キャビンアテンダント(CA)って食事サービス以外実際何をしているのかご存知ですか?
10時間以上もフライトがあるのに仕事に追われてバタバタと着陸を迎えるなんてこともよくあります。
かつて合コンで出会った男に”空のお茶汲み”とディスられたことがあります。
実際は思っている以上に地味で細かい作業が多くて、もちろんお茶汲みだけが仕事ではありません。
頭も体も使うタフな仕事だと私は自負しています!
今回は大手日系航空会社、大手外資航空会社で9年間キャビンアテンダントとして勤務している私が、キャビンアテンダントの仕事内容について解説いたします。
搭乗前から着陸後までのすべての仕事内容について、実際の業務の流れに沿ってお伝えしていきますね。
経験談も交えてお話ししますので、どうぞお楽しみに。
それでは早速みていきましょう。
(※本文中キャビンアテンダントを適宜CAと略して表現していますがご了承ください)
【お客様搭乗前】キャビンアテンダントの仕事内容
まずはお客様搭乗前の仕事内容です。
お客様が快適に過ごせるよう機内の準備を整えることや安全に関わる情報の共有を主に行います。
キャビンアテンダントと言えば、ドラマや映画でブリーフィングという机上でミーティングをしているのを見たことありませんか?
CAの仕事は毎回メンバーが違い、初めて会う方と仕事をします。
まずはこのフライト前のプリブリーフィングで情報共有します。
- 自己紹介
- 役割分担
- フライト情報(飛行時間や天気等)
- 当日のフライトに関わるリスク
- フライト全体の目標
大体のブリーフィングの内容はこんな感じです。
もちろんこれが全てではありませんし、会社によっても異なります。
ブリーフィングには知識確認がある時もあります。
知識確認というのは、初期の訓練で学んだ知識の確認を質問形式でされるのですが、一言一句合っていることが求められる項目もあり、答えられなかった時は地獄の時間となります。
キャビンアテンダントの中にはこの時間に怯えている人も多いと思います。
私もCAになりたての頃に質問の答えをど忘れしてしまい、気まづい空気を味わったことが何度かあります。
その日のチーフパーサーの怖さレベルも大いに関係してくるんですけどね。。。
同じ質問を何度もされているのに、一言一句となると間違ってしまうんです。
少し先輩になると質問される回数も少なくなってきて、そんな時にいきなり質問されたりしたら一気に頭が真っ白になって答えられないなんてこともあります。
他社CAの友人の話を聞いていても知識確認はどの会社でもシビアなようですね。
このようにキャビンアテンダントは常に知識のリマインドを行う必要があります。
ここで上述しました④の「当日のフライトに関わるリスク」について、どんなブリーフィングをするか、例を挙げてご説明します。
例えばハワイ路線の場合を考えてみます。
ハワイ路線には沢山の家族連れが乗って来ます。
故に子供の数も他路線に比べると多いです。
子供は予期せぬ行動を取る時があり、私達がカートでサービスしている時にいきなり通路に出て来てしまい、カートにぶつかる可能性もあります。
また飲み物をこぼしやすいので、火傷につながる可能性が高くなります。
このように起こりうるリスクを考え、事前に防止する方法を全員で共有しておきます。
このブリーフィングが終わると飛行機に移動し、機内の準備を行います。
決められた物が定数で定位置にあるのかを全員で分担して確認します。
この確認が終われば操縦士達と顔合わせとフライト情報の共有をし、お客様を迎えていきます。
お客様搭乗中のキャビンアテンダントの仕事内容
主にお客様への挨拶やお手伝いをします。
あなたは「それだけ?」って思うかもしれませんが、意外とやることが多いのがこの時間です。
ビジネスクラスやファーストクラスではお客様に挨拶をし、リクエストにお応えしていきます。
ジャケットやコートのお預かりも行なっているので、他のお客様の物と間違えないように保管します。
一人のCAに10人以上のお客様への搭乗中の挨拶が割り当てられることもあるので、機内にどんどん乗り込んでいくお客様に逆流してタイミングよく行います。
