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【合格体験記】ソムリエ二次試験の対策とテイスティングコメントを解説

ソムリエ試験の二次試験には、テイスティングと論述問題があります。
論述問題は、三次試験の成績に加味されるものですが気を抜けません。

テイスティングは近年、レベルがあがっています。
基本品種だけでなく、ソムリエコンクールなどで使われるようなマイナー品種も出題され始めました。

あなたも「ソムリエ二次試験ってどう対策をしたらいいんだろう?」と思われているのではないでしょうか。
私はお酒がほとんど飲めない、 ワインの勉強は始めたばかり、そんな状態からソムリエ試験に合格しました!

ポイントを押さえて勉強していけば、大丈夫です。
現役ソムリエの私が、ソムリエ二次試験の対策とテイスティングコメントを完全解説します。

ソムリエ・ワインエキスパート対策

ソムリエ二次試験で必要なテイスティングコメント


解答する項目をご紹介します。
項目ごとに、私が基準としてる解答例もあわせてご紹介しますので、参考にしてみてください。
あくまで試験に受かるための解答だということを念頭においてください。

試験において重要視されているのは、外観、香り、味わいのテイスティングコメントです。

前提として、「酸化のニュアンス」「酸化熟成」に関するコメントはほぼ無いと思って取り組みました。
後述しますが、試験に使うワインではあり得ないからです。

項目ごとに解答する数が決まっています。
例えば【色調から2つ選択】というように指定されてますので、きちんと指定された個数の解答をしてください。
そうしないと得点は0です。

外観

色と状態(清澄度、輝き、色調、濃淡、粘性、外観の印象)をみます。

白ワインに関しては、状態が良いことが前提ですので「輝きがある」「澄んでいる」を選択します。
ワインが若かったり、品種によっては色調で「緑がかった」を選択します。

赤ワインは、どのような赤なのかが鍵になります。
ピノ・ノワールなら「澄んだ」「輝きのある」「ルビー/ラズベリーレッド」、シラーなら「深みのある」「黒みをおびた/ダークチェリーレッド」といった解答にしました。
ワインが若いときには、「紫がかった」印象になります。

粘性は、グラスを回して、しばらくしてから雫の状態で判断します。
スーッと落ちていくなら「やや軽め」、グラスの内側に跡が残るようなら「やや高め」と解答します。

濃淡は見たままを選びましょう。
深く考える必要はありません。

外観の印象は、色調で「緑がかった」「紫がかった」を選んだ場合、「若々しい」を選択します。
色が濃い場合「成熟度が高い」も選択しましょう。

香り

ブドウ品種によって特徴が変わります。
日頃の訓練と、ソムリエ教本の模範解答例をみておきましょう。

第一印象

一概には言えませんが、「開いている」が定石です。

赤ワインにおいて、果実の香りがフレッシュフルーツではなく、熟した印象やジャムのようなニュアンスを感じたときに「濃縮感のある」を選びました。

果物、花、植物

解答数が多めです。

  • リースリングなら、「アカシア」「菩提樹」など強めの花の香り
  • ソーヴィニヨン・ブランなら、ハーブの「ヴェルヴェーヌ」と「柑橘」
  • ピノ・ノワールなら「バラ」熟成によって「紅茶」
  • シラーなら「すみれ」「ゼラニウム」産地によっては「ユーカリ」
  • カベルネ・ソーヴィニヨンなら「杉」「針葉樹」

このあたりは必ず選びました。
この時点では品種がわかっておりませんが、外観からあたりをつけて香りをとるということをしています。

私は「これは絶対ある!」と思ったものを、まず選んでから選択肢の前後を選んで解答数をうめていきました。

白ワインにおいて、パイナップルやパッションフルーツなどトロピカルな果物と、青リンゴやリンゴなどの冷涼産地で感じる特徴は共存しません。

赤ワインにおいて、外観が赤っぽければ赤い果実、紫や深い色だったら黒い果実を選択します。

例えば「ラズベリー(赤い果実)」と「ブラックベリー(黒い果実)」という答えは共存しないと思ってください。
辻褄のあわない解答になります。

香辛料、芳香、化学物質

シャルドネのようにマロラクティック発酵されていると思ったら、その発酵による「バター」の香りを選択しなければいけません。
樽熟成したものも「バニラ」「ハチミツ」を選びます。

