女性SEの仕事にやりがいはあるけど長時間の残業が厳しく感じたり、仕事とプライベートの両立が難しいと思った時、「転職」という言葉が頭をよぎった事があるのではないでしょうか。
また、転職でキャリアアップはできるのだろうか?という、働く女性SEならではの悩みもあります。
様々な理由からSEとしての働き方を見直したいと考えている女性は、どのような転職先があるのか知りたいところですよね。
今回は、女性SEの転職先と失敗しない選び方について、SE歴25年の私が数々の経験をもとに解説いたします。
転職を決めた理由で転職先を選ぶとよい
女性SEが転職を決めるには様々な理由があり、次の職場で改善されなければその転職は成功したとは言えません。
転職を成功させるには、転職先の選択が重要なポイントになります。
女性SEの転職先は「大手SIer」「社内SE」「派遣会社」「異業種」と4つあります。
転職先について詳しくは次項で説明しますので、まずは、転職を決めた理由からどの転職先を検討するのが良いかみてみましょう。
転職を決めた理由から選ぶ転職先
- 女性SEとしてのスキルアップを図りたい
- 福利厚生や女性への待遇が良い会社に移りたい
→「大手SIerへの転職」を検討する
- 単に収入アップを目指したい
→「派遣会社」を検討する
- 残業を少なくしてプライベートの時間を充実させたい
- 仕事と家庭の両立をしたい
- 年齢的に仕事につていけないと感じる
- 残業が多い労SEの労働時間が体力的に辛い
→「社内SEへの転職」「異業種への転職」を検討
転職を成功させるには、転職を決めた理由を改善できる転職先を選ぶ事にあります。
そして、転職でどこまで改善することを求めているのかきちんと整理しておきましょう。
女性SEの転職先4選
前項でも触れましたが、女性SEの転職先は大きく4つあります。
- 大手SIer
- 社内SE
- 派遣会社
- 異業種
それぞれの転職先について、転職で期待できる点や求められる人材など詳しく見ていきます。
こちらをご覧になって失敗しない転職選びに役立ててください。
大手SIer
SIer(エスアイアー)とは「システムを構築する会社のこと」で、企業や公官庁のITシステムの構築や運用サポートする仕事や企業のことを指します。
開発は、大手SIerが企業からシステムの導入・保守・運用までを一括して請け負い、子会社や下請け企業と一緒にシステムを完成させます。
SIerにもユーザー系・メーカー系・独立系・その他と大きく4つの系列があります。
- ユーザー系
大手企業において、情報システム部門を分立させて設立した企業のこと
代表的な企業は、NTTデータや野村総合研究所、SCSK、伊藤忠ソリューションズなど - メーカー系
大手コンピューターメーカーからの系列企業のこと
代表的な企業は、NEC、日立製作所、富士通など - 独立系
メーカー系・ユーザー系のどちらにも属さず、システム開発を専門に扱う企業 - その他
ITでコンサルティングを行う企業 など
SIerが求めている人材
SIerでは次のようなスキルを持った人材を求めています。
- スケジュール管理能力
SIerは顧客から開発を受託して行っているため、納期と予算を厳守することが重要とされます。
そのため、開発フェーズに合わせてスケジュールを把握して進めていける能力が必要とされます。 - システムの設計・開発スキル
顧客からの要件定義を基にシステムの設計・開発を進めていくスキルで、SIerではこの過程をこなせるSEを求めています。 - コミュニケーションスキル
顧客や各部署との要件定義の確認や調整、開発担当への設計内容の説明など常に人とのコミュニケーションが必要とされます。
転職先に対し、女性SEとして積み上げた知識がいかに仕事に活かせるかのアピールも必要ですが、それ以上にコミュニケーション力に長けていることを強調する必要があります。
また、現時点でスキル不足の点があっても、コミュニケーション力は面接で評価されます。
SIerへの転職で期待できるポイント
SIerへの転職では以下の点に期待ができます。
- 男女の区別なく仕事の評価をするので、女性SEでもプロジェクトマネージャーなどの活躍の場がある
- 大規模なプロジェクトや要件定義などの上流工程を担当することでスキルアップが期待できる
- 大手SIerでは女性サポート推進が進んでおり福利厚生などの待遇が良い
- 企業や任されるポジションによっては高額収入も可能
女性SEとしてのスキルアップや、福利厚生などの働く女性への待遇を求めるのであれば大手SIerへの転職がお薦めです。
留意しておかなければならない点として、SIerの開発の仕事は納期厳守を強いられることが多いため労働時間が長くなることがあげられます。
またSIerの開発は客先常駐のため、担当するシステム開発が変われば職場も変わりますから、同じ職場に腰を据えて仕事をする事は難しいです。
開発現場に合わせて移動し、仕事中心の生活になることも頭に入れておきましょう。
なお、転職相談は「レバテックキャリア」などエンジニアの転職に強いエージェントを利用すると比較的スムーズに転職先の選定ができます。
レバテックキャリアの評判については、以下の記事をご覧ください。
社内SE
社内SEとは、自社内の情報システム部門にて、社内のシステム及びITインフラの構築・管理を行なうポジションです。
企業の事業内容を理解し、事業継続のためのシステム面をサポートを行います。
単純にPCサポートだけを指す企業もあれば、その企業がサービスを提供している一般ユーザからの問い合わせを行うヘルプデスクでの意味合いであったり、企業によってはそれらを兼任することもあるでしょう。
社内SEが求めている人材
社内SEには次のようなスキルを持った人材を求めています。
- コミュニケーション能力
