看護師の仕事は辛いことがたくさんあります。
特に新人看護師さんの場合、覚悟はしていたけれどこんなにつらくて厳しい世界なのかと感じることがあるかもしれません。
しかし現在は大学病院、クリニックを経て、現在デイサービスで元気に働いています。
今回は看護師が辛い理由と、辛いときを乗り越える方法について、看護師歴9年の私が経験をもとに解説します。
看護師の仕事が辛いと思っているあなたのヒントになれば幸いです。
看護師の私が辛いと思うとき
私が一番辛いと思ったのは、看護師1年目の大学病院救命救急センターの時でした。
身体的にも精神的にも追い詰められ、休職しました。
今改めて辛かった理由を考えてみると、次の4つが挙げられます。
緊張感のある現場
とにかく新人看護師はまずは病院で経験を積むことが求められます。
私の場合、希望で救命救急センターへ配属されましたが、想像以上に辛い世界でした。
- 患者さんはほとんどが意識不明の状態
- 突然の急変アラーム
- 自分の報告が遅れることで一人の命を左右するのではないかという恐怖
もちろん救命センターに限らず、病院での業務は突然何があるかわからない世界です。
ときどき現場で働いている夢を見ましたし、緊張して辛い毎日でした。
人間関係のストレス
人間関係では、私は一番辛い思いをしました。
看護師が働く現場の人間関係が悪化する原因は、次のことが挙げられます。
- 女性看護師同士のグループ化
- 結婚・出産により中堅不在のため、新人とお局のみの職場
- 忙しい環境下での厳しい指導
看護師は女性が多いため、グループや派閥が発生しやすく、人間関係によるストレスの原因でした。
また、同じく女性が多いことで、結婚・出産による退職や産休など、中堅層が不在になる場合があります。
そうすると、ただでさえ忙しい環境下で新人とベテランのみという構図になります。
ベテラン看護師の言葉がきつくなるのも仕方のないことかもしれません。
現場が忙しくなると、先輩看護師から理不尽なことを言われることもありました。
これも、私が看護師が辛いと思う人間関係の一つです。
また、チームで動くので、その中でトラブルがあると人間関係が悪化することがあります。
例えば私がいたチームでは、一人のミスで全員が連帯責任で残業することがあり、現場の雰囲気は悪くなりました。
このような厳しい人間関係の中で、緊張感のある仕事をします。
辛いことが毎日重なり、モチベーションは下がる一方でした。
今思えば、そんな私に看護される患者さんに申し訳ない気持ちを抱えていたことや、人間関係に怯えながら働いていたことが悔やまれます。
仕事量の多さ
看護師は一日に座る暇がないぐらい、仕事があります。
また、普段の仕事に加え、イレギュラーなことも起こります。
例えばこのようなことが起こると、業務が予定通りにはいかず、結果残業になることもしばしばです。
- 難易度の高い血管の採血
- 患者さんの急変
- 緊急入院
仕事の特性上仕方のないことですが、自分の予定外の仕事が増えると一気に混乱します。
「臨機応変」に動けるまでは、馬車馬のごとく働いていたので、大変辛い思いをしました。
仕事以外での勉強
看護学校卒業当初、もう勉強することはないと思っていました。
しかし、むしろ社会人になってからのほうが勉強しています。
毎日患者さんは変わります。
その患者さんによって必要な知識は異なってくるのです。
「勉強しないと患者さんの危険なサインに気付けないかもしれない。」
そう思うと勉強しないと安心ができませんでした。
また休みの日まで勉強していたので、ゆっくりする時間がありませんでした。
仕事と勉強に追われていたので、今考えるととても辛い毎日でした。
辛い中私が看護師を続けている理由
そんな辛い日々を送っていた私ですが、今でも看護師を続けることができています。
なぜなら、どんなに辛い思いをしても看護師を続けることで、得られることがあったからです。
ここでは、辛い中でも私が看護師を続けていられる理由をご紹介します。
患者さんの回復に寄り添える
こんな私でも役に立てたのかと思うと嬉しくなります。
私がやりがいを感じた瞬間は全身熱傷の患者さんを診ていた時です。
最初お会いした時は今にも瀕死の状態でした。
しかし、1年後外来で元気に姿を見せてくれた時、看護師やっててよかったと思えました。
患者さんの大変な期間に寄り添い、回復の過程をお手伝いできた時の気持ちは、何にも代え難い私の宝物です。
どんなに看護師の仕事が辛いと思っていても、素晴らしい仕事に就いたなと実感しています。
