iOSアプリを開発して公開し、改善していくのがiOSエンジニアです。
iOSアプリエンジニアはプログラミングの面白さ、物作りの楽しさを学び、一生モノのスキルが身につくだけではなく、作ったアプリを世界中の人々に使ってもらえるという、とてもやりがいのある仕事です。
わたしは、2011年のスマートフォンアプリの受託開発を行う会社へ転職し、それまでは全く未経験だったiOSアプリの開発業務に携わり、30以上のアプリ開発プロジェクトを経験してきました。
そんなわたしが、未経験からiOSエンジニアになる手順を解説します。
最初の取っ掛かりから勉強法とアプリ開発で稼ぐ方法まで説明しますので、イメージしながら読み進めてみて下さい。
未経験でiOSエンジニアになるための第一歩
iOSアプリの開発はMacでしかできません。
最新の Mac を手に入れて開発環境を整えましょう。
Macに慣れよう
iOSのアプリ開発を行うには開発環境としてMacが必ず必要です。
ただ、あなたがもしWindowsしか使ったことがないのであれば、最初は操作に戸惑うかもしれません。
私は2011年にアプリ開発を行う会社に転職したのですが、それまでMacを触ったこともありませんでした。
ウィンドウの最小化や閉じるボタンがWindowsでは右上ですが、Macは左上です。
最初はこれだけで戸惑ってしまってました..
Macは誰にでも使いやすいコンピュータとすることが設計理念となってます。
そのため、もしあなたがMacに初めて触れるということであっても、iOSアプリの開発環境を整えたり、インターネットを閲覧したりするうちに、すぐ使い慣れると思います。
わたしは最初こそ戸惑いましたが、Macを使い始めてすぐ、画面に表示されるフォントの美しさに感動しました。
その他にもファイルの整理のしやすさ、AppStoreを通して様々なアプリを簡単にインストールできるなど、このような使いやすさから、今となってはWindowsよりMacの方が好きになりました。
Xcodeを手に入れる
XcodeはiOSアプリを開発するための統合開発環境です。
このXcodeをAppStoreから入手しましょう。
MacのAppStoreのアプリでXcodeを検索すれば、下の画像のようにすぐに見つかります。
ここから無料でインストールすることができます。
そしてこれがXcodeの画面です。
XcodeにはiPhoneのシミュレータが用意されていて、下の画像のようにMac上でiPhoneを仮想的に動かすことができます。
最初はこのシミュレータを使って、思い通りに画面が表示されているか、書いたプログラムが意図した通りに動くか、など確認しながら開発を進めます。
Swiftではじめよう
iOSアプリは、現在は2つのプログラミング言語で開発を行うことができます。
- Swift
- Objective-c
未経験からiOS開発を行うには、Swiftの方が良いでしょう。
Swiftは2014年に登場した新しい言語であり、わかりやすく記述できることが重視されている言語です。
AppleがiOSアプリを開発しやすくするために作り出した言語なので、プログラミング未経験であっても、習得しやすい言語と言われています。
また、Swiftは新しく登場した言語なので、日進月歩で進化し続けています。
毎年のように仕様が変更され、新しい機能の追加や古い機能のクローズなどが頻繁に行われているのです。
Swiftで開発をするにはこれらの最新情報を追いかけていく必要がありますが、逆に最新技術に触れられるチャンスと考えて、新しい仕様が発表されたら、それを実装して試してみるようにしましょう。
Appleのガイドラインを確認する
AppleはiOSアプリの開発ガイドラインを公開しています。
iOSアプリは開発すればすぐに公開できるわけではなく、Appleによる審査が行われ、審査通過後に公開となるためで、ガイドラインに従っていないアプリは公開を拒否されてしまいます。(リジェクトと言います)
例えば、ガイドラインには下記の一文があります。
Appの中心的な機能に直接関連する場合、または法律で要求される場合を除き、Appを動作させるためにユーザーの個人情報の入力を要求することは許可されません。
(引用:App Store Reviewガイドライン)
私が担当したプロジェクトでは、この条文に引っかかりリジェクトとなるケースがよくありました。
例えば、会員登録を行うために、ユーザの氏名やメールアドレスなどの入力を求めるようなケースですね。
条文をよく読めば、「Appの中心的な機能に直接関連する場合」とあります。
なので、例えば星占いのアプリでユーザに生年月日を入力してもらうという場合は問題になりません。
アプリの機能とは直接関係ないのに個人情報の入力を求めるとNGです。
ガイドライン自体は長文で読むのも大変ですが、リジェクトされると、修正する期間が必要となります。
予定していた公開日などに間に合わないなどの問題が発生するため、審査が通るかどうかの判断基準を持つためにも、ガイドラインは必ず一読しておきましょう。
