かるように、全国的に見てDTPデザイナーの年収は低い水準にあります。
理由として挙げられるのは、紙媒体の需要が低下していることです。近年、消費者の紙離れや森林伐採の懸念から、世界的にペーパーレス化が浸透してきました。
そんな時代の変化にともない、情報配信の媒体が紙からデジタルへと移行したため、DTP業務を専門的に扱う広告や出版業界の財政力が落ち込んだと考えられます。
このような厳しい時代背景もあり、DTPデザイナーは、今後技術的な即戦力を身に付けるだけでは生き残ることができません。満足のいく年収を確保するためには、技術力以外の付加価値を身につけていく必要があります。
不景気でも年収の高いDTPデザイナーは存在する

世知辛い世の中ですが、不況にも負けず高い報酬を得ているデザイナーも多く実在します。稼いでいるデザイナーには、デザイン制作のほかに営業活動に注力している共通点があります。
彼らは単に制作活動行うだけでは仕事が成り立たないことを受け入れ、誰からも求められるデザイナーになるよう努力しているのです。
この事実を知って、あなたは「営業しなくちゃいけないのか…」と落胆しているのかもしれませんね。でもご安心ください。営業活動に苦手意識を感じていても、しっかりとクライアントと良好な関係を築いて仕事を獲得しいるデザイナーは大勢いますから。
デザイナーのような専門職に所属している人は、営業活動を嫌う傾向があります。割合的に内向気質の人が多く、協調性に欠ける部分があるのです。
人によっては営業活動どころか、職場の同僚とも距離を置きたがり、孤独な日常を過ごしている人も少なくありません。
しかし、一見営業に不利な人の方が、営業活動に向くケースも多々あります。職人気質で大人しめの人は、クライアントの要望を黙って聞ける長所があり、相手との取引がスムーズに進むことがあるのです。
逆に口うるさく自己主張ばかりする人の方が、クライアントに嫌われます。100%Yesマンになるのはダメですが、極力クライアントの要望を素直に聞ける性格の方が、将来的に高い生産性が期待できるのです。
ですから、営業に対して必要以上にネガティブにならず、自己成長をさせてくれるものだとポジティブに捉えましょう。
DTPデザイナーとして高い年収を確保する方法

次に、DTPデザイナーとして高年収を実現するにはどうすれば良いか、具体的に提案していきます。ここでは、一般雇用とフリーランスの2パターンに分けてご紹介します。
一般雇用の場合
就活して企業勤めをしたい場合は、制作業務だけでなく、会社組織や人との関わり方も重要視しましょう。
これからご提案する2つの方法は、雇用される前のフリーの状態を前提に解説しています。
デザイン業務だけでなく営業を兼ねた求人に応募する
ハローワークや求人サイトを経て就活をする場合は、デザイン業務に限定せず営業職を兼ねた案件を探してみましょう。
デザイン業務は誰とも接触せず、与えられた案件をこなすだけのデスクワークと思われがちですが、これはまったくの誤解です。DTPデザイナーは単に印刷物を作るだけでなく、請け負った仕事に関する打ち合わせをするなど、クライアントと接触しなくてはなりません。
そのため、実際の現場では相手からの要望を聞き取ることや、次の仕事につなげるための提案など、その場に応じて臨機応変な対応が求められます。
また、どの業界でも共通して言えるのが、営業職はどの職種よりも生産性が高く重宝されやすいことです。デザイン業務の傍ら、売上げに繋がる新規顧客や仕事案件を獲得できるようになると、必然的に社内で評価され、報酬に反映されやすくなります。
実際に、業績の高いデザイン企業は、DTPデザイナーに営業を任せているケースが目立ちます。特に地方の企業は都会と比較して請け負う仕事量も少ないため、少しでも売上を上げて社員に還元できるよう工夫しているのです。
「椅子に座って好きな仕事をしていればいい」という安易な気持ちは捨て、営業職も並行してやっていく心意気を持ちましょう。
社員評価が公平で残業代が支給される企業を選ぶ
仕事選びと同時に重要になってくるのが、就職先が人材に対して見せる姿勢です。
