昨今IT系の職種の中では社内SEの人気が高くなっており、転職希望者が増えています。
そんな疑問があることでしょう。
そこで今回は、社内SEが人気の理由について解説します。
と同時に社内SEの人気に潜む落とし穴もお伝えしますので、ご参考になさってください。
社内SEが人気の理由12選
社内SEはなぜ人気が高いと言われているのでしょうか?
一般的にSEの仕事というと、納期前に休む日もなく長時間の残業をしたり、過酷な労働環境をイメージするかと思いますが、社内SEはこういったワークスタイルとは異なる環境で働けるという魅力があります。
裁量の大きさ・自由度もかなり高く、SEがそもそもやりたいことを実現できるのが社内SEなのです。
社内SEが人気の理由を簡潔に言うと以下の通りです。
- お客さんは自社の社員
- ユーザーからのフィードバックを直接もらえる
- ユーザーから感謝され、達成感もある
- 開発・構築するのは自社のシステムのみ
- 請負などによる契約責任が無い
- 自社内で仕事ができる(客先に常駐しなくてよい)
- 自社のために開発ができるというやりがいがある
- 社内折衝やユーザーサポートなどコミュニケーションがメインの仕事
- 全社への影響力が大きい
- システムを通じて自社の業務プロセスや経営状況を把握する事ができ、SE以外に職域が広がる可能性がある
- IT戦略やシステム開発における上流から従事できる
- やってみたいプロジェクトや業務に関わりやすい
社内SEが人気なのは自由があるから
社内SEが人気となっている背景にはメリットや魅力があるからですが、実際に社内SEになって得られるものとして、一番感じるのは下記の2点であることは間違いありません。
- 時間の自由
- 行動の自由
1つ目の「時間の自由」については、よく社内SEは「残業が少なくて楽そう」というイメージを持たれやすく、実際傍から見るとそう思われてしまうような事実もあるのですが、2つ目の「行動の自由」があるからこそと言えます。
なぜ「行動の自由」があるのかというと、社内SEの場合、課題や目標はありますが、客との契約が無い(=納期が無い)のが一番大きな理由です。納期に関しては自社が相手とはいえ、全く無いわけではないのですが、やはりある程度融通が利きます。
しかし「自由」には責任が伴いますので、毎日今日一日何をするか、自分を律して動くことが望まれます(※指示待ち型・場当たり的・無計画に働いていてはNGです)。
自分自身の意思を持っていないと「ITの何でも屋」「IT介護士」だけになってしまいやすく、経営者や社内のユーザーの思いつきやクレームに振り回されて終わってしまう仕事人生になってしまうかもしれないので、その点は要注意です。
社内SEの人気に潜む落とし穴
社内SEになってから、今まで見えていなかった部分が見えてくるようになりますが、人によっては落とし穴にもなりますので、注意事項としてご参考ください。
社内SEへの転職を現実逃避の手段にするのは要注意
現在あなたがSIerなどのSEで、下記のような理由で精神も肉体も疲弊している状態だとします。
- 客先からのプレッシャー
- 会社内の人間関係
- 長時間労働
もしこのような状況が理由で転職を考えているとしたら、あなたが本当に望んでいるのは社内SEになることではなく、ストレスや将来への不安からの解放ではないでしょうか?