一生ものの技術を取得できる
正看護師免許は国家試験を受けて取得できる国家資格です。
看護師業界は辛い仕事な分、常に人手不足で転職には困らないため、看護師免許を持っているだけで仕事はすぐに決まります。
現在働いているデイサービスでも、病院などで培った移動の技術やコミュニケーション技術、観察力などが生かされています。
給料がいい
看護師は給料がよく、金銭面では困ることが少ない職業です。
やはり時給も他の一般の派遣社員よりも高額で、派遣であったとしても困ることはありません。
一度看護師の給料に慣れてしまうと、他の職業の給料を見ると低く感じてしまいます。
看護師が辛いと思って辞めても、他の職業を探す際には未経験の業界への転職になり、看護師と同等の給料をもらうのは難しくなります。
給料に困らないということも、看護師の仕事を続ける大きな魅力の一つです。
看護師の仕事が辛いとき私がしてること
看護師歴9年、辛いこと、辞めたいと思ったことはたくさんありました。
しかし、まだ続けることができているのは壁にぶつかるたびに学んできたからです。
今まで私が身に付けてきたことをお教えします。
患者さんとの距離感を学ぶ
理想の看護師としては「患者さんに寄り添う看護」です。しかし、患者さんの思いに左右されていたら自分のほうが病んできてしまいます。
最初は患者さんの思いと一緒に私の気持ちも左右されてしまい、辛い思いをしました。
末期がんを受け入れられない患者さんの話を傾聴していたら、自分も気分が暗くなりました。
また、手術前の患者さんの手術に対する不安を聞いていたら、一緒に焦ってミスが多くなったこともありました。
看護師は複数の患者さんをお世話します。
感情の浮き沈みのある看護師さんは患者さんにとっても信頼に欠けます。
一歩引いて客観的にみることにより、自分も楽になります。
また、近すぎたら気づかなかった精神的な病気や、発言の本当の意味が解ることもあります。
患者さんに影響されないよう近すぎず、遠すぎず一定の距離を保ってください。
自分の生活を整える
看護師は弱っている患者さんを相手に働くので、優しく接するのが理想的です。
しかし、実際は私生活が影響し、患者さんに厳しく言ってしまうこともよくあります。
生活が荒れると、職場も荒れます。
辛い時こそ、自分の生活を見直してみてくださいね。
たまにはお風呂にゆっくり入ったりしてリラックスする時間も必要です。
身体に耳を傾け、自分に優しい生活を送ってみてください。
小さな目標を立てる
毎日の小さなステップが大切です。
私は毎日「この利用者さんと今日はたくさん話そう。」と目標を立てて職場へ向かいます。
すると、目標がはっきりしているので、集中して仕事ができます。
そして、帰宅中に反省会をし、新しい目標を立てます。
毎日目的もなく仕事へ行って帰るだけの生活では、何の楽しみもなくメリハリがありません。
今の辛い状況から抜け出したいのであれば、毎日少しづつの努力が功を奏するかもしれません。
職場で楽しみを見つける
自分が職場で過ごしやすいよう、気分を上げられるように工夫するのも看護師を長く続ける秘訣です。
私は職場で小さな楽しみを見つけるようにしています。
職場で楽しみが見つかると、「職場が辛い」という気持ちが少し緩和されます。
例えば、次のようなことを小さな楽しみとして実践していました。
- 憧れの先輩や尊敬する先生の行動の真似
- 好きなお菓子を持参
- 看護助手さんとの世間話
- ぜいたくなランチ
- こだわったペンやメモ帳の使用
- 職場でほっとできる場所の発見
この中でも特に、私自身が尊敬する先輩や先生の行動を真似するのが、私にとっては大切でした。
看護師の仕事が辛いと思っても、現場での自分のイメージをより良く変える工夫をすると、仕事へ行きやすくなります。
挨拶や感謝の気持ちを伝える
私は日々職場で心がけるようにしていることがあります。
- 誰に対しても平等に挨拶をすること
- 「すみません」というよりも「ありがとう」を言うこと
挨拶には人との壁を取り払う不思議な力があります。
挨拶をすることで、その人との距離が自然と近くなる感覚があります。
また、お互い気持ちいいですし、いい印象を持ちやすいですよね。
そして、「すみません」よりも「ありがとう」を多くいいましょう。
先輩から厳しく注意されたとき、「すみません」と何度も言いますよね。
ですが、「すみません」は一度だけで十分です。
それよりも「教えていただきありがとうございます、以後気を付けます」のほうが気持ちいいと思いませんか?
