看護師の長い育休明け。
あなたは復職にあたって、いくつか不安や悩みを抱いていることでしょう。
あなた自身の看護スキルは衰えていないか。
家事育児の両立はできるのか。
このほかにも色んな不安がありますよね。
そこで今回は、育休明け看護師におすすめの働き方について解説します!
- どこに復職するのか考える
- 復職におすすめの職場3選
- 育休明けに抱く不安と対処法
本記事をご覧になると、あなたが育休明けにどう働くと良いか理解できますよ。
2015年に急性期病院に入職。混合病棟へ配属され、常勤(夜勤あり)として勤務していました。消化器科・婦人科・泌尿器科を中心に内科と外科を経験。現在は第1子、第2子を出産し、育児に専念しています。今後の復帰は、特殊外来(夜勤なし、土日祝休み)を希望しています。
育休明けの看護師がとる選択肢
看護師が育休明けに復帰する職場には以下の選択肢があります。
- 育休前と同じ部署
- 同じ病院に復帰するが異動する
- 退職し、転職をする
同部署への復帰
育休明けの看護師が同部署に復帰するケースは多いです。
同部署への復帰のメリットデメリットを押さえておきましょう。
ポイントは、以下の通り。
- あなたへの期待に応えられるのか
- あなた自身が辛い思いをしないか
しかし、子育てしながら以前と同様の仕事量、仕事内容をこなせるでしょうか?
同部署への復帰のメリットは以下の通り。
- 転職よりも保育園入園がしやすい
- 業務内容が予測しやすい
- 以前の知識を生かすことができる
- 顔見知りのスタッフが多い
デメリットは、以下の通り。
- 残業や夜勤がある職場だった場合、また残業や夜勤をする可能性がある
「朝早く情報収集を行い、残業もしていた」という環境ならどうでしょう。
残業なんかできませんよね。
- 残業なく帰れるように仕事量やシフトを調整してくれる上司でしょうか?
- 17時に定時退社する時、あなた自身が肩身の狭い思いをするような職場環境ではないでしょうか?
(※)保育園の点数とは
- 勤務時間、夜勤業務の有無により保育園入園にかかわる点数をつけられる
- 求職中の場合、フルタイム勤務より低点数となる
- それぞれの地域によって点数のつけ方は異なる
異動
ポイントは以下の通り。
- 異動したい部署が明確か
- 自身の優先すべき条件を満たしているか
異動先への復帰のメリットは以下の通り。
- 転職よりも保育園入園がしやすい
- 新たな知識を学ぶことができる
- 好きなシフト形態を選択することが可能となる
デメリットは、以下の通り。
- 業務内容が予測しづらい
- 新たな人間関係を築く必要がある
以前と同部署では「今の生活に合わない。」
そう考えた場合、次に異動を考える人も多いと思います。
- 異動を考えるあなたは、「どこに」異動希望しますか?
- もしあなたが外科病棟で働いていたのなら、内科病棟はどうでしょうか?
- もしあなたが病棟業務だったなら、外来業務はどうでしょうか?
外来業務でも患者数の多い消化器科などは残業があり、予約制である眼科は残業が少ない、など科による違いもあります。
また特殊な手術室、透析室の業務はどうでしょうか?
異動するなら、「どこに」異動したいのかが重要です。
異動というのは、同じ病院内でも未知の世界です。
物の配置、その科のルール、新たな人間関係など多くのものが変化します。
関連記事:透析看護師になって後悔する理由6選|未経験なら向き不向きも要確認!
退職後に転職
ポイントは以下の通り。
- 転職活動が保育園入園に影響しないか
- 希望に沿った就職先かどうか
退職後に転職をするメリットは以下の通り。
- 子供との生活を優先した職場で働ける
デメリットは、以下の通り。
- 育休後は原則復帰が条件である点
- 求職中だと保育園入園するための点数が低い
- 転職活動をしなければならない
- 慣れない職場環境となる
やはり子ども中心の生活を考えると転職という選択肢に行き着く方も多いでしょう。
- 結婚や出産を経て、住居は変更しましたか?
- 今の住居から職場への距離は?どのくらいの時間かかりますか?
- あなたが保育園の送迎をするなら、園の時間内に送迎できますか?
転職するということは保育園入園の申請では求職中となり、申請点数が低下します。
ただ、求職中でも入園可能な地域だったり周囲の協力を得られるなら、転職を視野に入れてもよいですね。
ただし、復帰できなかった場合や復帰後すぐに退職した場合は、合理的な理由を転職希望先の面接で説明できるようにしておきましょう。
育休後の転職に関しては色んなケースがあります。
面接対策などは、ママナースの支援実績が豊富な転職サイトのキャリアアドバイザーに相談することをおすすめします。
- ナースではたらこ ※ママナースの復職支援に強みがある。2022年オリコン顧客満足度調査 看護師転職 第1位
育休明けの看護師におすすめの職場3選
ここでは、育休明けの看護師にとって、具体的にどんな職場がおすすめかを解説します。
総合病院の内科病棟
総合病院はスタッフが多く、代わりが利きやすいのがメリットです。
外科病棟の特徴は、以下の通りです。
- 患者の入れ替わりが激しい⇒情報収集に時間がかかりやすい
- 手術や医師が行う処置が多い⇒スケジュールが立てにくい
- 介護度は低め⇒ケアが少なめ
一方、内科病棟の特徴はこちら。
- 患者の入れ替わりは少なめ⇒情報収集は早い
- 手術は少なめ⇒自身のスケジュール管理能力が大事!
