賞状書士は、賞状や卒業証書などに体裁よく美しい字を書く仕事です。
賞状書士の仕事は、賞状のほかにも、感謝状、はがきの宛名書き、のし紙、席札、名札、式次第、看板など、多種多彩な筆文字を書くという仕事です。
最近では、パソコンで筆文字の書体にて作成することも多くはなりましたが、学校や企業の行事などでは、まだまだフォーマルな筆文字で書かれることがほとんどです。
ですから、筆文字を美しく書ける人材は、大変貴重な存在と言えるのです。
今回は、賞状書士になるにはどうすれば良いか、どれくらいの技術があれば良いのかを解説!
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賞状書士になるには民間資格の取得を目指すこと
実は、賞状書士になるには特別な資格はなく、きれいな字を書くことができれば、一生使えるスキルです。
とは言え実際は、書歴が長い人、書道の師範資格を持つ人が賞状書士になるケースがほとんどです。
ですから、あなたが「筆に慣れている」なら特におススメします。
書の経験がなく、今から勉強していきたいというあなたは、まず民間資格の取得を目指しましょう。
資格取得の養成講座を開講しており、通学または通信で効果的に学習することができます。
民間資格はたくさんあり、下記に通信で取得できる民間資格をご紹介します。
レベル | コース費用 | 期間 | |
---|---|---|---|
日本賞状技法士協会 |
準3級、3級、2級、準1級、1級
|
28,000~45,000円
|
6ヶ月~12ヶ月
|
日本筆耕技能協会 |
3級、2級、1級
|
37,800~40,950円
|
12ヶ月
|
ユーキャン |
1講座のみ、初めての方
|
38,000~47,000円
|
8ヶ月
|
NHK学園 |
1講座のみ、初めての方
|
40,500~44,000円
|
12ヶ月
|
日本賞状技法士協会の「賞状技法士」
該当のコースを終了すると試験を受けることができ、合格すると所定の級を取得できます。
1級試験は公開検定試験制度のため、学歴・年齢・性別・実務経験・書歴などに制限はありません。
3級の方がいきなり1級を受験することも可能です。
日本賞状技法士協会のホームページ
http://www.atene-kyoiku.co.jp/
日本筆耕技能協会の「賞状書士認定」
3級、2級、1級の3段階のレベルに分かれています。
3級から1級ずつ試験を受けていきますので、3級からの受講が必須で、飛び級はできません。
日本筆耕技能協会のホームページ
http://www.nhgk.jp
ユーキャンの「賞状書法講座」
賞状用具8点がプレゼントされるのですぐにレッスンが受けられます。
ライトテーブル付きのコースもあります。
ライトテーブルの上に賞状用紙を置くと、光によって下の線や文字が透けるので、それを写して書くことで賞状書きがより簡単にできます。
まずは、無料の資料請求をして検討してみてください。
ユーキャンの公式ページ
https://www.u-can.co.jp/
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NHK学園の「ビジネス書法士」
教具ありコース/なしコースの2コースがあります。
添削9回を、受講期間(12ヶ月)を過ぎても、6ヶ月は無料で延長して勉強することができます。
講座を修了された方は、「NHK学園認定ビジネス書法士」の資格検定3級が受験可能です。
合格後は2級、1級と順に上位の級を受験することができます。
NHK学園のホームページ
https://www.n-gaku.jp/life/course/944
賞状書士に求められる技術レベル
賞状書士の仕事には、資格は要りませんが、毛筆の基礎知識や知っておくべき知識や技能などはたくさんあります。
大きく考えると2つあります。
それは、「レイアウトの技術」と「細字を書く技術」です。
レイアウトの技術
賞状書士は、一般的な賞状や封筒宛名、のしなど、さまざまなレイアウトに対応できなくてはいけません。
例えば賞状ですと、いくつかのパーツによって文字の大きさが違うのです。
もし、タイトルともなる「表彰状」の文字と、本文の文字が、全て同じサイズで書かれていたらどうでしょう。
とても読みにくくて、「うるさい」賞状に見えませんか?