リースリングなら「白胡椒」
シラーなら「黒胡椒」「ナツメグ」など強めなスパイスを選びます。

スパイスなんてわかんない、無いと思ったら「甘草」など軽めなスパイスを選択して、無難なところをいきました。

香りの印象

解答数は概ね2つです。
フレッシュな果実を感じたら「若々しい」「第一アロマが強い」を選び、樽熟成してるなら「木樽のニュアンス」。
大体このなかから選択しました。

甲州やミュスカデのような特徴の少ない品種や、シャルドネで樽やマロラクティックで発酵してない場合「ニュートラル」という選択肢もあるでしょう。

味わい

アタック

口に含んだ最初の印象です。
ここも難しく考えず、感じたままに答えるのが良いです。

概ね模範解答の範囲は広く、正当の前後を選んでおけば大丈夫です。

  • 軽めの白ワインなら「やや軽い」
  • しっかりめの白ワイン、軽めの赤ワインなら「やや強い」
  • 重めの赤ワインなら「強い」

甘味

迷ったら、「まろやかな」「豊かな」といった中間の答えを選択しました。

よほど辛口なら「ドライ」
よほど口に甘味が残るほどなら「残糖がある」
と選択することもあります。

酸味

こちらも感じたままの選択をしましょう。
白ワインは概ね「爽やかな」と選択することが多かったです。

マロラクティック発酵したものと感じて香りの項目でそのような選択をしたなら、「やさしい」などテイスティングコメントに一貫性をもたせます。

苦味とタンニン分(赤ワインのみ)

白ワインに関して、苦味は後味で感じます。
特にわからなければ、「穏やかな」を選びました。
樽を感じれば「コクを感じる」
本当に何も感じなければ「控えめ」と選択しました。

赤ワインに関してのみ、タンニンを答えます。

  • 軽い赤(ピノ・ノワールなど)と感じたら「緻密」「シルキーな」
  • 重い赤(シラーやカベルネ)と感じたら「強い」「収斂性のある」

を選択しました。

バランス

こちらはソムリエ教本の「テイスティング」という項目にのっているバランスチャートを参照しましょう。

白ワインなら酸味と甘味のバランス、赤ワインなら酸味と甘味とタンニンのバランスで総評します。

アルコールと余韻

アルコールは大体「中程度」です。

  • 白ワインで、全体的に弱い、軽いと感じたら「やや軽め」
  • 赤ワインで、全体的に濃く、強いと感じたら「やや強い」

まで、選択肢の幅を広げて考えます。

供出温度とグラス

大体下記のように決めて選択しました。

  • 白ワインなら、「8-10度」「小ぶりなグラス」
  • 軽めの赤ワインなら「11-14度」「中庸なグラス」
  • 重めの赤ワインなら「15-18度」「大ぶりなグラス」

もし白ワインがまろやかな味わいを持っていたら、中庸なグラスを選ぶかもしれません。
ここまで複雑に考えこむことはないです。

デカンタージュの有無(赤ワインのみ)

基本的には「必要なし」です。
必要だとしてもカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーのようなしっかりしたワインだと感じたときに「30分前」と解答する程度です。

品種

無理に見当をつけてテイスティングしてはいけません。
純粋に自分の見たまま、感じたまま解答した「外観」「香り」「味わい」から推察する品種を答えましょう。

ヴィンテージ

おおよそ試験年の2~3年前のヴィンテージであることが多いです。
白ワインがやたら緑がかっていると感じたら、1年前を選択しても良いです。

ヴィンテージまでしっかり当てなければ受からないということはありませんので大丈夫です。
私も当たっていません。
重要なのは、「香り」と「味わい」のコメントです。

生産国

色味や香りから判断します。
たとえば
「ソーヴィニヨン・ブランで、柑橘のなかでもグレープフルーツがやたら強かったら、フランスよりもニュージーランドなどのニューワールドの可能性が高い」

「オーストラリアのシラー(シラーズ)には、チョコミントの香りやユーカリの香りがある」

といった国ごとの特徴です。

試験ですのである程度わかりやすいものが用意されているとは思いますが、最近のワインの質は世界的に向上しています。
国の区別がつかなくなるほどの上質なワインも多くあります。

そんなに生産国に対しても気負わずに、「香り」と「味わい」のテイスティングコメントをベースに、品種の当たりをつけます。
そのあとに、その品種の主要生産国はどこだったかな?と導きだしていけば良いです。

【ソムリエ二次試験】テイスティングの対策


一次試験が終わってから取りかかるのでは遅いです!
一次試験と並行して少しずつでもいいので二次試験対策を始めましょう。

前提として、高級ワインやブレンドされたワインは出題されないものと思ってください。

なぜなら、全国で試験を行うため何百本というワインを用意しなければなりません。
財源の確保が難しいことと、高級ワインであるほど状態を整えるのが難しく個体差がでやすいからです。
試験においての公平性が保たれません。

