理学療法士になるための関門の1つに実習があります。
実習は医療・介護の現場で、実際に行われている理学療法を経験する場です。
とはいっても初めての実習では不安なことだらけですよね。
私は不安や緊張で思うように実習ができませんでした。
たくさん失敗しましたし、今思うと後悔することがたくさんあります。
しかし失敗することがあっても、そこから学んで次に生かすことが最も大切なことです。
今回は、理学療法士になるために必要な実習について解説いたします。
また、私の失敗談から学んでいただきたい実習中のNGについて3つをご紹介します。
あなたが立派な理学療法士になるためのお手伝いができれば幸いです。
Contents
理学療法士になるために必要な実習
理学療法士になるには最低でも、病院や施設で20週間の実習が必要です。
(厚生労働省:理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドラインより)
ただしこれは最低期間であり、実際はもっと多い学校がほとんどです。
学校によって実習の回数は違いますが、内容はおおよそ4項目に分けられます。
- 見学・体験実習(3日〜1週間程度)
- 検査測定実習(1〜2週間程度)
- 評価実習(2〜4週間程度)
- 長期実習(8〜10周間程度×2回)
実習期間は学校により違うため、「程度」としています。
表記についてもこれは一般的な呼び方であり、学校によって名称が違います。
それぞれ具体的にどんな実習内容なのかお話ししていきますね。
見学・体験実習
私は大学1年時の夏休みと春休みにそれぞれ、見学実習と体験実習を経験しました。
初めての実習で心臓のバクバクが止まらなかったのを覚えています。
実習は常に緊張しますが、この初めての実習は特に緊張するでしょう。
ここで初めて理学療法に触れる方も多いのではないでしょうか?
しかし臆することはありません。
実際に患者さんと話し、理学療法士と話し、リハビリの現場を肌で感じてください。
わからないことばかりで実習をこなすのがやっとかもしれません。
しかしこの実習を経験することで、理学療法というものをリアルに意識し始めます。
ここでは理学療法の雰囲気を感じ取れれば十分です。
検査測定実習
この実習では患者さんのお身体の診方を勉強します。
私は2年時の夏休みに経験しました。
患者さん相手に関節の角度を測ったり、筋力を量るなどして理学療法士に必要な医学的検査の仕方を学びます。
この実習から理学療法士の専門領域に踏み込んでいきます。
私は初めて患者さんのお身体に触れた時に緊張で手や声の震えが止まりませんでした。
私たちは患者さんの大切なお身体を触らせて頂いています。
理学療法士として働き出しても、触れ方は常に気をつけておかなければなりません。
怪我をさせてしまわないよう慎重にかつミスを恐れず、わからないところは指導者に聞きながら学んでください。
患者さんに触れるという基礎中の基礎を丁寧に学ぶことで、確実にあなたの財産になりますよ。
評価実習
ここからが実習の本番とも言えるでしょう。
評価実習では検査結果をもとに、その結果となった原因を考察するのが目標です。
今まで以上に不慣れなことをしていくため、いろいろと覚えるのに必死であっという間に時間が過ぎます。
毎日勉強漬けでした。
実習は4年生になってすぐ始まりました。
4年生の前半はずっと実習があるため気合を入れなければなりません。
評価実習ではこれまでの実習よりも難しく感じるでしょう。
しかし結果から原因を考えて、どうすれば改善できるのか考えるという思考過程は理学療法士の基本です。
しかし最初から考察して正しい答えを導き出すことはできません。
考察の正誤は指導者の意見と照らし合わせながら行い、基本の思考過程を身につけることに精一杯取り組んでください。
長期実習
長期実習は2回あります。
1回8〜10週間あるためこれもまた大変です。
この実習では検査結果の考察をもとに、患者さんへの治療を施していきます。
理論的に答えを導き出せても、治療を施して効果を生み出せるとは限りません。
治療するのは悩むことだらけで難しいです。