メリハリのある美しい賞状を作り上げるには、文字の大きさ、余白の取り方など、レイアウト技術が肝となります。
書道を習っていても、賞状を書くレイアウトを学ぶことはほぼないと言っていいでしょう。
やはり賞状書士となるには、賞状特有のレイアウトを学ぶ必要があります。
上記で挙げたような民間資格の講座では、レイアウトの勉強をしっかり行うので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
細字を書く技術
賞状は、楷書で細字で書けなくてはいけません。
文字サイズを数値で表すなら、だいたい一文字5mm×5mm程の小さい文字を書く力が必要です。
私は最初は、息を止めながら数文字を書いていて、苦しくなった程です。
また、暖かい場所では特に、墨が固まり粘り気が出てくるので、筆にからまり、文字がかすれてしまうことがあります。
墨に水を適量加えてのばして墨の濃度を調節したり、筆を洗って穂先を整えたりしながら書きましょう。
1枚の賞状の中で、同じクオリティで細字を書き続ける技術が必要となります。
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賞状以外のものに書いた体験談
「筆文字を美しく書ける」ことで、賞状などの紙以外にも、筆文字を書いてほしいという依頼があります。
紙以外に書く場合は特に、依頼者と出来上がりのイメージを共有し、それを実現するための発想力も必要だと思います。
例えば、看板制作です。
依頼者から支給された素材が木であったため、墨汁を2種類混ぜて粘り気がある状態の墨汁で書きました。
普通の墨汁ではさらさらしているので、木に墨汁が染み込み、木目に沿ってにじんでしまったためです。
依頼者も、「素材×墨」の関係までは考慮できていなかったようで、私は何度も試行錯誤しながら書きました。
特に、紙以外ではトロフィーや看板などは、「替えがないもの」「素材自体が高価なもの」がある場合があります。
失敗しないために、事前に下書きしたり、別のもので練習したりしましょう。
また、マラソン大会のチームTシャツに、チームのスローガンを筆文字で書いたこともあります。
文字の大きさ別に3パターンほど半紙に書き、依頼者に提出しました。
どんなイメージに仕上げたらいいか依頼者に聞いても、「おまかせします」との返事だったので、いくつか筆文字の画像を見せて、どんな仕上がりにしたいかを共有しました。
そのやりとりの中で、Tシャツは黄緑色、筆文字は白字で背中部分にプリントされることも分かってきたのです。
イメージを言葉で伝えることは、なかなか難しいことだと私は思います。
「すっきりとしたイメージ」「メリハリがほしい」など分かったような分からないような気がしませんか?
そういう場合には、依頼者の希望を、イメージ図や画像などで、共有しておくことがとても大切だと思います。
賞状書士になる心構え【責任重大です】
在宅で黙々と集中して作業をこなすことが多いですが、長時間、文字を書き続けるのは、肉体的にも精神的にも非常に疲れます。
集中力が途切れたときに、書き間違えて書き直しとなってしまうこともあります。
最後まで気を抜くことができません。
本来賞状とは、自分が誉めてもらったり、何かをやり遂げたりしたときにいただくもので、もらって嬉しいものですよね。
実は、私は残念な賞状をもらったことがあります。
中学校の卒業証書で自分の苗字が間違って書かれていたのです。
後日、校長先生と担任の先生が、正しい名前が書かれた卒業証書を持って自宅に謝りに来られました。
やはり間違った名前が書かれた賞状を見たときは、何とも残念な気持ちになりました。
賞状は、贈られる人にとっては一生の思い出となるものです。
その意識は絶対に忘れないで仕事をしてください。
賞状書士に限りませんが本当に責任重大なんですよ。
「賞状書士になるには」まとめ
賞状書士になるには、特別な資格は不要です。
書道経験がある方が多いですが、経験がない方でも、民間の資格を取得して賞状書士の仕事ができるので、誰でも始められることが魅力です。
- 特別な資格は不要
- 書道経験があると始めやすい
- 書道経験がない場合は、民間資格を取得してから始めよう
- ユーキャン 賞状書法講座|公式サイト
- 文字の大きさ、余白の取り方など、レイアウト技術が必要
- 賞状書士には、細字を同じクオリティで書ける技術が必要
- 在宅で行うことが多く、集中力が続く方に向いている
- 賞状は、贈られる人にとっては一生の思い出となるものと肝に銘じておく
賞状書士は、「資格をとったら終わり」ではなく、一生をかけて技術を磨いていく姿勢が必要だといえるでしょう。
最初は腕が鈍ってしまうので、毎日筆を持つようにしないといけません。
冠婚葬祭や式典、賞状など、フォーマルな場では、賞状書士の需要は絶対になくなることはないと思います。
確かにパソコンが普及し、手書きで書かれている文書が少なくなってはきました。
しかし、逆に「きれいな文字を書けない人が多くなってきている」ということだとも言えないでしょうか。
あなたが書く文字を、待っている方がいますよ。
さぁ、一緒に賞状書士として活躍してみませんか?
なお賞状書士の仕事の探し方については、以下の記事をご参考になさって下さい。