過去の出題をみても、少なくとも8:2のブレンドなら可能性はあるでしょう。
しかし、多種のブレンドや比率のちかいものの出題はされていません。
試験で問いたいこともわからなくなってしまいます。

よって、単一品種で、2000~3000円クラスのワインで練習することで十分対策が出来るといえます。

テイスティングの練習は早いうちから

私は、ワインスクールで主にテイスティング対策をしていました。
自分の得手不得手を知り、さらに対策をしていくという流れです。

テイスティングコメントにおいて、自分のなかの基準を定めておきます
そうすることで「今飲んでいるワインは、自分の基準からどのように違うんだろう?」と考えられるようになってきます。

おさえるべき基本品種

まずここ数年の出題傾向から、おさえるべき品種をみていきます。

甲州とマスカット・ベーリーAは、近年国際品種の仲間入りを果たし、ソムリエ協会としても国産ワインをプッシュしたい気持ちがないとも言い切れません。
可能性としていれておきます。

  1. 白ワイン
    • シャルドネ
    • ソーヴィニヨン・ブラン
    • リースリング
    • 甲州
  2. 赤ワイン
    • シラー、シラーズ
    • ピノ・ノワール
    • カベルネ・ソーヴィニヨン
    • マスカット・ベーリーA

まずは上記の基本品種の特徴を捉えていきます。
基本品種を押さえて余裕があれば、サンジョベーゼやミュスカデ、ゲヴュルツトラミネールなどまで押さえておきましょう。

  • ソーヴィニヨン・ブラン
    →柑橘とハーブの香り
  • シャルドネ
    →白い果実(白桃や洋梨)の香り、樽を使っているかどうか
  • リースリング
    →ペトロール香、花の香り
  • 甲州
    →外観が紫がかった灰色。ニュートラルで特徴的なものは少ない。
  • ピノ・ノワール
    赤い果実(ラズベリーなど)の香り。外観もルビー色
  • シラー
    →黒い果実(ブラックベリー、カシス)とスパイスの香り。外観は深い紫系
  • カベルネ・ソーヴィニヨン
    →黒い果実(ブラックベリー、カシス)とシダやメントールの香り。

  • マスカット・ベーリーA
    →外観は明るいピンク~ルビー色。イチゴやラズベリーとキャンディの香り

発酵による香りの特徴を知る

酸を和らげるマロラクティック発酵や、樽熟成でどんな香りが感じられるようになるのかを知りましょう。

試験においては、ニュートラルな品種であるシャルドネにこのような発酵を用いたものが使われる可能性が高いです。
自分で樽によるバニラやハチミツ、マロラクティックによる乳酸の香りをとれるようにしました。

生産国別の飲み比べ

冷涼な地域と、温暖な地域では、同じ品種でも出てくる特徴は違います。

ネット通販では「生産国別飲み比べセット」が売っています。
ワインショップで「ソムリエ試験対策で国別比較したいんです」などと相談すれば、より特徴がわかりやすいワインをオススメしてくれますよ!

時間配分

ソムリエのテイスティング試験は40分です。
その間にワインを3種、スピリッツを2種やらねばなりません。

スピリッツは名称を答えるだけです。
これは必ず一番最後にもってきます。
香りもアルコールも強いので、先にやると鼻が麻痺してしまい、ワインのテイスティングに悪影響です。

私は、テイスティングの練習ではいつも1つに10分しか時間をかけないとルールを決めていました。

その他の酒の勉強

リキュールやスピリッツの小さいボトルのセットが売っているらしいのですが、私は田崎真也ワインサロンで対策しました。

二次試験対策講座で、リキュールやブランデー、フレイバードワイン、ポート、マデイラなどソムリエ教本にのっている酒類がズラリと並び、一気にテイスティングできるのです!