就活では極力残業代を全額支給し、社員の努力を正当に評価する会社を慎重に探すことが大切です。これは、大手求職サイトの口コミでも散見される意見で、人材を大切に扱う企業は社内評価も適正で給与待遇も充実しており、社員満足度が高い傾向が見られます。
どんなに待遇や業務内容が良くても、人材を粗末に扱う会社は優良企業とは言えません。例えば、長時間労働を課しているにも関わらず残業代が未払いであったり、報酬が良くてもハラスメントや不祥事など、人間性を疑うような評判が流れているところは避けるべきです。
都合の良い求人内容にとらわれてブラック企業に応募してしまうと、後々自分の首をしめることになるので気をつけましょう。
フリーランスの場合
次にフリーランスのケースを見ていきましょう。フリーランスも、技術面以外に営業活動を重要視する点は一般雇用と同じです。
ただし、サラリーマンのように収入が安定しない働き方は、雇用以上に広い視野を持ち、より多くの付加価値を加えて自身をアピールしていく必要があります。
DTPだけでなく兼業でWebデザインも行う
フリーランスの場合は、DTP以外にWebデザインのスキルも習得することをおすすめします。
近年需要が高まっているWebデザインは、DTPと同じデザイン分野として通じるものがあり、比較的取り組みやすいです。
WebデザインはDTPデザインに比べ、スキル習得の難易度が非常に高い特徴があります。しかし専門性が高く、ハードルの高い業種はライバルが少ないというメリットも同時に合わせ持っているのです。
すなわち、WebデザインのようなITスキルは一度習得してしまえば、それ1本でも食べていける可能性が十分にあります。クラウドソーシングの公式サイトを見てもわかるように、Webデザインの募集案件は枚挙にいとまがありません。
「私はDTPしかやらない」と最初から狭い枠組みにとどまるのではなく、視野を広げて未開拓の分野にも積極的にチャレンジしてみましょう。
制作の傍ら自分をアピールする営業活動をする
前述したように、フリーランスも売上げを伸ばすための営業活動は必須です。自分を売り込むためには、身近なデザイン企業と繋がるのがベストですが、インターネットから不特定多数の人に自己アピールすることも効果的です。
具体的には、スキルシェアサイトで有名なココナラや大手クラウドソーシングで自分の得意分野を紹介し、顧客を獲得する方法があります。飛び込み営業のように、1件ずつ見込み客のところへ回る必要もなく、オンライン上ですべて完結できるので手間がかかりません。
下記に、制作活動をするためにおすすめのサイトを掲載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
デジタル素材をネットで配信する
イラストやデジタル画像など自分の作品を販売サイトに登録し、ユーザからダウンロードしてもらうことで報酬を得る方法もあります。この場合、DTPデザイナーではなくクリエイターに近い活動になりますが、素材作りが好きな場合はチャレンジしてみましょう。
デジタル素材をネットで配信できるサイトは、下記を参照にしてください。
【イラスト系】
- イラストAC
- シルエットAC
- LINE(スタンプ作成)
【画像系】
- 写真AC
- PIXTA
- shutterstock
一度登録した作品は削除されない限り、配信サイトに残り続けます。はじめから大きな報酬を稼ぐことは難しいですが、ひとつの不労所得として検討してみてください。
私の身近にいる年収の高いDTPデザイナーの共通点

最後に、私の身近にいる年収の高いDTPデザイナーの特徴をご紹介します。現在、彼らはフリーランスですが、過去に一般雇用で実践経験を積んだ後に独立しています。
もし、あなたが将来的にフリーランスを希望している場合は、ぜひ参考にしてみてください。
コミュニケーション能力が高い
収入の高いDTPデザイナーはコミュニケーション能力が高い特徴があります。特に仕事の契約でクライアントと打ち合わせをするときは、相手の要望も聞きつつ、しっかりと自分の希望も打ち明けています。
クライアントとの間に対等なビジネスを展開させるには、信頼関係が大切です。相手とマメな接触を心がけ、仕事以外の場所でもコミュニケーションを疎かにしないことが重要になります。
