近年、様々な分野でITを活用する事業分野が拡大し、システムエンジニアの需要が高まっています。
そして、「システムエンジニアを目指したい」という女性も増えてきました。
しかし、システムエンジニアの職場事情が見えにくく、興味を持つ女性の多くには、
女性がSEを目指すのは大変なの?
女性が少ない職場の環境は?
女性でもなかなか帰れないと聞くけど本当?
という疑問や不安があるのではないでしょうか。
今回は、SEを目指す女性が気になる労働環境の疑問や不安について、SE歴25年の私が数々の経験をもとにお話しいたします。
具体的には女性SEの下積み期間、職場の様子、労働時間について解説してまいりますので、女性SEに興味がある方、目指そうと考えている方はぜひ参考にしてください。
女性SEに求められるスキルと下積み期間
SE(システムエンジニア)は、コンピュータシステム開発において設計・開発・テストまでを一貫して進める知識と経験を持ち合わせている存在です。
仕事はクライアントとの打ち合わせを通じて仕様を確定していくことが主となりますが、期限が迫れば開発やテストを手伝ったりすることもあり、オールラウンダーであることが求められます。
また、クライアントとの対話や資料から要求に沿ったシステムの設計、プログラマに伝えるための論理的な設計や文章力、どんな機能が実現可能かというプログラミング等の技術面、ネットワーク等の機能の知識が必要です。
SEに必要なスキル
SEに求められる主なスキルは以下の通りです。
設計書作成に必要な論理的な思考能力
- 顧客の要求に沿ったシステムがどのようなものか理解する
- 問題解決の為の提案
- 設計書を通じてプログラマに正しく伝える
など、論理的な文章力が必要とされます。
クライアントの業務知識
事前にクラアントに沿った業務知識を学ぶ事が必要です。
さらに詳しい業務内容を実際の職場で学びます。
コミュニケーション力
- プレゼンテーション
- クライアントとの綿密な打ち合わせ
- プログラムやシステムの説明
- 開発チーム内の連携
など、たくさんの人とのコミュニケーションが必要とされます。
システム・プログラムに対する知識
どんな機能が実現可能かプログラミングからデータベース、ネットワークに至るまで技術的な面の知識が必要です。
SEのスキルに男女差はない
SEに必要なスキルは、前項にも挙げたように情報処理の知識だけでなくコミュニケーション力や語学力が必要です。
そこに男女の差はありません。
SEとして必要とされるスキルを習得していればよいのです。
システム開発は、クライアントからの案件にチームで取り組み、SEとプログラマ数人で対応するのが一般的です。
案件内容の対応できるSEが選ばれますので、女性SEでも活躍できます。
SEになるための下積み期間
SEに重要なノウハウは、実際の職場で習得できるものです。
授業や本から学んだ知識はあくまでも知識の基礎でしかなく、実際の開発ではクライアントのシステムに対応できる知識と応用力が必要になります。
いきなりシステムエンジニアとして仕事をする方もいますが、実際の開発経験無しで仕事をこなすのはかなり厳しいと言えます。
まずはプログラマで開発の現場を経てSEに必要なノウハウを得る事が重要です。
では、ノウハウを取得するにはどのぐらいの時間がかかるのでしょうか。
プログラマで開発の全ての工程を経験し、システム全体を理解できるようになるには約3年かかると言われます。
大学卒業して新入社員で入社したとすれば、25~6歳です。
SEになれるための知識経験を一通り積んだというだけで、SEとしてはこれから始まるのです。
下積み期間には男女差がある
男性の中には、プログラマ3年経たずしてSEの仕事をするという人もいます。
今後の成長のためにSEとしての経験を早くから積ませ、早く一人前のSEになって欲しいという企業側の意向があるのです。
それに対し、女性の場合はプログラマとしての期間が長く、女性がSEにれなる年代をみると若くても20代後半から30代が多い様です。
これは、「結婚退職」が懸念されている事が考えられます。
実際に就職して間もなくの頃、会社の上司から「結婚しても続けるのか?」と尋ねられたことがありまた。
SE下積み期間が終わるのは25歳前後、女性は結婚適齢期でもありますよね。
女性に対する会社の考えは、やっと一人前のSEに育てたところで「結婚退職」されるならプログラマで仕事をこなして欲しい、と言うのが本音のようです。
求められるスキルの男女差はなくとも、SEの下積み期間は男性のほうが短いというのが現状ですが、スキルを習得すれば女性でもSEになれます。
