本来クレームは苦情や要望などお客様の声を直接聞く貴重な機会です。
お客様は不満があっても無言で去ってしまうのがほとんどと言われているからです。
しかし時に行き過ぎた要望や言動をするクレーマーには、何度対応してもうんざりしてしまいますよね。
【コールセンターでのストレス】クレームに向き合う心構え3つ
あなたはクレーム入電にあたった時、必要以上にストレスを感じてしまうことはありませんか?
そしてそのストレスがミスを誘発し、怒りを増長させ、状況が悪化・・・なんて経験もあるでしょう。
ここではそうならない為にクレーム対応のストレスに向き合う3つの心構えを解説します。
クレームはあなたへの個人攻撃ではない
コールセンターのオペレーター担当は、会社の代表として電話を受けています。
ですので、真摯に対応する姿勢は大切ですが、クレームを必要以上に背負い込んでストレスを溜める必要はありません。
なぜならあなたは「あくまで会社に対しての文句を代わりに聞いているに過ぎない」からです。
時にお客様も混同してオペレーター自身への攻撃に及ぶ人もいます。
ですが、私はそんな的外れな批判は聞き流すように努めています。
ご意見や苦情は客観的に受け止める様心がけてくださいね。
絶対に殴られる事はない
電話口だと顔が見えない分、対面時より過激な発言に至る傾向があります。
具体的には「殺すぞ」「今から殴り込みに行く」など、私も実際に言われて恐怖を感じたことがありました。
ですが、どんなに大声で威圧しても実際に殴られる事はないと気づいてからは、冷静さを保てる様になり、ストレスは減りました。
なぜなら電話では物理的に不可能だからです。
対面接客ではクレームが行き過ぎて手が出てしまう人もいますが、電話では手が届く事はありません。
また多くのコールセンターでは会社の所在地をお伝えしないという方針をとっています。
立場上、標的にされやすいオペレーターの安全を守るためです。
実際に私が働いたところでも会社の所在地の他にもフルネーム、年齢などの個人情報は一切教えない様に徹底されていたので安心して対応に臨めました。
ただし、どうしても怖い場合はエスカレーションをしても良いと思います。
度を越えていると判断された場合は上席対応に代わる可能性もありますし、そうならなくてもモニタリングなどでサポートが期待できます。
クレームはいつでも起こりうる
クレーム電話に焦ってしまう原因を考えた事はありますか。
それは油断しているところに突然やってくるからではないでしょうか。
私はコールセンターでは入電者の誰もがクレーマーになり得ると考えています。
なぜなら、そもそもお客様の多くは何かしら困っている事があるからコールセンターに電話をしてくるからです。
つまり表面化していなくても最初からネガティブ寄りの感情を抱えているという事です。
予めそう構えておけば、実際にクレームだった時でも落ち着いて処理できますし、日頃の対応も自然と丁寧になるのではないでしょうか。
そして結果的にクレームの早期解決や、お客様のクレーマーへの転化を未然に防ぐことになり、あなたのストレスを減らす事に繋がります。
【コールセンターのクレーム】タイプ別のストレス対処法
コールセンターではどんなクレームがあるのでしょうか。
ここではクレームのタイプとストレス対処のポイントを共に見ていきましょう。
感情的に怒鳴る
このタイプのクレームは解決策よりも心情理解を求めている傾向があります。
ですからまずは感情を吐き出してもらうのが大切です。
もし誤解が元でクレームになっていた場合でも、遮らずに最後まで話を聞きましょう。
なぜなら「自分の話を聞いてない!」とかえって怒りを増長させる事になるからです。
私が受けた電話の中でも、言いたい事を言えばそれで気が済んでしまう場合も少なくありませんでした。
急がば回れのつもりで聞き役に徹することで、ストレスを減らすことができます。
対応範囲を超えるサービスを要求する
クレームの中でも特に厄介で対応に苦慮するのは、「できるけどやっていない」サービスを要求するものではないでしょうか。
たとえば、私が携帯会社のテクニカルサポートにいた時に多かったのは「Twitterのサムネイルを設定したい」など、外部アプリの操作サポート希望からのトラブルでした。
対応できない事情を説明しお断りしてもいつまでも食い下がられると、
「簡単だし、今回だけと念を押せば教えてあげてもいいかな・・」と考えが頭に浮かびます。
早く終わらせたいし、知ってる事を教えないのは罪悪感もあるからです。
ですが、いかなる場合でも自己判断で特別対応をしてはいけません。
なぜならお客様に1度きりは通用しないからです。