- 介護度が高い可能性あり⇒ケアが多い
どちらも異なる忙しさはありますが、自身でスケジュール管理をしやすいのは内科病棟と言えますね。
- 外来ではなく、病棟業務をしたい
- 土日勤務や夜勤業務をしたい
- 保育園の送迎があり、朝夕とも時間に余裕がない
- 保育園の送迎どちらかは、家族の協力が得られる
- 家族優先だけど、患者との関わりや知識向上もしたい
病棟でも平日のみの勤務、夜勤免除など調整は可能です。
一人ひとりの患者に向き合う仕事が好きな方には、内科病棟をおすすめします。
特殊外来
育休明けに外来業務を希望するママナースは多いです。
外来業務のメリットは、やはり残業が少ない点。
- 一般外来
- 周術期外来
- 在宅相談室
これは一部です。
他にも様々あるでしょう。
特殊外来では、午前中の勤務や予約のみの対応が多く、緊急の業務がほとんどありません。
例えば、以下のような特殊外来があります。
- 禁煙外来
- スト-マ外来
- がん看護外来
- もの忘れ相談看護外来
- セカンドオピニオン外来
特殊外来は、体調不良の患者が来られる一般外来と異なり急ぐべき業務が少ないです。
- 土日勤務や夜勤業務を避けたい
- 保育園の送迎があり家族の協力を得ることが難しい
- 家族を犠牲にすることなく一人の患者に寄り添う看護もしたい
家事や育児に家族の協力が得られないあなたには、外来のなかでも特殊外来をおすすめします。
訪問看護
訪問看護は、患者の自宅へ訪問する時間があらかじめ決まっています。
メリットは何といっても残業の少なさ!
ただし、オンコールがある訪問看護ステーションも多いです。
しかし急な手術などを行う病棟での急変とは状況が異なります。
デメリットとしては、訪問看護ステーションは、スタッフが少ないこと。
しかし総合病院よりもアットホームなことも多いです。
- 育休前から訪問看護をできる知識を得ている
- 月に何度かのオンコール対応なら可能である
- 保育園の送迎、家事育児を優先したい
訪問看護は基本的に看護師1人で在宅訪問します。
そのため、1人で訪問する知識がない状態での転職は、あまりおすすめしません。
それなりに経験を積んだ方であれば、転職も視野に入れてよいでしょう。
スキルが不安な方は、医師と行動する在宅診療を検討するのも一つの案です。
- ナースではたらこ ※ママナースの復職支援に強みがある。2022年オリコン顧客満足度調査 看護師転職 第1位
看護師が育休明けに抱える不安と対処法
育休明けのあなたは、復帰する場所以外にも不安を抱えていませんか?
育休明けの看護師が抱く不安には、以下のようなものがあります。
- 看護師のスキルの衰え
- 復帰後の業務内容
- 同僚に迷惑はかからないか
- 家庭と仕事の両立
このあと、それぞれ解説していきます。
看護師のスキルの衰え
1年の育休明けでも勘取り戻せずに不安しかないのに。
潜在看護師……紙カルテ→電子カルテルートキープ等々 不安。
働いてる間、ポッキリ折れたメンタルをフォローどころか、四方八方から折りまくり看護師に向いてないよね。とか言う人間関係な職場ですよ。
自転車操業で人員確保したツケです。— おろしうどん (@KR41EARMVVkPwNk) April 21, 2020
現場を離れた期間が長いほど、不安は募りますよね。
やはり人間ですから、時間が経過すれば知識も薄れてしまうものです。
- 聞ける同僚がいれば、増えた疾患を聞く
- 増えた疾患を予習、以前から受け持ちをしていた内容を復習
- 復帰する際の挨拶では『教えてほしい』スタンスで!
⓵に関しては顔見知りの同僚や師長さんに聞けば大丈夫。
⓶に関しては、復帰をする看護師の多くが取り組んでいることでしょう。
問題は⓷です。
あなたは、復帰時の挨拶を考えていますか?
一言二言、復帰時に挨拶をすることでしょう。
その時、以下の挨拶ならどちらが教えたい、協力したいと思うでしょうか?
- はじめましての方もいると思いますが、以前ここで働いていて1年ぶりの復帰です。よろしくお願いします。
- 以前ここで働いていましたが、変わったことや忘れてしまった部分もあるので、後輩のみなさんも間違っていることは教えてもらえると助かります。
どちらも聞こえは悪くありません。
しかし、②のほうが教えやすいように感じませんか?