しかしその答えを見つけ出すまで試行錯誤するのが理学療法士のやり甲斐でもあります。
治療する度に浮き上がってくる悩みや疑問の1つ1つと大切に向き合いましょう。
この実習で何か1つでも治療成果を挙げられれば、大きな喜びとなり理学療法士としての大きな一歩となります。
学生はいろいろなことを試してみて構いません。
ミスが許されるのが学生です。
試行錯誤しながら答えにたどり着いたとき、これまでに学んだことを深く理解できますよ。
【理学療法士への道】実習中のNG3選【私の失敗談】
私は決していい実習生ではありませんでした。
なぜなら成長する学生像とは正反対の姿勢で実習に臨んでいたからです。
今振り返ると、そういう姿勢でしか臨めなかったことを後悔しています。
実習はなんとか合格しましたが、それは実習指導者・患者さん・先生の優しさのお陰でした。
これから私が実際に経験した失敗をご紹介しますね。
実習指導者とコミュニケーションを取らない
これは致命的です。
理学療法を学ぶ立場の人間が、現場の指導者から知識や技術を得ようとしないのです。
恐らく指導者の方はこんな学生の私に手を焼いたことでしょう。
しかしそれには2つの理由があります。
1つ目はコミュニケーションを取るのが苦手なことです。
「人と目を合わせられない」「相手の意見が気になって意思表示ができない」「相手にどう思われているのか気になりすぎる」といった性格がコミュニケーション不足を引き起こしていました。
2つ目は完璧主義な性格です。
私には理想の理学療法士像がありました。
目指すべき姿を掲げるのは良いことなのですが、その理想に固執しすぎたのです。
そのせいで指導者が自分の理想的な姿ではないとわかると、その指導者からは学びたくないと考え、コミュニケーションを自然と避けてしまっていました。
実習指導者からの質問や説明に対してわかっているふりをする
学ぶということにおいて、強がりは致命的な失敗を招きます。
それを知っていながら、わかったふりは治りませんでした。
しかしそれは完璧主義でありながら根っからのビビリという性格に起因していました。
「習ったことだから理解していないといけない」「実習に行くんだからわかっていないといけない」そう思ってしまうことで、指導者からの質問に対して知ったかぶりの返答をしていました。
強がりは損です。
「なんでもわかっていますよ」という姿勢であれば周りは手を差し伸べてくれません。
これでは自分自身も学びの吸収力が無くなります。
やる気が上がらず理学療法の勉強をしない
勉強をしないのは実習生としてあるまじき姿ですね。
自己成長のために勉強は必須です。
理学療法士を目指している学生ならなおさらです。
やる気を出せなかったのには明確な理由があります。
実習の目的を見失っていたからです。
その時は実習についていくのがやっとで、大変な実習を乗り切ることが実習の目的となっていました。
そんな目先の目的では勉強をする意欲なんて全く湧いてきません。
これではわからないことを放ったらかしにしたままそれが積み重なっていきます。
最終的には「何がわからないのかもわからない」という状態になってしまいました。
ますます負のスパイラルに陥ってしまったというわけです。
理学療法士になって気付いた実習中の3つの心構え
実習が上手くいくために大切なことは3つあります。
この大切な3つのこととは人としての在り方を指しています。
この在り方さえ間違わなければ、誰でも自然と成長していくものです。
正しい在り方でいることで自然と挑戦意欲が湧いてきます。
挑戦すれば失敗をすることもあるでしょう。
しかし失敗は悪いことではなく、成長するためには必要な過程です。
1番悪いのは「トライしないこと」です。
トライして、修正して、より高みを目指すことで人は成長します。
人として、そして理学療法士として成長することで、より多くの人の願いを叶えてあげられるようになるのです。
結果に関わらず、何かに挑戦する人はそれだけで美しいです。
だから挑戦する人はその意義を知っている人から愛され、より成長していきます。
しかし中には以前の私のように、トライすることに対してとてつもない恐怖を抱いている人もいます。
