回復期リハビリテーション病棟では主に脳、神経、運動器の疾患の患者さんを対象に集中的にリハビリを行い、寝たきり防止や社会復帰を支援しています。
こう思っている看護師は少なくないようです。
看護師業界でもまだまだ役割の認知度が低い回復期リハビリ病棟。
今回は回復期リハビリテーション病棟の看護師にスポットを当て、役割からやりがいまで完全ガイド!
この記事を読むと以下の事が分かります。
- 回復期リハビリテーション看護師の役割、やりがい、悩み
- 回リハ看護師の資格、求人情報、参考書
- 回リハ看護師のスキルアップ方法
- 看護roo! ※療養型病院で絞込検索できる。首都圏・関西・東海エリアの求人数が業界最大規模
- レバウェル看護(旧 看護のお仕事) ※日勤常勤の求人数が多い。入職後は専門のアフターフォローチームがサポートしてくれる
回復期リハビリテーション看護師の役割
回復期リハビリテーション病棟における看護師の役割は本当にたくさんあります。その中でも特に重要な5つの役割をご紹介します。
体調管理
バイタルサイン(注)の測定や患者さんの全身状態の観察はどこに勤めていても必要とされる看護師の役割の1つです。(注)血圧、脈拍、呼吸、体温などの生命兆候
回復期リハビリテーション病棟では、患者さんをリハビリができる体調かどうかという視点で観察する事が非常に重要となります。
入院患者さんの大半は高齢者なので体力がなく、持病や大病の既往を抱えている人がほとんどです。
後遺症や認知症の影響で症状を訴えられない患者さんも。
そして、状態に合わせたケアを提供し、「リハビリができる体調」に整える事が重要です。
これが回復期リハビテーション看護の基本であり、最も重要な役割なのです。
生活支援
回復期リハビリテーション病棟の入院患者さんは病気や怪我の影響で様々な後遺症を抱えています。
看護師は患者さんそれぞれの状態に合わせて日常生活の支援を行っていきます。
これも看護師として基本的な役割の一つですね。
生活支援を行う際は、必要な介助を見極めることがとても大事です。
患者さんへ過不足なく生活支援を行うことが看護師の役割であり理想とも言えます。
リハビリテーションのサポート
回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの提供がメインとなりますが、出来るようになったことを病棟で定着させる支援も行っています。
リハビリスタッフと連携を図りながら、病棟で行うレクリエーションに参加してもらうなどして、動いてもらえるように促していくのです。
チームの調整
回復期リハビリテーション病棟では、1人の患者さんに医療チームで関わっていきます。
- 医師
- 看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士(患者さんの病状による)
- 管理栄養士
- 医療ソーシャルワーカー
この医療チームの中心となるのが看護師です。
医療チームのメンバーと連携しながら退院支援を行っていきます。
チームは様々な職種で構成されているので考え方もそれぞれ違います。
それぞれの考え方や持っている情報を共有するためにしっかりコミュニケーションをとっていく必要があるのです。
看護師は積極的にメンバーそれぞれとコミュケーションを取り、必要に応じてカンファレンス(話し合い)の場を設定したりします。
メンタルケア
回復期リハビリテーション病棟にはさまざまな患者さんが入院されてます。
多くの方は病気や怪我の影響でこれまで通りの生活ができなくなっています。
少しでも発症前に近づくようリハビリを行いますが、元通りに治る方は少ないです。
入院生活やリハビリによるストレスも加わりメンタルが不安定になってしまう患者さんが多いんです。
看護師は患者さんとその家族の苦悩や不安に寄り添い、入院中に少しでも解決できるようサポートしていく必要があります。
回復期リハビリテーション病棟は入院期間が長期になりやすいため、メンタルケアが非常に重要。
少しでも疑問を感じた場合は、いつもより頻回に患者さんの所へ通ったり、担当のセラピストに申し送ってリハビリ中も様子を見てもらったりしています。
入院期間中、常にそばにいる看護師だからこそできる役割とも言えますね。
回復期リハビリテーション看護師のやりがい
↑こちらのYouTubeでは、ざっくりと回リハ看護師の役割ややりがい、病棟の様子などが紹介されていますのでご覧になってみて下さい。
回復期リハビリテーション病棟は入院期間が長期にわたることが多いです。
入院期間が長いからこそできる看護もたくさんあり、患者さんと関わる時間が長いからこそ感じられるやりがいも多いです。
ここでは回復期リハビリテーション看護師のやりがいを4つお伝えします。