「今回だけですよ」と念を押しても1度すれば必ず次もあるでしょう。
そして後日に「この前はやってくれた!」と不要なクレームとストレスを生む結果になります。
あまりにも納得して貰えない場合は、「確認をします」と1度保留を挟んでみましょう。
希望に沿えない結果は変わらなくても「あなたの困りごとを解決しようと試みています」という姿勢を見せるだけで、びっくりするくらいスムーズに納得することがあります。
同じ理由で人、時間を変えて対応する方法もあります。
クレーム先を勘違いしている
ある日、「充電できないんだけど!」と一言目から温度が高い電話を受けました。同じく携帯会社のコールセンターでのクレームです。
どうやら充電器が動作していない様でしたが、話を聞くと他社製品である事が判明しました。
当然、別の会社が販売している物への責任はありませんのでクレーム先が間違っています。
ですから当然訂正するのですが、その際は伝え方に気を付けましょう。
なぜなら誰しも間違いを指摘されるのは恥ずかしいものだからです。
ましてやさっきまで盛大に怒っていたとなれば引っ込みもつかないでしょう。
そんな状況で「あなたが間違っています」とストレートに事実をぶつけるとどうなるかは火を見るよりも明らかです。
「わかりにくい部分ではあるのですが、、」
「せっかくご連絡頂いたのにこのお電話で解決できず心苦しいのですが、、」
など意識的にクッション言葉を使い、お客様の心に寄り添った声掛けを心がけましょう。
あなたにとってもお客様にとっても、ストレス軽減につながります。
コールセンター側のミスによるクレームのストレス対処法3選
さっきまで何でもなかった人が突然クレーマーに変貌した経験はありませんか。
そんな「クレーマーの生みの親」にならぬ様に、ここではコールセンター側のミスによるクレーム対処法を解説いたします。
思い込みによる誤認識・誤案内
コールセンターでは毎日たくさんの電話を取ります。ですから何度も同じ問い合わせを受けるのは珍しくありません。
この際にやりがちなのが、いくつかのキーワードで「この件だろう」と勝手に判断してしまう事です。
思い込みで違う方向に話を進めてしまっても、当然、解決しません。
それどころか無駄に長引かせてクレームになります。
これは丁寧さより早さを優先するのが原因で、慣れた頃によく起こるトラブルです。
正確な事実の聴取なくして解決は成り立ちません。
その為に私は5W1Hを使用するようにしています。
どこで、誰が、何を、どうしたいのか、などお客様自身の口から明確に聞き出します。
具体的には、「〇〇で××だから~したいという事ですね?」と聞いてYESと言われるまで明確に掘り下げましょう。
そうする事で曖昧さをなくし、思い込みを防げます。
必死のあまり一方的に話してしまう
特にお客様の要望に応えられない時にやりがちなのがこの対応です。
断る瞬間は「クレームにならないだろうか」といつもひやひや緊張してストレスを感じますよね。
すると、どうしても気持ちが先行して一方的な説明になってしまいます。
私の場合、お断りをする時には、早く終わらせたい気持ちをぐっと堪えて、お客様の反応を確かめながら話をするように心がけています。
早口にもなりやすいので、気持ちゆっくりめを心がけると良いでしょう。
電話が保留になっていない、切れていない
最後に間抜けですが非常に多くストレスにもなりやすい、そして大炎上を招くパターンをご紹介します。
コールセンターでは確認の為に保留を挟む事がよくあります。
その際に操作が不十分で保留になっておらず、こちらの会話がお客様に筒抜けになるパターンです。
電話以外の会話だとついつい言葉遣いも軽くなり、お客様からしたら悪口と捉えられても仕方ない内容もあります。
ですからこの手のミスで発生したクレームは非常に大ごとになり、収集がつかなくなります。
私も過去に1度だけ保留を忘れたことがあります。
その時は幸い単純な質問だったので事なきを得ましたが、保留になってないのに気付いた時は本当に肝が冷えました。
やはり業務に慣れてきた頃に起きたミスです。
同じく、お客様との会話終了後、電話が切れていないために起こるトラブルもあります。
最後まで気を抜かない様にしましょう。
またあなたの近くの席のオペレーターが同じミスをしていないとも限りません。
センター内での言葉遣いは日頃から注意しましょう。
【コールセンターでのストレス対処法】クレームが嫌なら最後の手段は転職
それでもどうしてもクレーム対応によるストレスがつらい・・という場合には転職を検討する時かもしれません。