日常的に相手と交流していると両者との間に強い絆が生まれ、仕事の契約も円滑に進みやすくなるのです。
様々なデザイン企業とつながりを持っている
収入の多いDTPデザイナーは、広告代理店や印刷企業など、複数のネットワークを築いて活動しています。彼らはマーケティングセンスもあり、積極的に行動を起こして将来の見込み客を掴んでいるのです。
最近ではfacebookなどのSNSを通して、クライアントやデザイン業界の関係者と交流している人もいます。最初は小さな企画から始めて信頼関係をつくり、最終的には地域おこしイベントなど大口の企画に携わってデザイン活動をしている大御所も実在しています。
専門性があり自身の強みをアピールしている
DTPデザインと言っても様々なジャンルがあり、人によって得意分野が変わってきます。代表的なのは印刷物の作成ですが、このほか企業のロゴデザインやイラスト作成、パッケージデザインなど、千差万別です。
優秀なデザイナーは、自身の得意分野を把握し、確実に実力を出せるジャンルを中心に仕事契約を結んでいます。
DTPデザイナーはオールマイティにどの分野にも長けていることが理想ですが、よほど才覚のある人でないと難しいのが現実です。欲張って手を広げすぎると軸がブレてしまい、何もかもが中途半端に終わってしまうリスクが生じます。
仕事案件が少ない閑散期は、自身の専門分野以外の仕事も請け負うこともありますが、基本的には自身のポリシーに従って効率的な活動を進めているのです。
値段交渉に妥協しない
収入の高いデザイナーは、決して自分を安売りしません。仕事を得るために労力に見合わない報酬で契約をしてしまうと、薄利多売で後々消耗してしまうからです。
例えば、チラシの仕事で打ち合わせをする際、嫌われることを恐れるあまり、相手の言いなりになって安い制作費で契約してしまうと、利益が取れなくなってしまいます。
しかし、彼らは一方的に自分の希望を押し付けているわけではありません。しっかりとクライアントの意見も尊重し、互いに利益が出るよう配慮しながら交渉を進めています。
クライアントとの交渉は難しく、一筋縄ではいきません。納期や報酬、デザインの方向性など、時に相手と衝突することもあり、後のビジネスに影響することも少なくありません。
交渉力を養うには、ある程度実践経験が必要です。もしあなたが将来独立してフリーランスとして活動したい場合は、デザイン業界で営業経験のある人から交渉技術を学ぶことをおすすめします。
DTPデザイナーの年収まとめ

紙需要の低下により、DTPデザイナーの年収は、年々減少傾向にあります。しかし、DTPスキルと合わせて営業力や、時代のニーズに合ったジャンルで即戦力を養うことにより、不況に関係なく高年収を得ることは可能です。
ここで、DTPデザイナーの年収についておさらいしておきましょう。
- 1.DTPデザイナーの平均年収
- 20代〜30代/300〜450万円
- 40代〜50代/450〜600万円
- 20代〜30代/200〜300万円
- 40代〜50代/300〜400万円
- 200〜400万円
- 不景気でも年収の高いDTPデザイナーは実在する
- 高年収を得る具体策
- 制作以外に営業活動も行う
- 公平な評価や残業手当がつく会社を選ぶ
- DTP以外にWebデザインのスキルも習得する
- 自分の実力を売り込む活動をする
- 制作に使用する素材をつくって販売する
- 高年収を得ているDTPデザイナーの共通点
- 人と接するのがうまく交渉力が高い
- 複数の企業とネットワークを築いている
- 自分の強みを磨き独自性がある
- 不当な見積もり避けるよう値段交渉は慎重
【都心企業の正規雇用】
【地方企業の正規雇用】
【フリーランス】
【一般雇用の場合】
【フリーランスの場合】
基礎的な技術や知識を身に付けることにより、誰でもDTPデザイナーになることはできます。しかし、ただデザイナーになるのと、プロとして収入を得ることは別です。
あなたも折角培った技術をフル活用して、大きく稼ぎながら同時に社会貢献できる、素晴らしいDTPデザイナーになってくださいね。
なお、DTPデザイナーになる方法については以下の記事を参考にして下さい。