外部からの申し込みも出来ます。
二次試験前に一度行ってみると安心感がちがいます。

テイスティングコメントをしっかり

ソムリエ教本の「テイスティング」の項目をしっかり読むことも大切です。
どんなコメントがあり、どういう状態なら「溌剌とした」や「芳醇な」というコメントになるのか目を通しておきましょう。

【ソムリエ二次試験】論述問題の対策


このパートでは、ソムリエ二次試験の論述問題の対策を3つの視点から述べます。

料理との相性

「白ワイン①にあう料理をおすすめしてください」
のように出題されます。
日頃のテイスティングの練習のときには、合う料理も一緒に考えましょう。

ワインがあっているかは別として、自分が飲んでみて感じたままを書きましょう。
変にブドウ品種や国の伝統料理などを出すより、「味わい」を中心に考えて答えるのがベストです。

柑橘の香りとさっぱりとした酸味があるので、マリネやカルパッチョやドレッシングを使ったハーブサラダわをおすすめします。

樽の香りやはちみつ香がありふくよかな味わいがあるので、クリームをつかった料理をおすすめします。

◯◯について

チーズや特定のワインなどについて書きなさい、といった問題の出し方です。
近年では「ケソ・マンチェゴ」と「オレンジワイン」についてといったものです。

一次試験の勉強からですが、なんでも「これってなんのこと?」と聞かれても答えられるように網羅しておきます。
私もわからない単語は別のノートにメモしていきました。

ワイン事情、時事問題

オレンジワイン、チリワインの今後の展望、日本の地理的表示について、ヨーロッパの関税問題、最近突出してきたワイン生産国(中国、インド、セルビアなど)について…

ワイン法が変わったり、教本で初めて出てきた国であったり、流行りのもの、今後に影響するもの(環境問題によるブドウ栽培への影響)など、ワイン業界の変化に常にアンテナをはっておくことが対策のポイントです。

ソムリエ協会の機関誌も事前にとっていると対策に繋がるかもしれません。

論述問題は、字数を書くことと採点のポイントとなるワードが入ってることが重要です。
自分なりに言葉にして、一文ずつでもいいのでわかることを盛り込んでいきましょう。

合格体験からみる注意点とポイント

ここでは、私が二次試験を受けた時の体験をもとにお話しします。
注意点とポイントを分かり易く説明しますので、参考にして下さい。

品種は当たらなくても大丈夫

恥ずかしながら、ワイン3つのうち1つしか品種が当たっていませんでした。
スピリッツ2つは正解です。

品種にこだわると、テイスティングコメントがずれてきます。
私は、白ワイン2つとも「フローラルでアロマティックな香りと高い酸」と感じたことました。

このとき「どっちがリースリングなんだ?!」と、ひどく慌ててしまったことを覚えています。
テイスティングコメントが合っていれば大丈夫、と言い聞かせ、落ち着きを取り戻しました。

品種はどちらもリースリングを選択しました。
あとでわかったことですが片方はトロンテスでした。
まさか二次試験でこんな品種が出るとは思いませんでした…

テイスティングコメントは自分を信じて

変に品種を決めつけて考えないで、飲んで感じたままを選択していきます。

全然選択肢が埋められない場合には、前後の選択肢を選んだり、外観からあたりをつけて飲んでみます。
品種を絞っていくのは良いことですが、1つに絞りこんで思い込みで飲むことは避けましょう

テイスティングでワインを飲み干しちゃダメ!!

些細なことですが、前半のテイスティングでワインを飲み干してしまうのは危険です。
論述問題で、問われる可能性があるからです。

「白ワイン②にあう料理と、薦め方を書きなさい」
と、このように出題されるのです。

こんな問題がでたら手元にワインがあった方が安心ですよね。

ソムリエ二次試験の対策まとめ


勉強し始めたばかりは、テイスティングコメントなんてよくわかりません。
日頃からいろいろな物の匂いを嗅ぐ癖をつけておくと、なんとなくワインの中の香りも感じられるようになっていきますよ。

テイスティングの必勝法まとめ
  • テイスティングコメントに自分の基準をもつ。
  • 自分の感じたテイスティングコメントを優先する。
  • 品種を決めつけて飲まない。
  • ソムリエ教本のテイスティングコメントを読み込む。
  • 基本品種は確実に押さえておく。
  • 知識から、発酵による可能性も押さえておく。
  • 時間配分を意識して練習する。
  • その他の酒類対策も忘れずに!

論述問題の対策まとめ
  • ソムリエ教本で新しく追加された項目など要チェック。
  • 日頃からテイスティングの練習とともに、ワインに合う料理やお客様へのすすめ方を考える。
  • 説明できない単語や言葉は、常に調べておく。
  • ワイン業界の流行りは押さえておく。
  • 問題に対して、知ってることや書けることはとにかく書く!

二次試験は緊張しないことが一番です。
普段の練習と自分の力を信じて臨みましょう!

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ムジカ
フリーランスのマリンバ奏者とレストランのソムリエの2つの顔をもつ。 分野はちがえど、お客様に幸せな時間を過ごしてもらうことがモットー。趣味は着物。
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