社内SEの業務を進めるうえで、社内調整は必ず発生します。
システム部門以外との調整は相手がITスキルに乏しいこともありますから、新しいシステムの必要性をわかりやすく説明する力も求められます。 - 上流から下流までのシステム開発スキル
要件定義や設計書作成や開発の管理まで担当します。上流工程から下流工程までの一通りの開発スキルを必要とされます。 - 企業が属する業界への興味・関心
社内システムの設計や運用を行う際にエンジニアに現場の理解があればより良いシステムができます。
企業はエンジニアに業界や現場の理解を求めています。
社内SEを求めている企業に好まれるのはオールラウンダーなスキルを持つエンジニアです。
女性特有のコミュニケーション力は高く評価されており、社内SEに女性SEを求める声は増えています。
そして何より重要なのが、企業の業界に対する興味を持っている事です。
事前にその企業の業界や事業を調査し興味がもてなければ、内定を得ることは難しいでしょう。
社内SEへの転職に期待できるポイント
社内SEへの転職では以下の点に期待ができます。
- 企業内の情報システム部門が勤務場所のため、腰を据えて働くことができる
- 自社内のシステム管理なのでスケジュール管理もしやすく残業が少ない
- ユーザーが自社の社員であるため、ユーザーのニーズに直接答える距離で仕事ができる
- 企業のIT戦略からコスト削減やセキュリティ強化するなど、事業の成長に貢献することができる
残業を少なくしてプライベートの時間が欲しい、仕事と家庭を両立したい、年齢や体力面から残業の少ない職場に転職したいという女性SEにお薦めです。
留意しなければならない点として、社内SEの業務は企業によっ様々で幅広いため希望通りの仕事内容に就けるかどうかはその企業によってしまうことがあげられます。
企業調査を十分行って業務内容を確認しておきましょう。
なお社内SEになる方法については、以下の記事で詳しく解説しています
どうぞご参考になさってください。
派遣会社
正社員として会社に勤めるのを辞め、ITエンジニア専門の派遣会社に登録して派遣社員になる転職方法です。
派遣社員はSEのスキルで評価され、登録した派遣会社から開発の仕事を紹介してもらいます。
派遣社員になるために必要なこと
派遣社員になる為に必要なのはシンプルにSEのスキルです。
派遣会社はあなたが持っているスキルに基づいて開発の案件を紹介し、スキル内容で報酬額も変わります。
登録する派遣会社に、女性SEとして今まで積み上げたスキルを出来るだけ詳しく提示しましょう。
派遣社員になることで期待できるポイント
派遣社員になることで以下の点に期待できます。
- スキルに対して評価された報酬であり、正社員に比べて高額収入になることが多い
- 派遣会社が顧客から受けている開発案件の中から仕事を選ぶことができる
派遣社員のSEは、案件をこなして報酬を得るというスタイルなので、仕事のやり方としてはシンプルです。
プロジェクトリーダーなどのポジションには興味がなく、エンジニアとして技術や開発そのものが好きな方には向いています。
あなたが持つスキルを適正評価してもらえるので収入アップを目指す女性SEにはお薦めの転職方法です。
留意しなければならない点として、自分の希望する開発案件がなく仕事がない期間が発生することがあります。
また、個人で開発の仕事を受けることになりますから、福利厚生などの待遇はありません。
安定して仕事を続けたい方、福利厚生などの待遇を求める女性SEは派遣社員は向いていません。
IT系の転職に強い大手は以下のような派遣会社があります。
- リクルートITスタッフィング ※リクルートグループであり抜群の安定感
- パーソルテクノロジースタッフ ※大企業と紹介予定派遣の求人が多い
異業種
女性SEとしてのスキルを活かすことはなくなりますが、企業では何かしらパソコンによる作業はありますから、SEの経験や知識は事務職や経理でも活かせる可能性はあります。
特に、事務職、経理で利用する事が多いWord、Excel、Windowsなどの操作は、SEで培ったスキルを活かせます。
事務職・経理への転職では以下の点に期待ができます。
- SEに比べれば無理な残業が減るため、家庭やプライベートの時間が確保しやすくなる
- SEのスキルを持っていることやパソコンの操作が長けていることで重宝されやすい
女性SEの仕事に比べ残業が少なくプライベートの時間が格段と増えます。
プライベートの時間が欲しい、仕事と家庭を両立したい女性SEや、年齢体力面から残業の少ない職場に転職したいという女性SEにお薦めです。
留意しなければならない点として、一般職になるため収入はSEより下がります。
異業種は「ライフステージや年齢・体力に合わせた転職」ができることが利点です。
また女性SEのキャリアを活かした転職ができれば収入面でもプラスに働きます。
企業が求める人材と自分のSEのスキルがマッチする転職先を選びましょう。
女性SEが異業種へ転職する場合は、広く職種を探せるよう一般転職エージェントを利用すると良いです。
一般転職エージェントの選び方については、以下の記事を参考にして下さい。
女性SEの転職先まとめ
ここで、これまでに解説した女性SEの転職理由から選ぶ転職先について内容をまとめてみました。
- 転職を決めた理由で転職先を選ぶとよい
- 女性SEのスキルを活かした転職先
- 大手SIer
- 社内SE
- 派遣会社
- 異業種
IT業界のエンジニア不足による女性SEの需要は増え、また、女性SEのコミュニケーション力を求める企業も増加傾向にあります。
女性SEとしてのキャリアプランと自身の生活のライフプランを共に充実させる転職を目指しましょう。
なお女性SEの失敗しない転職方法については、以下の記事で詳しく解説しています
どうぞご参考になさってください。