患者さんにじっくり寄り添える
前述したように回復期リハビリテーション病棟の入院期間は長いです。
そのため、じっくりと患者さんと向き合う事ができます。
私も若い時は急性期病棟にいましたが、入退院が激しく処置も膨大だったのでなかなか患者さんと向き合えていませんでした。
「これでいいのかな・・・」とモヤモヤする毎日でしたね・・・。
回復期リハビリテーション病棟に勤めるようになって、患者さんと向き合う時間ができて本当にうれしかったです。
経過が長い分、今でも悩むことが多いですが、
という患者さんの言葉に救われ、
という言葉と共に笑顔で退院していく患者さんを見ると達成感と充実感でいっぱいになります。
患者さんとじっくり関わりたい看護師さんにはとてもおすすめな環境ですよ。
チーム医療の中心になれる
医療チームが上手く機能するか否かは看護師次第といっても過言ではありません。
医師やその他のチームメンバーと情報交換をし、積極的に行動していく必要があります。
リーダー的な役割といってよいかもしれませんね。
本日は、『回復期リハビリテーション』についての記事をご紹介させていただきます。
命の危機を脱した後、大事なリハビリテーション。
回復期病棟では医師や看護師、リハビリスタッフはもちろん、様々な職種の医療関係者が一丸となって患者様をサポートします!!#回復期https://t.co/oPobcpoKml— ニューロテック研究会 (@xmHFkTk0TZJDZJf) August 18, 2020
こちらのTwitterでも回復期病棟は医療チームで関わっていくという事が紹介されています。
看護師は常に患者さんのそばにいますし、患者さんの家族と会話をする機会も多いです。
そのため、ほかの職種よりも患者さんの全体像がよく見えます。
一番患者さんと過ごす時間が多い看護師だからこそ、チーム医療の中心になれるのです。
先を見通す力が養える
回復期リハビリテーション看護師は、「患者さんがどこまで良くなるか」を予測して関わっていく必要があります。
また、退院後の生活環境を考慮し「退院までに何をしなければならないか」を早い段階で把握し、計画を立てることも必要です。
予後を予測しながら、患者さんに必要な事を計画に反映させていく。
試行錯誤の連続ですが、これを繰り返しているうちにだんだんと先を見通す力が養われていきます。
予測して動く力は看護師に必須です。
回復期リハビリでは先の先まで見通す訓練ができますし、試行錯誤しながら成長していけるのでやりがいがあります。
回リハ看護のスペシャリストを目指せる
回復期リハビリテーションでは観察力、コミュニケーション力やチームマネジメント力、先を見通して計画を立てる力がついていきます。
この力を伸ばしていけば「回リハ看護のスペシャリスト」を目指していけます。
需要が高まる中、回リハ看護のスペシャリストはますます必要とされるでしょう。
回リハ看護のスペシャリストになると、広い視野と裏付けされた知識・経験で患者さんにより質の高い看護を提供できるようになります。
また、それだけではなく看護師の教育に携わる機会も多くなります。
回リハ病棟の管理者になるチャンスも出てきますよ。
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回リハ看護師の悩み
回復期リハビリテーション病棟での役割ややりがいをお伝えしてきました。
私も看護師としてやりがいを感じながら働いていますが、もちろん悩むことも多いです。
ここでは、回リハ看護師の悩みを3つお伝えしますね。
看護技術が少ない
回復期はリハビリがメインとなるため、処置は一般病棟と比較すると少ないです。
看護師として様々な処置をしたい、技術をどんどん磨いていきたいという人には物足りないと思います。
私も久しぶりの手技にあたったらこっそり復習してから施行するようにしています。
使う看護技術が少ない環境なので一度覚えたことも忘れやすいのが悩みです。
技術は少ないですが、全くないわけでもありません。
調整が大変
先ほど看護師は医療チームの中心だとお伝えしましたね。
チームを運営していく上で大事なのは「報連相」や「情報共有」なのですが勤務が合わないのでなかなかメンバーで集まって話すことができません。
ほかにも、退院後の生活に向けた情報共有のため、医療チームのメンバーと家族、ケアマネなど在宅サービスのスタッフも交えて話をする機会も多いのですが・・・。
人数が増えることで更に調整が大変になるんです。
家族や在宅サービススタッフと話をする際、どうしても出席が難しい場合は代理のスタッフをたてて対応しています。
しかし担当が不在だとその場で結論が出せず、話が先延ばしになったり余計な手間が増えることもあります。