未経験からiOSアプリエンジニアになるための勉強法
iOSアプリの開発は、プログラミングだけではなく、Appleのガイドラインや、使いやすいアプリにするためのデザインなど、勉強することがとても多いです。
1人で勉強することも大切ですが、仲間を見つけて一緒に勉強すれば、その効率はとても高まります。
書籍で勉強しよう
iOSの実装方法についてはネットで検索してもたくさんの情報が手に入ります。
ただ、これらの情報は、断片的なものが多く、初心者が一から勉強するためにネット検索だけを頼ることはおすすめしません。
やはり書籍を購入し、体系的に実装方法を学ぶことが一番です。
わたしはいつも電子書籍を購入しています。
電子書籍であれば、PCのアプリで読み進めることができるため、書籍とPCの画面で目線を移動させる必要がなく、書籍を読みながらスムーズに実装を進めることができます。
現在ではiOSアプリ開発の多くの書籍が出版されていますが、大切なことは必ず最新のプログラムバージョンに対応した書籍を選ぶことです。
古い書籍を参考に、最新のXcodeで実装をしても、サンプル通りにプログムコードを書いているのに、なぜかエラーになるということが起こりえます。
初心者はこのような時にエラーの原因がわからなかったりするので、挫折に繋がってしまうのです。
プログラミングスクールで学ぼう
短時間にスキルを身につけたいなら、プログラミングスクールを利用しましょう。
プログラミングスクールと言っても、学校に通う必要はありません。
インターネットで受講できる下記のようなサービスを利用しましょう。
- TechAcademy [テックアカデミー] ※オンラインプログラミングスクール受講者数No.1
- CodeCamp ※無料体験レッスンあり
- Udemy ※学びたい単元だけ選べるのでコスパが良い
それぞれの特徴を説明します。
TechAcademy(テックアカデミー)
TechAcademyはiOSアプリを開発し実際に公開するまでがコース内容に含まれています。
iOSアプリは公開時の手続きが煩雑で最初は難解に感じるかもしれません。
その内容までオンライン講義で教えてくれるため、安心してストア申請を行うことができます。
なお、テックアカデミーの評判・口コミについては、以下の記事をご覧になって下さい。
CodeCamp
CodeCampは、Swiftだけではなく、AIの開発で注目されて入るPythonや、Webのスタンダードな言語であるPHPなど、最近の実用的な言語の全てが学べるスクールです。
またアプリマスターコースが用意されていて、SNSアプリやニュースアプリなど実用的なアプリを作りながらiOS/Android両方のアプリ開発スキルを学ぶことができます。
なお、CodeCampの評判・口コミについては、以下の記事をご覧になって下さい。
Udemy
わたしはUdemyを利用しています。
Udemyは1つの講義ごとに利用料金が設定されて、それを購入することでいつでも受講可能となるため、必要な時に必要な講義を受けやすいところが魅力的です。
また、アプリやブラウザで動画を視聴して学習することができるため、わからないところは何回も繰り返して視聴することができます。
講義が多いのでどれを視聴すれば良いか迷った場合は、公開日が最近の講義を選びましょう。
プログラミング自体が初めてという場合は、Progateなどを利用するのがよいでしょう。
Progateでは現在はSwiftには対応していませんが、プログラミングの基礎的な部分を一問一答式で学習することができます。
全くプログラミングを行なったことがない未経験の状態でiOSアプリの開発を行うのはハードルが高すぎるため、
Progateで他の言語でプログラミングの基礎を学び、Swiftの学習にスムーズに移行するようにしましょう。
なお、おすすめのプログラミングスクールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさって下さい。
勉強会に参加しよう
iOS開発スキルを身につけるのは一朝一夕ではいかず、やはり勉強を続けることが大切なのですが、1人で勉強するより誰かと一緒に勉強すれば、わからないところを教えあったりして人から知識を吸収することができますね。
iOSアプリ開発はいま最も注目されているスキルであるため、勉強会も盛んに行われています。
Tech Play では勉強会やイベントの情報を検索することができるため、あなたが参加しやすい勉強会を探して参加してみましょう。
最初は聴講するだけでもよいですが、ぜひ登壇にもチャレンジして見てください。
人の前で発表するとなれば、勉強にも身が入りますし、登壇後はあなたの知識に自信が持てるようになるはずです。
未経験からiOSアプリ開発で稼ぐ方法【学歴より経験】
iOSアプリエンジニアは今後必ず必要とされるスキルが身につき、世界中のユーザのために働くことができる魅力的な仕事です。