言葉を変えるだけでポジティブな終わり方になります。
感謝の言葉を多く使うと、教えている側もいい気分になります。
最初は大変ですが、「ありがとうございます」が染みついてくると、明るい気持ちで仕事ができるようになります。
看護師をしていて辛いと思っているあなたも、是非試してみてくださいね。
看護師が辛いと思ったときの私の選択
仕事が辛いという気持ちでどうしようもない時、私は様々な選択をしてきました。
選択できる道はたくさんあります。
まずはあなたの本当の気持ちと向き合い、無理のない道へ進まれることをおすすめします。
休職をする
もし身体的、精神的に疲れているのであれば次の対処をしてみましょう。
- 師長さんや先輩へ相談
- 病院内のスタッフのサポート(カウンセラーなど)へ相談
- 休職の選択
看護師は特に自分自身の身体の警告に鈍感です。
まずは、あなたの辛いと思うことを勇気を出して伝えてみましょう。
そして、場合によっては休職も視野に入れてください。
休職には抵抗があるかもしれませんが、時には必要なこともあります。
異動を申し出る
私は救命センターから肝胆膵外科へ異動しましたが、雰囲気がまったく違いました。
あなたが今の現場が辛いと思っているなら、新しい場所で新しいスタートを切るのも、一つの方法です。
あなたの特性をしっかり見極めて、自分に適した部署にいけるようお願いしましょう。
転職する
看護師免許を持っていれば、病院以外で仕事に就くのはそんなに難しいことではありません。
病院勤務が辛いのであれば、老人ホーム、保育園、企業など想像以上に活躍の場はあり、仕事の種類も様々です。
現在私が働いているデイサービスは、病院のように何が起こるかわからない緊張感が少ない分、病院勤務よりも気持ちが楽になりました。
何より利用者さんと会話を楽しむ時間があるので、仕事に行くのが楽しいです。
デイサービスについては、以下の記事で詳しく解説しています☟
看護師の仕事が辛い理由と対処法まとめ
看護師の仕事は他人の命を左右する場面があったり、日常では決して出会うことのない状況の中で仕事をすることが多いです。
ですので、どうしても身体的、精神的にストレスを感じやすい職業です。
しかし、辛い仕事ではありますが、患者さんが回復していく姿を見ることができるなど、うれしい気持ちを味わえる素晴らしい仕事でもあります。
無理はせず、看護師という仕事と日々向き合いながら働いてみてください。
- 看護師の私が辛いと思うとき
- 緊張感のある現場
- 人間関係
- 仕事量の多さ
- 仕事以外での勉強
- 辛い中私が看護師を続けている理由
- 患者さんの回復に寄り添える
- 一生ものの技術を取得できる
- 給料がいい
- 看護師の仕事が辛いとき私がしてること
- 患者さんに客観的に接することで、冷静に判断できる
- 他人に優しくする前に自分に優しくすること
- 小さな目標を達成することで自分が少しづつ成長できる
- 毎日挨拶、お礼を徹底する
- 看護師が辛いと思ったときの私の選択
- 誰かに相談して休職してみる
- 異動で環境を変えてみる
- 転職で新しい仕事に挑戦してみる
看護師の仕事は、あなた自身が人間として成長できる素晴らしい仕事です。
しかし厳しい職場環境なので、かならず辛い時期を経験すると思います。
ですが、もし続けたい気持ちが少しでもあれば、どんな形でも看護師を続けてほしいと私は思っています。
どんな選択をしても「あの辛い時期があったから今の自分がある」と思える時が必ずあります。
すべてのことは無駄なことではなく、これからの人生に必要なことだと思います。
今辛い日々を過ごしているあなた、ぜひ今の状況を変えるために行動してみてください。
応援しています。
なおどうしても看護師の仕事が辛くて、一旦ほかの仕事に移りたいとお思いなら、以下の記事をご参考になさってください。