また挨拶をしたお客様が機内で快適に過ごす為に必要な物をお伺いし、お手伝い出来ることがあれば行なっていきます。
長距離路線ではパジャマへの着替えをされる方も多いですし、搭乗中にウェルカムドリンクを配布している路線もあります。
またメニューのオーダーを搭乗中に取る路線もあります。
今お話したのは主にビジネスクラス以上で働く場合のキャビンアテンダントの動きです。
エコノミークラスでは主に手荷物のお手伝いや、何かお手伝いが必要なお客様のヘルプをしていきます。
この時に手荷物の収納を早めにお手伝いしていかないと出発間際に物入れが閉まらないという事態が頻発してしまいます。
また全体を通して、どのCAも不審な人物や荷物がないかに関してはチェックするようにしています。
もし何かおかしいなと思うことがあれば、他のCAと共有し飛行機のドアが閉まるまでに何事も早めに解決していかなければなりません。
【キャビンアテンダントの仕事内容】食事サービス実施中
離陸して、シーベルトサインが消灯すれば食事サービスです。
クラスによってもサービスが異なりますが、お客様の希望の食事をお伺いしてお渡しします。
エコノミークラスでは1つの食事メニューにお客様の希望が集中した場合は品切れとなり、希望通りにお渡し出来ないという事態も頻繁に発生します。
どのお客様にお断りさせて頂くかや、お断りせずに上手くメニューを振り分けれるようにしなければなりません。
そのため食事のオススメ方法もキャビンアテンダントにとっては毎回悩みの種です。
私はお客様にオーダーしてほしいメニューについて魅力を説明したり、オリジナル料理のような特別感を演出しておすすめしています。
ですがいい匂いのするカレーなどが人気メニューの時はもう諦めモードです。
オーダーがカレーに集中してすぐに品切れとなってしまうのです。
またこの食事サービス時にお客様にお食事をサービスしているCAとギャレー(機内の台所)を担当しているCAがいます。
ギャレー担当は各クラスに一人はいて基本的にはサービスはせず足りない物や、次のサービスの準備をどんどん進めていきます。
エコノミークラスでは食事は一つのトレイに乗っているので、食事の後に温かいお飲物をお伺いすればサービスは終了します。
しかしビジネスクラスやファーストクラスでは長距離路線の機内での食事はコース料理のような仕組みになっています。
また前菜からデザート、飲み物まで路線や季節によって異なりますので、覚えるのが大変です。
CAにはソムリエの資格を持っている者も多数いるのですが、実際にCAになって役立つ資格はソムリエだと思います。
それぞれのお客様のタイミングに合わせてお食事を提供しているのでサービス時間が2時間以上かかることもあり、途中で気付けば喉がカラカラです。
食事のサービスの際にどのクラスでも一応担当するお客様の座席番号は決まっているのですが、その都度サービスのスピードは変わってくるので、常に周りのCAとコミュニケーションを取りながら行っていきます。
こういった部分では周囲との協調性やコミュニケーション能力が高い人が向いている仕事だと言えます。
【CAの仕事内容】食事サービス終了後~着陸前
サービスが終われば、あとは小さな雑務をこなし次のサービスに備えていきます。
具体的には下記の仕事をこなしていきます。
- 食事の際に残ったゴミの回収
- 機内販売の受付・販売
- 到着地の入国書類の配布
- お手洗いの清掃
- 機内温度・光調節
- 到着前のサービス準備
- 呼び出しボタンのお客様への対応
到着前のサービスに関しては、サービスを行わない路線もあります。
一旦食事のサービスを終えると、長距離路線ではCAがどのクラスでも半分の人員になり働くCAと休憩をとるCAに分かれます。
休憩時間はフライト時間にもよりますが2時間前後が多いです。
私がキャビンアテンダントになって驚いたことの一つに呼び出しボタンが予想外に鳴ることが挙げられます。
あなたは飛行機でCAの呼び出しボタン押したことありますか?