iOSエンジニアの求人は超売り手市場
iOSアプリ開発は、Macが必須ということもあり、初心者には敷居が高く感じられるかもしれません。
ただ、iPhoneは毎年新しい機種が出て、新しい機能が追加され、それに合わせてアプリで実現できることも増えてきています。
まだまだiPhoneとiOSアプリは発展途上にあるのです。
そのためiOSアプリのエンジニアは常に必要とされている状態ですが、特にiOSエンジニアは非常に不足しています。
わたしもエンジニアの採用に関わったことがありますが、自分でアプリを開発して公開しているという人は意外にも珍しく、貴重な人材であるため、採用においてはとても有利に働きます。
iOSアプリ開発の現場では、学歴や社歴などの経歴よりも、経験が重視されているのです。
なお以下の2つは、ITエンジニアに特化した派遣会社です。
登録をして希望に合う企業を探してみて下さい。
- リクルートITスタッフィング ※リクルートグループであり抜群の安定感。登録は必須
- エンジニア派遣の「パーソルテクノロジースタッフ」 ※大企業と紹介予定派遣の求人が多い
公開したアプリをアピールしよう
採用試験を受ける場合は、公開しているアプリがあれば必ずそれをアピールしましょう。
iPhoneにインストールしたアプリを面接の場で動かしながら、工夫した点や苦労したことを伝えると、エンジニアとしての能力は申し分ないと評価されるでしょう。
また、参加している勉強会や登壇経験などの話も良いアピールとなります。
iOSアプリ開発を仕事にして稼ぐ方法
アプリ開発のスキルが身につくと、会社で働くだけではなく、フリーランスエンジニアとして活躍することやアプリだけで稼ぎを生み出すことも夢ではありません。
iOSアプリでは3種類の課金方法があります。
- 有料アプリとして公開する
- アプリ内機能に課金する
- 広告収入を得る
有料アプリはもっともわかりやすい方法ですが、有料であることでユーザは充実した機能や魅力的なコンテンツを求めますので、当然開発の難易度は高くなります。
初心者が有料アプリとして公開を目指すのは難しいです。
アプリ内機能の課金は、ラインのスタンプなどの有料コンテンツを売るか、課金することで一部の機能が利用可能になるというものです。
これも、ユーザの期待を超えるようなコンテンツや機能を用意しなくてならず、難易度は高いです。
広告収入は、画面の一部に広告を出し、この広告のクリック数に応じて、広告主から報酬を得るという方法です。
広告は手軽にアプリに組み込むことができます。
ただ、広告が表示されるアプリはユーザからの評判はあまり良くないため、現状では多くの収入を広告から期待することはできません。
無料版では広告あり、有料版では広告なし、というアプリよくありますよね。
ただし、単に「有料だから広告が消える」だけではユーザには不満が残るでしょう。
大切なことは、アプリでただお金を稼ぐと考えるのではなく、アプリを使ってもらい、課金を行なってもらうことで、ユーザにさらなる付加価値を与えることです。
価値がないものにお金は払いたくないですよね?
課金を行なってもらうことで、より便利な機能が利用できるようになり、ユーザの生活をより豊かにするという気持ちで、有料化することを心がけましょう。
未経験からiOSエンジニアになる手順のまとめ
iOSアプリエンジニアは簡単になれるという方法はありませんが、プログラミングの経験がないからと諦める必要はありません。
実際、定年を迎えた後にパソコンを学び始め、2016年からiOSアプリの開発を始めて、Appleから最高齢のiOSエンジニアとして認められた日本人女性の方もいます。
この記事でお伝えした、未経験からiOSエンジニアになる手順を踏まえ、iOSアプリ開発で稼ぐまでの方法を下記にまとめます。
- iOSアプリでこんなことができたらいいなを考える
- Macの操作に慣れて開発環境を整える
- 動くアプリを作ってユーザに使ってもらう
- ユーザの意見を取り入れて改善していく
- iOSエンジニアの求人は超売り手市場(ITエンジニア特化の派遣会社で探すと良い)
- リクルートITスタッフィング ※リクルートグループであり抜群の安定感。登録は必須
- エンジニア派遣の「パーソルテクノロジースタッフ」 ※大企業と紹介予定派遣の求人が多い
iOSエンジニアへの道は、「アプリでこんなことができたらいいな」という思いがスタートです。
それを実現するためにどうしたらいいか、考え、コードを書き、動作をテストして、ユーザに使ってもらいましょう。
ユーザからは厳しい意見も上がることがありますが、それを真摯に受け止め、どうすればもっとユーザが喜ぶか、考えてアプリを改善していきましょう。
これを繰り返せば、あなたも立派なiOSエンジニアです。
なお、フリーランス向きの転職エージェントについて、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさって下さい。