美容師国家試験に合格し、無事に美容室に入社しましたら、一人前になるために日々練習、ですよね!
しかし練習と言っても、何をどうすればいいのでしょうか。
例えば野球部の練習なら、キャッチボール、走り込み、捕球の練習など、試合中に起こることをそれぞれ分けて練習しますよね。
では美容師アシスタントはどうするのでしょうか。
ひたすらシャンプーをする?
ひたすらウィッグと向き合ってカラーやカットの練習をするの?
間違ってはいませんが、なにもそれだけではありません。
この記事では美容師アシスタントを経験した私が、美容師アシスタントの練習方法にどんなものがあるかをご紹介いたします。
定番から意外な練習方法まで解説しますので参考にして下さい。
美容師アシスタントの練習方法は主に5つ
経験年数によってその数は変わりますが、美容師アシスタントの期間に出来得る練習方法です。
必要に応じてそれぞれ使い分けますが、主に下の5つに分けることができます。
- ウィッグを使う
- 実際の人頭を使う(先輩の頭を借りる)
- 技術チェックをしてもらい、指導を仰ぐ
- 先輩の動きをみる
- モデルをハントする
これらの方法が挙げられます。
ただし一年目からモデルをハントすることはありません。
では実際に、どの方法をどんな時に使ったらいいのかをお教えしましょう。
ウィッグを使った練習方法
美容師の世界でウィッグは、マネキンの頭の部分だけのことですよね。
そして髪の毛の素材は、人工毛や人毛などさまざまです。
毛流やつむじもなく、毛量の多少やうねりもないので最初の練習としてはやりやすいです。
数学で言うと基礎の公式のようなところです。
ただし横向きに置いて固定することが難しいので、シャンプーの練習には向きません。
基本の手の動きを確認するためやその説明の時に使用しますが、主に反復練習を行うときに使います。
例えばカラーリングの練習に、白髪染め、おしゃれ染めなどの用途別に。
もう少し経験数が経てばブローの練習に、何度も濡らしてブラシとドライヤーで綺麗な艶とカーブをつくっていきます。
またはパーマの練習に、巻き方を変えて何通りものウェーブを作ります。
パーマの場合は何体も必要になることがあります。
人の頭を使った練習方法
同期同士でシャンプー練習をしたり、お互いにカラーリングをし合うことで、塗り方のムラや時間経過による薬剤の反応の違いをきちんと見られるので貴重です。
一人ひとり、毛流やつむじの位置、頭の形や毛量も違うので、それぞれの頭に合った手の動きを考えなければなりません。
数学で言うと応用のところです。
一番最初にシャンプーの練習ですることになりますが、同期や先輩に協力してもらうことで、力加減や頭のブレなどもチェックしてもらえ、アドバイスも貰いやすくなります。
またカラーリングでは、上位アシスタントになると新しいカラーを試すこともできます。
塗られる側では、「下手に塗られる気持ち悪さ」も体感でき、何に気をつければ良いか、わかりやすくなります。
チェックをしてもらい、指示を仰ぐ
例えばウィッグを使ってカラーリングの練習をした後、自分だけでチェックして練習用のクリームを流し、再び練習するなどはもってのほかです。
先輩に見てもらうと、不足している部分、、過多な部分、注意すべき部分を教えてもらえるので、自分自身が気を付ける部分なども気付けるチャンスです。
何度も反復練習することも必要ですが、その都度、先輩に見てもらい、または見てもらいながらの練習が上達につながります。
PDCAという言葉をご存じでしょうか。
それぞれ、Plan(計画) Do(行動) Check(評価) Act(改善)ということなのですが、反復練習の基本のようなもので、ちょうど大事なC,Aの部分にあたります。
このPDCAによって質の向上やスピードアップを目指します。
先輩の「動きをみる」という練習
この練習方法は主に営業中です。
実際にお客さんで練習するわけにはいきませんが、先輩がお客さんにどう接しているのかは見ることができます。
むしろそこが将来あなたのたどり着くところなのです。
