看護師のあなたは注射が失敗しそうで怖いなって思ったことありませんか?
注射の技術は最初から完璧にできるものではありません。
看護師ならだれでも一度は苦手意識を持つ技術の一つです。
そこで今回は、看護師が注射を怖いと思う原因とその克服法を解説します。
この記事をご覧になることで、以下のことが理解できます。
- 注射が怖くなってしまう原因
- 注射を克服する方法
- 注射を成功させるコツ
- 注射のない職場
看護師が注射を怖いと思う原因
注射は採血、点滴、静脈・筋肉・皮下・皮内注射などいろいろな種類があります。
人の肌を傷つける行為なので、だれしも最初はどの注射に対しても恐怖感を抱くものです。
そこで特にどんなことで怖いと思ってしまうか原因を挙げてみました。
経験不足
看護師になって初めて注射した時、人には人形のようなきれいな血管がほとんどないことに戸惑いました。
注射の経験を積めば積むほど手の感覚が養われうまくなるのはわかっています。
しかし、それまでにはたくさんの失敗を重ねなければいけません。
特に新人の時は手つきをみて患者様も「新人だ」と気づきます。
時には「新人じゃない人がいいんだけど」と言われることもあります。
経験を積むまでの道のりが過酷ということも注射を怖いと思ってしまう原因の一つなのです。
注射しにくい血管
確かにそれもそうですが、「注射しにくい血管」も原因の一つと言えます。
注射しにくいと感じる血管は次の血管です。
- 太っていて皮下脂肪で埋もれている血管
- 老化して動きやすい血管
- 脱水状態や冷えた状態の血管
- 薬の影響で細くなった血管(ステロイドなど)
- 10代、20代の女性の血管
特に入院中の患者様はほとんどが高齢者や具合の悪いかたがたです。
注射しづらい血管ばかりで失敗を重ねるたびに自信がなくなっていってしまうのです。
プレッシャー
私はプレッシャーが、注射を怖いと思う一番の原因だと感じています。
プレッシャーは普段ならできていることをできなくさせます。
私は患者様からの「失敗しないでね」の言葉で何度も失敗をしてきました。
失敗するんじゃないかという不安でいっぱいになるのです。
このプレッシャーの沼にはまるとなかなか出てこれなくなります。
そして失敗を繰り返してどんどん自信をなくしていくのです。
子供の注射
心を鬼にしても、子供に注射するのは気が引けるし怖いなって思います。
誰だって子供の注射はやりたくないですよね。
小さな子供を大人が3人で押さえつけて採血をしたのです。
病院では成人を見ていたので、自分が子供に注射することはないと思っていました。
しかし、クリニックではその機会が巡ってきました。
子供の血管は細くて、見えにくいです。
それに加えて動き回ります。
小さな腕を固定して刺すのは難易度が高いのです。
なかなかうまくいかなかったり、思い通りにいかないと徐々に自信がなくなってきます。
そして「子供の採血はやりたくないな」と思い遠ざかってしまうのです。
注射を克服する方法
注射がなかなか入らないと、他の業務にも支障がでます。
そして何よりも患者さんにストレスがかかり、苦痛を与えてしまいます。
そこで注射に対する恐怖感を克服する方法をご紹介します。
経験を積む
何事も経験といいますが、注射の技術もまさに経験が第一です。
注射技術はいろいろな血管に出会ってこそ上達します。
私が1年目の時はとにかく注射が嫌で嫌で、手が震えながらやっていました。
しかし、今は外来で採血を1日数10人するのに雑談しながらでもこなすことができます。
では経験を積むといっても時間がたつのを待っていても仕方ありません。
- 人形の血管で練習する
- 先輩や先生の血管で練習する
- すすんで採血係をする
- 余裕があれば注射の機会を譲ってもらう
- 上手い先輩の手技を見せてもらう
普通に仕事をしていたらある程度の経験の機会しか得られません。
チャンスは自分でつかみに行きましょう。
自分で注射の機会を増やし回数を重ねることで苦手意識が徐々に払拭されていきます。
血管の怒張のためにできる限りのことをする
苦痛を少なくするには採血前の準備を十分にすることが大切です。
血管をしっかり怒張させておくと、刺しにくい血管も刺しやすくなります。
- 40度程度の蒸しタオルで穿刺部を温める(熱すぎないか確認)
- 脱水状態であれば水分が飲めれば水分を摂取してもらう
- 注射前に腕を下に垂らしてもらう
- 腕をさすってマッサージをする
入院患者様の場合、注射の予定がわかっていればあらかじめ腕を温めておくとスムーズに注射に取り掛かれます。
外来患者様の場合、採血しにくい患者様がわかっていれば、あらかじめ水分をとるように伝えておくと失敗のリスクを減らせます。
私は毎月外来の患者様には水分を摂取してくるようにしてもらっていました。患者様にも知識を持っていただくことで、協力してくれるようになります。
先輩や医師にコツを聞く
やはりマスターしている人に聞くのが克服への近道です。
私は病院では先輩から、クリニックでは先生からいろいろなコツを教わりました。
- 動きやすい血管の場合、穿刺部位の下を少し引いて固定する
- 点滴時、二股なっている部分の真ん中に穿刺すると入りやすい
- 点滴時、できるだけ患者様が楽な体位になるようにクッションなどで整える
- 脱水の場合、血管がつぶれているので血管が十分膨らむまでテープ固定をしない
- 針の位置で滴下速度が変化する場合、脱脂綿やテープで固定の高さを調整する
- 血管の状態をみて針の細さを決める
- 自分の使いやすい注射針を使う