カバーしてあげよう、と思ってもらえるような自己紹介を心がけるとよいですね。
復帰後の業務内容
また、復帰後の職場の不安も多く耳にします。
看護師です。育休明けにコロナ病棟に復帰です。不安で不安でしょうがない…。辞めたい…。前までは、育休手当もらい逃げするわけないじゃん!!!と思ってましたが…小さい我が子を見ると涙が出ます。看護師なんて使い捨てですよね
— 育児中ママ (@JOk5LvLbCmtrUBK) April 22, 2020
異動先での不安は、受け入れなければいけない事実です。
- 異動時の業務内容や必要な知識について、事前に確認を!
- あなたの優先順位を確認し、上司にはっきりと伝える
復帰する際、管理者と面談があるのがほとんどだと思います。
その際に、復帰する部署での業務を詳しく聞きましょう。
またその面談の際に大切なことは、もう一つ。
必ずあなたの条件を、はっきりと伝えましょう。
- 保育園の送迎
- 定時退社
- 夜勤業務の有無
- シフト上の希望
このような条件をまず紙に書き、優先順位を明確にします。
その上で、復帰前から上司に伝えます。
上司の人柄にもよりますが、その条件を基に異動先を考えてくれる可能性もあります。
また転職する際も面接では、必ず条件を伝えましょう。
入職してから「なんか違った」「もう辞めたい」となると、時間も労力もムダになってしまいます。
同僚に迷惑はかからないか
急に早退をする場合、あなたの仕事を誰かに任せなければなりませんね。
そこに罪悪感を覚え、肩身の狭い思いをする方が多いです。
その点、他のスタッフが不満を抱くことも多いでしょう。
以下のツイートをご覧ください☟
どうしても休みたいがあるのに休みかぶった看護師が子持ちだからって理由で私の休み日勤でもいい?って聞かれた。
子供の行事外せないのは分かるけど、私だってどうしても外せない用事はある。独身だから、新人だからって休めない、時短勤務のしわ寄せもいつも独身。
こんなこと言いたくないけど— ニーナ (@ninako728) September 13, 2021
- 子どもの行事はシフト希望時に忘れず入れる
- 子どもの体調不良時以外は急なシフト変更は避ける
私はママナースですが、もちろん以前は独身ナースでした。
ママナースの味方をしたい半面、その他のスタッフの言い分もよく理解できます。
- Aさんは2児のママナース。朝は通常通り出勤し1時間早く退社するという、時間短縮制度を利用していました
- Aさんは、子どもの行事はシフト希望時に「運動会」「入学式」と詳細に記載していました
- 16時退社ですが、16時に接続する点滴等があっても仕事を仕上げてから退社していた
こんなAさんに対して、スタッフからは不満ではなく、以下のような戸惑いの声がありました☟
それを知って、Aさんはこう思ったそうです☟
できるだけ子供の行事等の予定は、同僚にも周知しておくことです。
それ以外のシフト変更は、体調不良以外は避けられるようスケジュール管理してくださいね。
希望条件を受け入れてくれるか
- 社会や職場のルールを確認する
職場の協力を得るには、あなた自身が社会や職場のルールを押さえておく必要があります。
例えば、職場の管理者が行う以下の事例は、社会や職場のルールと照らし合わせると疑問です。
- 時短労働を認めない
- 夜勤免除の申請を拒否する
- パートタイムへ転換の強要
- 社会保険加入の拒否
- 育児・介護休業法を無視した業務命令をする
これらは職場の管理者が単に無知だからってこともあります。
詳しくは厚生労働省HPの、育児・介護休業法についてを確認してみてください。
また、日本看護協会HPの、看護職の働き方改革の推進にも情報があります。
育児・介護休業法は、育児短時間勤務を「1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むもの」としています。
所定労働時間の4分の3未満の勤務時間でも、
⑴週の所定労働時間が20時間以上
⑵勤務期間が1年以上
⑶月額賃金が8.8万円以上
⑷学生以外
⑸従業員が501人以上以下これらの条件を全て満たす場合は、社会保険適用となりえます。
復帰前に、必ず以下のことを確認しましょう。
- 育児・介護休業法
- 社会保険が適応となるか
- 年次有給休暇はもらえるか
- 復帰時には、1日何時間、月に何回の勤務を遂行するか
- 育児・介護休業法と異なることを強要された場合の連絡先
社会のルールと異なったことを強要された場合は、退職を検討する前に、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に問い合わせしてみてください。
育休明け看護師の働き方まとめ
最後に記事の要点を以下にまとめておきます。
- メリットデメリットを考え3つの復帰先を決める
- 育休明けにおすすめの職場
- 総合病院の内科病棟
- 特殊外来
- 訪問看護
- スキルの衰えはコミュニケーションスキルで補う
- 復帰後は自身の勤務条件を周知徹底し乱さない
- 復帰後の希望は復帰前から根回しする
- 育休明けの労働者の権利を勉強しておく
周囲と相談しながら、育休明けにあなたが無理なく看護師として働ける環境を築いてくださいね。
ママナースの働き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
合わせてご覧になってください☟