先輩がお客さんに対する技術すべてに答えがあります。
例えば、以前私が店長と一緒にカラーリングをしたときがありました。
同じ道具を持って同じように半分ずつしているのに、キャリアの違いから当然時間差が生まれます。
当時の私はまだカラーリングのテストになんとか合格して少し経ったくらいで、まだ目の前の髪に薬を塗ることに必死で、そのことにすら気付けていませんでした。
そして店長に相談したのです。
すると店長は、「せっかく一緒に塗っているのに、まりもはまだ周りが見えていない。私でも他の先輩でも、塗り方を真似してごらん。」と言ってくださいました。
そこで私は確かに必死だったと気付き、次回、店長の動きを見てみると、本当に無駄がなく、大胆に一度の手間で塗りきっていたのです。
じゃぁ私は、と省みると、細々と塗っていることに気が付きました。
そこからはまたPDCAの反復練習に戻りますが、営業中に先輩アシスタントやスタイリストと共に入客したり、先輩の行動を観察することで見えてくるものがあります。
モデルをハントして行う練習方法
この段階になるともうスタイリストデビュー間近となるでしょう。
営業終了後や休日を使ってハントし、定休日ではなく自身の休日の日にお店に来てもらったり、営業終了後に来店いただいて、モデルとして協力してもらいます。
実際にモデルをハントするまでに、ウィッグで練習して後輩アシスタントの髪を切ったりカラーリングやパーマを当てたりすることになります。
それらに合格したうえで、スタッフという限られた人数から、さらに多くの、または多種多様の髪質や毛流などに対応できるように、スキルを上げていきます。
あなたは街でカラーモデルの声をかけられたことはありませんか。
最近はカットだけではなくカラーのモデルを探すことも多くなってきました。
カットはもちろん、カラーリングでは体温も重要になってきますので、本当にたくさんの人を経験した方がいいのです。
美容師アシスタントは常に目標を持った練習を心がける
これまで様々な練習方法を挙げてきましたが、何よりも大事なものはこの「目標」ではないかと思います。
「練習しないと上手くならないって言うから」と、営業終了後に残ってだらだらと何度も同じ練習をする。
これは無意味でしかありません。
今、何の練習をすれば良いか、何を習得するべきかをきっちりと定めることが大事です。
シャンプーにしても、「泡を飛ばさない」や「流し残しをしない」、「力加減を均一にする(または抑揚をつける)」など、チェックを受けることで課題は出てきます。
カラーリングでも「スピードを上げる」「薬剤の量を均一に塗る」「塗り残しをしない」等、気を付ける点もたくさんあります。
一度ですべて気を付けて出来ればいいのですが、何かに集中すれば何かを忘れる等、なかなか難しいのです。
一つ一つを確実にこなし、意識しなくてもできるように、目標を決めて体に覚えこませるほど練習する、ということも大事です。
美容師アシスタントの練習方法まとめ
美容師は専門職である以上、多種多様な練習方法があるわけではありません。
しかしだからといって、一つだけの練習方法に固執する必要もありません。
使えるものはすべて使う勢いでいいのです。
- ウィッグを使って動きを確認
- 人頭で実際に経験してみる
- 先輩に指導をもらい、更なる質の向上
- 先輩の動きを見て真似をしてみる
- モデルをハントしてカットやカラーの経験値を上げる
以上、方法は5つですが、すべてに共通する「目標」は忘れてほしくありません。
もしご家族や親戚が了承して協力してくれるのであれば、一年目でもカットの練習をしてみてもいいでしょう。
ただしその時に何も考えずにただざくざくとカットしたのであれば、ご家族も「遊びにされた」と不満ですよね。
目標を決めて一生懸命に練習する姿を見れば、ご家族も「力になれた」と満足でしょう。
その時その時で、何を目標として練習をするのか、きちんと定めることが大切です。
なお、美容師アシスタントの一日の仕事内容については、以下の記事をご覧ください。