システム開発のためのノウハウを、下積み期間でどう学ぶか重要なのです。
女性が少ないSEの職場は人間関係のストレスがない
システムエンジニアの男女比率は男性8:女性2と言われています。
最近では女性SEの多い職場も増えてきたようですが、システムエンジニアという職業は基本的に男性社会ですので女性が少ないのも当然なのです。
開発チーム内に女性が1人の場合もある
1つの開発案件には数人のチームで取り組むのが一般的です。開発チーム内に女性が1人というケースも少なくありません。
ある大手企業のシステム開発の状況を例に挙げると、システム開発会社が5社でシステムエンジニアは1000人以上でした。
これだけの人がいれば女性もたくさんいるように見えますが、1つのシステム開発会社に所属するシステムエンジニアは約100人、内女性は15人でした。
女同士のわずらわしさがない
男性に負けず劣らず仕事をする女性SEの多くには、「女性同士のキャッキャしたおしゃべりが苦手」「女性同士の派閥がイヤ」という方がいます。
女性が少ないシステム開発の職場は、女性特有のイザコザやわずらわしさがなく楽に過ごしやい職場環境と言えます。
女性の「お茶くみ」はない
社長・部長などの役職や来客に対して「お茶くみ」をする場合、女性が対応している会社が多いです。
それに比べ、システム開発の職場はエンジニアという職人さんの作業現場ですので、会社とは異なり「お茶くみ」をすることはほぼありません。
女性同士の悩み相談や女子会などは期待できない
開発の職場では、開発チームが違うからプライベート交流ない、所属する会社が違うのでなんとなく話しずらいなどと、コミュニケーションがとりにくい場合がよくあります。
同じ開発の職場にいる女性同士であっても、女子会や女性同士で相談する程の仲になるのはなかなか難しい様です。
女性SEにとって女性が少ないシステム開発の職場は、女性特有の人間関係からくるストレスが少なく居心地が良い環境ですよ。
女性でもSEの労働時間は長い
SEの勤務時間、自社で開発を行っている場合は自社の就業時間に、クライアントなどに出向している場合は出向先の就業時間に準じます。
いわゆる「一般的な企業」と同じです。
実際の労働時間と残業をみてみましょう。
開発の仕事には必ず納期があります。度重なる仕様変更やプログラムのバクなどの問題は良くあることです。
その為、スケジュール通りに遂行されず残業が増え、時には休日出勤をする場合もあります。
システムエンジニアの月の残業時間は平均30~40時間程度と言われますが、職場によっては100時間を超えることもあるようです。
労働時間は社会問題にもなり改善されてきてはいますが、まだまだ長めだといえます。
労働時間に男女の差はない
案件は、請け負った以上納期までに終わらせることが重要で、間に合わせるために残業をしなくてはならない状況もよくあります。
女性だから残業しなくていいという事はありません。
一般事務職と比べると残業時間は2倍
女性の事務職の残業は、月平均10~20時間と言われています。
女性SEの残業時間は月平均30~40時間と言われていますので、事務職に比べて約2倍の残業をしており、状況によって40時間以上の残業をする事も多々あります。
女性SEの労働時間は長く、プライベートの時間が取れないという事もあります。
残業を少なくするためにもスキルを磨きましょう。
SEを目指す女性が気になる労働環境のまとめ
システムエンジニアを目指す女性にとって、職場でどのように働いているのかを知ることは大切な事です。
見えにくいと言われる女性SEのスキル・職場の様子・労働時間を、SE経験に基づいて解説しました。
これまでの内容をまとめておきましょう。
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女性SEに必要なスキルと下積み期間
- SEになるためには知識と経験が必要で、そのスキルに男女の差はない。
- 教科書で得る知識だけでなく、経験からくるノウハウが必要。
- 女性SEの下積み期間は男性SEより長め
- 女性の悩み相談は期待できないが、女性特有のわずらわしさがない
- 労働時間は一般事務と比べると長い事は心得ておく
女性が少ない職場の様子
女性SEの労働時間
男性社会で活躍している女性はたくさんいます。女性SEもその一つです。
一人前のSEになるまでには経験と努力が必要ですが、仕事に対する責任感のある職業です。
ぜひ、IT業界で活躍する素敵なSE女性になってください。
なお女性SEの職場の選び方については、以下の記事を参考にして下さい。