調整が大変で、思うようにマネジメントができず悩みます。
時には叫びたくなることもありますが、患者さんに無事に退院してもらえたときの達成感はたまりません。
看護サマリーが膨大になる
回リハは入院期間が長い患者さんが多いので、看護サマリー(患者さんの入院経過や状態を要約した資料)に書くべき情報も多くなりやすいです。
特に転倒や状態変化など、特記すべき出来事が多かった患者さんの看護サマリーは情報が膨大になります。
看護サマリーは「簡潔明瞭に、伝えるべき情報を過不足なく記載する」が基本です。
しかし、経過が長くトピックスも多いと何をどう書けば良いのか分からず悩みながらとにかく書き進める感じになります。
回復期リハビリ看護師の資格
回復期リハビリ病棟で働く場合、看護師以外で特別な資格は必要ありません。
しかし、回リハ看護のスペシャリストを目指すのであれば資格の取得をおすすめします。
ここでは回復期リハビリ看護師におすすめの資格を2つご紹介します。
回復期リハビリテーション認定看護師
これは一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会が認定している資格です。
認定コースでは各分野の活躍するエキスパートから講義を受ける事ができるので、更に質の高い看護を提供できるようになりますよ。
この資格を持っていると職場によってはお給料が増える場合もあります。
回復期病棟の看護師にはポピュラーな資格です。
回リハ看護のスペシャリストを目指す人にはぜひ取得していただきたい資格です。
一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会公式HP:http://www.rehabili.jp/index.html
運動器リハビリテーションセラピスト
これは一般社団法人日本運動器科学会が認定する資格です。
「セラピスト」という名称ですが看護師も取得することができます。
回復期リハビリ病棟では欠かせない運動器について深い知識を学ぶ事ができます。
実はこの資格、実は回リハ業界でもまだ認知度が低めなんです。
整形外科や回復期などに転職する場合は、評価される可能性もありますよ。
一般社団法人日本運動器科学会公式HP:http://www.jsmr.org/qualification_training.html
最近、病院の看護科以外で活躍している看護師の方々に興味を引かれます。
腎リハに携わっていた時期があったので、透析室所属の看護師の方々の業務を見学させて頂ける機会はありました。
今最も気になっているのは、リハビリ科に所属している運動器リハビリテーションセラピストの看護師の方々。— ピン子 (@Wr43hZBPc6w4YCn) July 27, 2019
こちらのTwitterでも書かれているように、同じ看護師からも注目を浴びつつある資格です。
回復期リハ看護師の求人事情
回復期リハ看護師の求人は多いです。
実際にインターネットで検索してみても、多くの求人を見つける事ができました。
それだけ回復期リハビリテーションを提供する場が増えてきているということですね。
回復期病棟は残業が少ないのでママさん看護師にも人気が高い傾向にあります。
なお、看護師の転職サイトについては、以下の記事で詳しく解説しています。
どうぞご参考になさってください。
【回リハ看護】役立つ参考書
回リハ看護を勉強する上で役立つ参考書をご紹介します。
私がおすすめするのは、リハビリナースという看護師の専門雑誌です。
リハビリ看護の最新情報や気になる症例へのアプローチ方法など回リハ看護師なら知っておきたい情報が豊富に掲載されています。
気軽に読めるところも気に入っています。
回リハ初心者さんだけではなく、新人看護師さんにもおすすめですよ。
回復期リハビリテーション看護師のまとめ
回復期リハビリテーション病棟は時間をかけて患者さんと関わっていきたい看護師さんにとてもおすすめです。
- 医療チームの中心としてコメディカルと協力していくのが特徴
- 時間をかけてじっくりと患者と関われる
- 看護技術を扱う場面は少ないが、回リハ独自のスキルを伸ばしてスペシャリストを目指せる
- 回リハのポピュラーな資格は回復期リハビリテーション認定看護師
- 求人は多く残業が少ないのでママさん看護師にもおすすめ
- 勉強するなら業界誌「リハビリナース」
私は回復期リハビリテーション病棟が大好きです。
患者さんと近い距離でたくさん関われるので、のんびりだけどしっかりと患者さんと向き合いたい私にとても合っていると感じています。
あなたもぜひ回リハ看護師のスペシャリストを目指してくださいね。
なお、応募時の面接対策については、以下の記事をご覧になってください。