このように転職の動機・目的が「苦痛からの解放」となってしまうと、新しい職場で別の新たなストレスや不安に悩まされることになります。そしてまた同じ理由で転職を繰り返すことにもなりかねません。
自分のスキルや経験とは関係なく、初心に立ち返り「SEになろうと決意した理由」を思い出してみてください。
「SEとして何を成し遂げたかったのか?」
こういった目的、目標、使命感が無いと、仮に新しい職場が無事に見つかり、人間関係も良く、収入も安定していたとしても、どこか心の中に疑問を持ちながら働き続けることになります。
社内SEはITに詳しい社員という位置づけ
過酷な労働環境のSEから、社内SEに転職できたら天国の職場に来たような気分になるかもしれませんが、それはあくまでも同じSEという土俵で見た場合の話です。
一旦、社内SEとなってしまうと、喜びも束の間、一般企業の間接部門の社員スタッフの1人となってしまいます。
一般企業では、会社はあなたのことを、情報システム部門にいる「ITに詳しい社員」として見ています。
これは、あなたが今まで自分のアイデンティティだと思っていたSEとして見てもらえなくなることを意味します。
これが社内SEになって失うものの1つかもしれません。
経営者はあなたの専門については完全にブラックボックスで、何を考えているのか、何をしているのかがよく理解できていないことが多いのです。
あなたが会社にいかに貢献しているかという視点だけで見られることになります。
SE時代は日々自分自信で手を動かしてプログラミング作業していたかもしれませんが、社内SEになると、開発する機会や時間はどんどん奪われていきます。
あなたが今までSEとして培ってきたスキルは、問題・課題の解決手段の1つになってしまいますので、ITの専門技術を活かす仕事にやりがいを感じている方ですと、次第に社内SEとしての仕事に対して熱意が薄れていってしまうかもしれません。
社内SEは大変だが社内では唯一無二の存在
業界によっては事情も条件も変わってきますが、大変そうだけど「社内SEを自分もやってみたい!」と思われたでしょうか?
「やっぱりSEの方がいいや」と思われたでしょうか?
社内SEは社内のIT環境を支えているため、唯一無二のポジションを自ら構築することができます。
また、その広い業務範囲ゆえに、長く続ければ多くのスキルを身につけることも可能です。
IT技術だけでなくコミュニケーションスキルも習得できますし、それらをスキルアップしたい人には向いている業種なのは間違いありません。
社内SEになって良かったこと
最後に、私個人の体験も踏まえて、社内SEになって良かったことをお伝えします。
現在はITなくして事業が成り立たない業界・業種が圧倒的に多くなっていますが、まだ日本では、会社という組織の中で、社内SEは花形とはほど遠い部門と認識されています。
ITが無い時代からビジネスをしている企業は
- 情報システム部門は裏方で、自分達が花形
- 情報システム部門は直接的な利益を生み出さないコストセンター
という意識が強く、なかなか情報システム部門の立場が上がりません。
おそらく、ITがブラックボックス化している経営者が多く、多くの企業にとってITそのものがビジネスモデルではないからでしょうか。
ビジネスモデルを効率化するためにITを活用しているわけですね。
一方で、社内SEのお客さんは会社の経営者や社内のユーザーが相手となりますので、システム化に関わる過程で、IT以外の業務(人事、経理、総務、業務管理、経営)について、かなり幅広い知識が身に付きます。
知識が増えることで視野が広がり、自分の立ち位置や考え方が変わったのが良かったと考えています。
逆説的な言い方になってしまいますが、社内SEになることで、自分がSEだというアイデンティティさえも薄れていき、エンジニアという枠を超えることができます。
社内SEが人気の理由まとめ
社内SEとして経験を積めば、経営層に近い目線での業務が増えていく可能性もあります。
少し大袈裟な言い方をすれば、常に会社全体の経営リソースや業務プロセスの最適化の事を考えているので、今後社会全体がIT化していく中では、経営者になれる一番近い職業とも言えます。
将来のキャリアアップにもつながる仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
- 社内SEが人気の理由は、自由度が高く、SEがそもそもやりたかったことを実現できるため
- 社内SEになるとある程度の裁量の自由が得られるが、結果や成果に対する責任も伴うため、自己管理能力が必要
- 社内SEへの転職目的を現職の苦痛からの解放にしてしまうと長続きしないので、SEとしてそもそも何を達成したかったのか、という原点を思い出す
- 社内SEになるとSEとしてのキャリアは終わってしまうかもしれないが、視野が広がり、SEという職種に固執しなくなる
なお社内SEになる方法について、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさってください☟