その場合、どういう転職先が有効か以下で解説していきます。
有料のコールセンター
あなたの勤務先が無料のコールセンターであるならば、有料のコールセンターへ転職はどうでしょうか。
有料とは、月額や年会費、もしくは1案件ごとにサービス料が発生するものをさします。あるいは、サービスが無料でも通話料が発生するものもあります。
- サービスは有料だが電話料金は無料
- PCのテクニカルサポートなど
- 悪質な電話や理不尽なクレームは少ないが、高い専門性を求められ、長時間対応になりやすい
- サービスは無料だが電話料金は有料
- 再配達受付センターなど
- 苦情は担当部署に取り次ぐので自分で解決しないが、電話料金がかかるので対応時間が長くなると理不尽なクレームになりやすい
- サービスも電話料金も有料
- クレジットカード会員専用デスクなど
- 悪質な電話や理不尽なクレームは少ないが、有料ゆえに顧客意識が高く、応対品質・対応時間など、あらゆることがクレームのきっかけになる
有料コールセンターでもクレームは発生しますが、いたずら目的の悪質な電話は圧倒的に少ないです。
なぜならお金を払ってまで嫌がらせをしようと考える人はあまりいないからです。
ただし通話料が有料のコールセンターの場合、フリーダイヤルではないために、通話料で揉めるケースが出てきます。
単純に無料か有料かだけで判断するのではなく、理不尽なクレームを避けたいのか、単にクレーム量を減らしたいのかなどにも注目して探しましょう。
アウトバウンドのコールセンター
コールセンターにはインバウンドと呼ばれる受信業務の他にもアウトバウンドという発信専門の仕事があります。
アウトバウンドではこちらからお客様に営業電話などをします。
向こうの都合を考えずに電話をかける事になるので、クレーム対応とは別のストレスがあり、タフさが要求されます。
しかしインセンティブという成功報酬がつく場合も多くやりがいがあります。
何より電話を受ける事はないのでクレームによるストレスに悩まされる心配はありません。
全く別の職種
もうコールセンターでのクレーマー対応は嫌だ。
それであれば思い切って別の職種への転職を検討しましょう。。
もし転職を考えるのであれば、仕事内容や給料などを考えるのはもちろん大切です。
その他にも業務上で絶対に嫌なこと、許容できることなど自分のボーダーラインを定めてから探しましょう。
例えば、事務職であればお客様との電話は少なく、クレーム応対の可能性は低いでしょう。
ですが、会社によっては取引先や営業担当などとの急を要する連絡など、電話応対は多い可能性があります。
逆に、接客業の場合は電話自体が少ないですが、お客様と対面するため直接クレーム応対をする可能性もあります。
ですが、どのような仕事を選ぶにしても、コールセンターで得た電話応対やPCのスキルは必須です。
あなたがコールセンターで頑張った経験がきっと役に立つことでしょう。
コールセンターに近い事務職に転職を考えているあなたは、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
コールセンターのクレーム対応によるストレス対処法まとめ
今回はコールセンター業務でクレームに向き合う心構えとタイプ別のストレス対処法を解説してきました。
簡単にまとめておきます。
- 【コールセンターでのストレス】クレームに向き合う心構え3つ
- クレームはあなたへの個人攻撃ではない事を覚えておく
- どんなに大声で威圧されても殴られる事は絶対にない
- そもそもクレームはいつでも起こりうる事を心に留めて電話に出る
- 【コールセンターのクレーム】タイプ別のストレス対処法
- 感情的なタイプは最後まで話を遮らずに感情を吐き出してもらう
- 対応範囲を超えるサービスを要求するタイプは自己判断での特別対応はせず、平行線を辿る時は時間や人を代えると有効
- クレーム先を勘違いしているタイプはストレートに事実を訂正せず、クッション言葉を使ってお客様に寄り添った声掛けをする
- コールセンター側のミスによるクレームのストレス対処法3選
- 思い込みによる誤認識・誤案内
- 必死のあまり一方的に話してしまう
- 電話が切れていない
- 【コールセンターでのストレス対処法】クレームが嫌なら最後の手段は転職
- 有料のコールセンターへ転職する
- アウトバウンドのコールセンターへ転職する
- 全く別の職種へ転職する
コールセンター業務ではクレーム対応は避けられませんが、対応方法や気持ちを切り替えるだけでストレスを減らす事ができます。
それでもクレーム対応がつらいあなたは、転職も視野に入れてみてください。