- 痛みを感じさせないようにするには早く痛点を通過するよう思い切り刺す
- 患者様とできるだけコミュニケーションをとって恐怖感を与えない
私は失敗するたびに先生に話してコツを教えてもらいました。
そして先輩と先生の手技をよく見せてもらい、技術を盗んだりもしていました。
ぜひプリセプターの先輩や話しかけやすい先生がいたら思い切って聞いてみましょう。
少しづつ自分の技術を修正できたら、いつのまにか上達してますよ。
採血セミナーに参加する
採血セミナーは病院だと定期的に行われたり、新人対象で先生から講義を受けることができるところもあります。
また久しぶりの職場復帰の方や「今更注射が苦手だから教えて」なんて言えないという方もいると思います。そんな方々には医療者を対象とした人材派遣会社などが開いているセミナーがあります。
基礎的なことからちょっとしたコツなどをわかりやすく教えてくれます。
子供の注射は準備が必要
子供の注射には準備が特に必要です。
子供にとって注射は「痛いもの」とインプットされています。
小さい頃のワクチンから注射は「楽しいこと」ではないのです。
できるだけ恐怖感を与えないようにするのが重要です。
私が子供の注射の時に注意していたのは以下のことです。
- ご両親にあらかじめ好きなおもちゃやキャラクターを聞く
- 意思疎通ができる子供は注射のことをしっかり説明する
- しっかり目線を合わせる
- 人形に注射をしているしぐさを見せる(人形も頑張っていることを示す)
- 注射のタイミングを決める(診察前か後か)
- 注射前におしゃべりをして緊張をとかす
- 注射時にはご両親どちらかにだっこしてもらう
- 動かないようにしっかり腕を二人で抑える
- 穿刺部位を見せない(人形で気をそらす)
- 上手にできてたら過剰にほめる
- 注射後にご褒美を用意する(シール、おもちゃで遊ぶなど)
キャラクター絆創膏は痛いのを頑張ったご褒美で貼ってあげると喜びます。
特に好きなキャラクターなどの絆創膏を貼ってあげると、すぐに泣き止む子もいます。
ひとつの武器としていろいろな種類を持っておくといいですよ。
あまりにも暴れる場合は時間をおいてなどの対処をします。
注射後嫌われることがほとんどですが、ここで重要なのはしっかりコミュニーケーションをとることです。
目線を合わせて話して、好きなおもちゃをうまく使うと、意外と素直にやらせてくれます。
子供それぞれの個性があるので、その子に合わせた注射の方法を工夫してあげると苦痛が軽減すると思います。
どうしても注射が苦手な場合
そもそも血液が苦手だったり、失敗が続いてすっかり自信を無くしている方もいると思います。注射が苦手だからと言って「看護師失格!」なんてことはありません。
苦手なら他の方法を試してみましょう。
他の人に頼む
多くても3回トライしてもできなければ、潔く他の人に変わってもらいましょう。
何回も挑戦しても失敗を繰り返していたら、患者様を不安にさせてしまいます。
そして失敗することでいい血管をつぶしてしまうことになります。
また、人との相性というのもあります。
私は決して難しい血管ではないのに注射を毎回失敗してしまう患者様がいました。
自分でも自信がなくなってしまい、最初から他の人に頼むようにしていました。
決して恥ずかしいことではありません。
注射を必要としない職場を選択する
どうしても注射をしたくないという場合、注射を必要としない職場の選択も一つの方法です。
- 回復期リハビリ病院
- 精神科
- 老人福祉施設、デイサービス
- 訪問看護(リハビリ、精神科)
- ツアーナース
- 企業
- 保健室
- 保育所
私はデイサービスを派遣で働いたことがありますが、体調管理のみで特に注射をする機会がありませんでした。
リハビリや体調管理が仕事内容の場合、注射がほとんどありません。
しかし糖尿病などの合併症がある場合、注射技術を求められることがあります。
派遣会社などでは派遣前に注射などの医療行為がどれぐらい必要かなどをあらかじめ教えてくれましたよ。
注射に自信がなければ、そのことを紹介会社に伝えておきましょう。
看護師が注射を怖いと思う原因と克服法のまとめ
注射技術に関しては正直、何度も失敗して経験を重ねてうまくなっていきます。
患者様には申し訳ないですが、それが現状です。
できるだけ早く習得するには一回一回の注射に集中して、反省と改善を繰り返していくことが大切です。
- 看護師が注射を怖いと思う原因
- 経験が不足している
- 穿刺しにくい血管や子供の採血で失敗する
- 失敗してはいけないというプレッシャーに負ける
- 注射を克服する方法
- できるだけ多くの血管を経験する
- 注射のベテランから学ぶ
- 外部のセミナーに参加してスキルアップ
- 採血前は患者様に合わせて準備をしっかりする
- どうして注射ができない場合
- 粘らず他の人に潔く頼む
- 注射ができなければ、注射しない職場を選べばいい
看護師は「注射ができてなんぼ」と思われていることがあります。
しかし、実際は最初からうまくできている人なんて誰もいません。
頭がよくて仕事が出来る同期でも何度も失敗していました。
注射は最初は怖いですが、極めれば極めるほど奥の深い技術です。
患者様に責められることはよくあります。
しかし、根気よくやっていけばある時「失敗する気」がしなくなってきます。
自分の技術に自信を持つまでは何事も時間がかかるものです。
できるだけ多くの血管に出会い、経験を確実に積んでいきましょう。
なお、注射が怖いこと以外でも悩みがあって辞めたいと思うようなことがあったら、以下の記事をご覧になってみてください☟