当時はその恐怖を乗り越えることができませんでしたが、今は自然とチャレンジする意欲が湧いてきます。
以下に自然と挑戦意欲が湧き、絶対に実習が上手くいく方法をまとめました。
自信をつけて挑戦心を沸き立たせる
成長することにおいて、全ての始まりは自信です。
自信を持っているから挑戦する恐怖にも立ち向かっていけます。
自信は「自らを信じる」と書きます。
あなたの気持ちと素直に向き合った結果下した意思決定を信じるが自信です。
人の性格は表裏一体です。
良い面もあれば悪い面もあります。
例えば優柔不断な人は、行動できないところが悪い面ですが、さまざまな可能性を吟味するところが良い面です。
当時の私は自分の悪い面ばかりを見ていました。
しかしそれが自分らしさでもあるということに気づき自信を持てていたら、話すことを億劫に思わず指導者と建設的な意見交換をできていたでしょう。
自分の意思や感情を指導者に伝え、これからトライしていくことを決めて行動していく。
それを繰り返すことであなたの成長に繋がるのです。
これが自信を持つことの意義です。
素直になって信頼関係を築く
素直さは最強の武器です。
例えどれだけ仕事や勉強ができなかったとしても、素直なだけで愛されます。
私は「わからない」ことを隠すためにわかったふりをしていました。
しかしそのわからないという未熟さは、曝け出すことで信頼関係を作るための武器になります。
信頼関係は「本音で語る」「約束を守る」ことで築かれます。
そうすることでお互いを認め合い、成長し合える関係になるのです。
患者さんのために自分ができることを考える
患者さんはすがるような想いで病院に来ています。
「もう一度車の運転がしたい」「また旅行できる体になりたい」「正座だけでもできるようになりたい」といった心からの願いを持っています。
私たち理学療法士は、そんな方々の人生を担っているのです。
私たちは患者さんのおかげで生活ができています。
だからこそその方たちの願いを叶える努力が必要です。
学生が患者さんを大きく回復させるのは難しいかもしれません。
しかし学生のあなたが今患者さんにできることを考え、患者さんをいろいろな面で理解しようとする姿勢が大事なのです。
学生の頃の私は実習を乗り切ることでいっぱいになり、患者さんの想いを受け取れていませんでした。
今思うととても後悔しています。
もちろん当時の私があったから今があるわけですが。
人は誰かのために頑張る時、数倍のスピードで成長するものです。
自分のスキルを向上させるためだけの学習では、モチベーションの維持や成長に限界があります。
勉強や治療ができるできないよりも、患者さんの苦しみを理解できる理学療法士であってください。
理学療法士に必要な実習と実習中のNGまとめ

実習を通して何か1つでも得ることができれば成功です。
大変に思うかもしれませんが頑張っていきましょう。
最後にこの記事のまとめを記しておきます。
- 理学療法士の実習はおおよそ4項目ある
- 見学・体験実習(3日〜1週間程度)
- 検査測定実習(1〜2週間程度)
- 評価実習(2〜4週間程度)
- 長期実習(8〜10週間程度 ×2)
- 実習中のNG3選【私の失敗談】
- 指導者との会話が少なくて意見交換できなかった
- 質問や説明にわかったふりをすることで知識を吸収できなかった
- 実習の目的を見失い勉強する意欲が湧かなかった
- 実習中の3つの心構え
- 自信をもち挑戦心を養う
- 素直になり実習指導者と信頼関係を築く
- 患者さんの苦しみや願いを理解しそれに応えようとする
理学療法士の実習では専門的なことを実際の現場で学ぶため、誰もが不安に感じます。
どれだけ対策を講じたとしても不安を0にすることは難しいでしょう。
しかし実習先の指導者の方や学校の先生は、学生の実習がより実りあるものになるよう考えてくださっています。
だから不安になりすぎることなく、周りの方々を信じて実習に臨んでください。
私は周りの方々を、そして自分を信じなかったために失敗をしました。
自分と周囲を信じて素直になり、今の自分ができる最大限のことをすれば道はどんどん開けると信じています。
なお、理学療法士になるための方法については、以下の記事を参考にして下さい。