私は一度もありませんし、今後も押さないと思います。
特に外資航空会社で働いていた時は、鳴り止むことが無いほどポン、ポン、ポンと鳴り続けていて驚きました。
このようにお客様からのリクエストが多い時は、なかなか休憩に入れないこともよくあります。
またサービスを終えるとお客様の快適性に配慮し、機内を暗くします。
暗くなった機内の中で不審な動きをしている人がいないかや、体調不良のお客様がいないかを確認するのもCAの大きな役割の一つです。
深夜便などではお休みのお客様も多いので休憩を取っていないCAにも癒しの時間が訪れます。
私はこの時間が好きで、自分の好きな紅茶などを持ち込んで次のサービスの準備をしながらティータイムを一人でしていました♪
OLさんがお菓子食べながら仕事するみたいな感じですかね?
いや、OLさんがお菓子食べたりしているのはドラマの中だけだったら誤解してますのでお許しください。
着陸後のキャビンアテンダントの仕事内容
ドアを開ける操作をしたあと、お客様の降機をお手伝いします。
ところで、着陸するとすぐに立ち上がってしまうお客様が多いこともキャビンアテンダントの悩みの一つです。
どの航空会社でも着陸後、完全に飛行機が停止しシートベルトサインが消灯しないとお客様が立ち上がることは許されていません。
そんなに急いでもドアが開いたあと一番には降りられないし、まだ時間が降りるまでにかかるのになあといつも思ってしまいます。
お客様が降機したあとは、機内の忘れ物や不審な物が残されていないことを確認します。
ゴミを収集してまとめるのですが、思ってるより飛行機で出るゴミの量ってすごんいんです。
一便あたり30〜50袋くらい出ているのでは無いでしょうか。
全ての機内での作業が終わると、オフィスに戻りフライト後のブリーフィング(デブリーフィング)を行います。
このブリーフィングでは、フライトを通して学べたことや次回のフライトに活かせる知識などをみんなで共有します。
フライト後のブリーフィングは日系航空会社で初めて体験した時はびっくりしました。
外資航空会社にはフライト後のブリーフィングはなく、その場で解散となる会社が多いです。
日系航空会社では最初と同じように机に座り、みんなでフライトを振り返ります。
私は外資航空会社に先に就職してしまったので、フライト後のブリーフィングって意味があるのかなあと内心思いながら過ごしていました。
でも何か特別な事例があった時、例えば体調不良で倒れたお客様の対応で特別なことをした等、マニュアルに載っていないことをブリーフィングで共有するのであれば意味があることだと今は思っています。
なお外資航空会社と日系航空会社の違いについては、以下の記事でも解説していますのでご参考になさってください。
キャビンアテンダントの仕事内容まとめ
具体的なキャビンアテンダントの仕事内容は理解してもらえましたか?
今回はサービス面を中心にお話しましたが、CAの一番大切な仕事は保安面です。
サービスを一定の高いレベルで提供しつつ、お客様の安全を守ることを第一に考え行動しています。
意外と大変な仕事だと思われたんじゃないでしょうか。
これからCAを目指しているあなたの参考になれば幸いです。
それでは仕事内容に関して、簡単にまとめておきます。
- プリブリーフィングで情報共有
- 搭乗前の機内での準備
- 搭乗中の挨拶、お手伝い
- 機内での食事サービス、回収
- 機内販売の受付・販売
- 不審物、不審者チェック
- デブリーフィングでフライトの振り返り
もしあなたがキャビンアテンダントを本気で目指しているなら、仕事の内容を理解するだけでなく周囲の人とのコミュニケーション能力を磨いて下さいね。
また限られた時間と空間の中で働くCAにとって一回の動線でいくつの仕事をこなせるかという要領の良さも大切になります。
それには普段から頭の中で物事に優先順位をつける癖をつけておくといいと思います。
次回飛行機に乗った際には、気になったことはCAに聞いてみてください。
意外とみんな話しかけられると嬉しくなって色々教えてくれますよ!
なおキャビンアテンダントになる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさってください。