看護学校の入学試験には面接があります。
そこで必ずと言っていいほど聞かれるのが志望動機です。
あなたはどう回答しますか?
看護師になりたい理由は人それぞれで、これが正解というものはありません。
だからこそ、どう答えればいいのか悩んでしまいますよね。
今回は「なぜ看護師になりたいのか」と面接で聞かれた時の回答方法について例文を交え解説します。
また、この質問は看護師の就職や転職の面接でも聞かれることがあります。
「そもそもあなたはなぜ看護師になりたいと思ったのか」と聞かれた時にも役立つので、きたるべきその日のためにもしっかり考えておきましょう。
「なぜ看護師になりたいのか」と面接で聞かれるワケ
入試面接で「なぜ看護師になりたいのか」と聞かれるワケはただひとつ。
応募先病院において、看護師としての責務を果たせるかを判断するため。
看護師は人の命をあずかる、とても責任の重い仕事です。
その現場に無責任で緊張感のない看護師がいたらどうでしょうか。
医療ミスを引き起こし、患者さんを危険な目にあわせてしまう可能性がありますよね。
看護学校を卒業し、看護師の国家試験に合格すれば、どんな人でも看護師と名乗ることができてしまいます。
ですから入試面接官が「なぜ看護師になりたいのか」と聞くことは当然のこと。
あなたが心から看護師として働きたいと思っているか、を見極めるために欠かせない質問なのです。
面接での回答NG実例【看護師の志望動機】
それでは私が看護大学の入試面接において、実際に回答した内容をご紹介いたします。
ただし以下にご紹介する私の回答は、模範回答ではなくNG例です。
どこがNGか考えながらご覧になってみて下さい。
私が看護師を目指した理由は、人の力になることが自分にとって大きな喜びだからです。
私は身体の不自由な人や困っている人を見かけると、力になりたいと感じます。
出来ることは限られていましたが、自分に何ができるか考え、行動することを続けてきました。
また、友人から悩み相談を受けるたびに懸命に話をきいて、どうしたら友人の力になれるか考えました。
困っていた人が嬉しそうな笑顔になったとき、私は心が温かくなるほど喜びを感じます。
これからは知識や技術をしっかり身につけて、助けを必要としている人たちをもっと笑顔にしたいと思います。
看護師には困っている人のそばに寄り添い、こころとからだのケアをする役割があると考えます。
私は困っている人のそばに寄り添って、その人が笑顔になれるよう支えたいので看護師を目指しました。
それでは解説します。
この内容では看護師「だからこそ」できることや、看護師「だけ」の魅力といったものが伝わってきません。
大切な部分を伝えられなかった私は、実際の入試面接の中で、さらに質問を受けました。
「こころとからだのケアをする役割をもつ職業は看護師以外にもありますが、そのなかで看護師を選んだのはなぜですか?」
この質問に対しては、このように答えました。
看護師は患者や家族にとって、身近な看護・医療のスペシャリストです。
医療知識が豊富であるため広い視野から患者のニーズを把握し、必要な支援につなげていくことができます。
困ったときに頼れる存在が身近にいると、安心して療養生活が送れると私は考えます。
看護師の役割を果たし、患者とその家族がより安心して療養できるように支えたいです。
面接で質問に答える時に大切なことは、あなたの回答が、あなた自身の経験や本音から生まれたオリジナルな内容であることです。
そうでなければ、さらに質問をされた場合に、答えることができません。
「なぜ看護師になりたいのか」のOK回答例文3選
入試面接で好印象を得るためのポイントは、あなただけが言えることを伝えることです。
それは決して大げさな話や難しい話、物珍しい話をするということではありません。
あなたが看護師になりたいと考えるきっかけとなった経験や出来事を、具体的に伝えればいいのです。
そうすれば同じような話をする受験生の中で、しっかりと印象に残してもらうことができます。
もうひとつのポイントはあなたが看護師の役割を担える事をアピールするということです。
看護師には必要となる資質がいくつかあります。
- 熱意や目標がある
- 自主的に学び続ける
- 誠実である
- 責任感がある
「これ、私にあてはまる!」
と思うものはありましたか?
過度にアピールする必要はありませんが、面接官に伝わるよう意識はしましょう。
そのことを具体的なストーリーと一緒に伝えられるといいですね。
それでは、面接で好印象が得られるOK回答例文を3パターンご紹介いたします。
看護師と関わった体験を回答
看護師を目指すきっかけとなった出来事や体験をもとに回答すると、あなたらしさが伝わりやすいです。
あなたがどう感じ、何を考えたのかを伝えることで、内容に共感しやすくなり説得力が出ます。
私が看護師になりたい理由は、入院した時に支えてもらった看護師さんのように、誰かの支えになりたいからです。
私は高校生の時に甲状腺の手術を受けるため、しばらく入院しなければなりませんでした。
手術への不安や、まわりに置いて行かれるのではという焦り、友達と離れている孤独感で毎日がとても苦しかったです。
そんな私の様子を見た看護師さんは、時間をとって私の話を聞いてくれました。
忙しい仕事の合間、退院するまで、私との関わりを続けてくれました。
辛い入院生活でしたが、看護師さんのおかげで気持ちを切り替え、乗り越えることができました。
体のことに加えて、心の声にも熱心に耳を傾けてくれる看護師さんはとても頼もしい存在でした。
このような経験から、私は看護師になりたいと考えるようになりました。
看護師の仕事は心身ともに苦しい人を支える、大変だけれどやりがいのある仕事だと思います。
私を助けてくれた憧れの看護師さんのように、私も患者さんの体と心を支えていけるような看護師になりたいです。
上記のように、看護師と関わった経験がきっかけで看護師を目指した場合、その経験について具体的に説明することでオリジナリティが出ます。
経験について説明するだけだと、あなたの考え方や人間性が全く伝わりません。
しかし思いや考えといった気持ちの部分まで語ることで、あなたの人柄や資質といったことが伝わります。
「看護師になりたい」というあなたの思いに説得力が増して、看護師の資質のアピールにもつながります。
あなたが看護師に関わった経験をどう感じ、何を考えたか。
一度振り返ってみましょう!
看護師の魅力について語る
面接で看護師の魅力について語る場合、看護師はどのような仕事だと考えているか、あなた自身の言葉で説明することが重要です。
誰かの受け売りではなく、自分自身で深く考えて出した答えを語れば、あなたの価値観や看護師への理解度、熱意が面接官に伝わります。
私が看護師を目指した理由は、患者さんと共に人間的にも成長し続けられる看護師に魅力を感じたからです。
私は中学生の時、職場体験で看護師について学びました。
そこでは看護師として学び続ける事の重要性を知りました。
職場体験で出会った看護師さんは
「知識や経験を総動員して、いい看護ができると嬉しい」
と話していました。
いい看護を行うために自己研鑽し続ける姿を見て、看護師はやりがいのある仕事だと感じました。
看護師には、患者さんの一番近くで患者を支える役割があります。
患者さんが安心して過ごすために、そばに寄り添う看護師の役割は大きいと思います。
私は将来、困っている患者さんから頼ってもらえる看護師になりたいです。
そのために知識を吸収し、経験を積み重ねて、人間としても看護師としても成長したいです。
知識だけでなく人間的な魅力も深められ、患者さんの力になれるやりがいのある仕事なので、私は看護師を目指しました。
この回答例では、看護師に自主的に学び続けることが求められる理由を、自分の経験から出た言葉で表現しています。
看護師がどのような仕事かしっかり考えた上で、看護師の仕事に意欲を持っていることが伝わってきますね。
医療分野は日進月歩の世界です。
看護師の役割を果たし続けるためには、常に学び続ける事が大切です。
あなたは看護師に魅力を感じますか?
それは具体的にどのような魅力でしょうか?
箇条書きで書き出してみましょう。
その中に先ほど紹介した看護師の資質に関わるものがあれば、積極的にアピールしましょう。
看護師への熱意や志を伝える
看護師を続けていく支えとなるものは、熱意や志です。
今の段階で既に熱意や志があるなら、それはとても素晴らしいあなたの強みになります。
私は看護師だった祖母の姿を見て育ちました。
患者から深く感謝される立派な看護師だった祖母に憧れて、私は看護師を目指しました。
私の祖母は、精神科病棟の看護師として働いていました。
当時、精神医療における考え方や治療方針は、大きく変化していく時代でした。
そのような状況の中、祖母は患者にとって最適な看護とはどういうものか、常に自分に問いかけながら仕事をしていたそうです。
そんな祖母の元には、退職した今でも当時の患者から、感謝の気持ちのこもったハガキや手紙が届きます。
私は祖母を見ていて、看護師は努力を続けることで人から深く感謝してもらえる、とてもやりがいのある仕事なのだと感じました。
祖母のように絶え間ぬ努力を続け、患者から感謝してもらえる看護師になりたいと思ったので、私は看護師を目指しました。
この表現からは、あなたの看護師への思いがとても強く伝わります。
看護師になってやりたいことや、どうしても看護師になりたいという熱意があるのなら、それがそのままアピールポイントになります。
なぜなら熱意や志があれば、大変なことや辛いことがあっても、踏ん張って成長していけるからです。
ただし、看護師になってやりたいことのイメージがまだはっきりしていない場合は、無理にアピールしない方がいいです。
「なぜ看護師になりたいのか」のNG回答例3選
看護学校の入試面接で、看護師の役割を果たせないと判断されてしまうような回答をするのは絶対避けましょう!
看護師に適した資質があるのに対し、看護師に向かないと思われる特性もあります。
具体的には、以下のような人が看護師に向かないと判断されます。
- 受身ばかりで自主的に努力をしない
- 不誠実な人格である
- 自分のことしか考えていない
- 志が低い
それでは以下に、NG回答例を3パターンご紹介いたします。
なぜダメなのか、考えながら読んでみてくださいね。
看護師になりたい理由は安定性だけ
看護師になりたい理由を、経済的な安定性のみで語るのはやめましょう。
看護師という職業は、給料が良く経済的に安定しているので、安心して働き続けることができると思いました。
経済の低迷が心配される時代、私自身不安に感じることも多いので、安定した職である看護師になりたいと思いました。
看護師が経済的に安定した職業であるというのは、確かに看護師の魅力のひとつです。
しかし、看護師になりたい理由が安定していることのみだったらどうでしょう。
面接官には「自分のためになるからなりたい」ということしか伝わりませんよね。
看護師は、病気やケガで困っている人のために働く仕事です。
自分のことしか考えていない人は、看護師に向いていないと判断されます。
看護師に向いていると言われたから
私が看護師になりたいと思った理由は、高校の先生に看護師に向いていると言ってもらえたからです。
私には思いやりがあり、人のために頑張れる良さがあると先生は言ってくれました。
先生の後押しもあって、私は看護師を目指そうと思いました。
誰かに看護師に向いていると言ってもらえたこと自体は、強みと言えます。
しかし、それを自分がどのように感じ、考えて、自分の意志で決断したかというところまでが必要です。
この回答例では、言われた通りにしか動けない、受け身の人だと思われても仕方ありません。
これほど極端ではなくても、受け身の姿勢を感じ取られると、熱意や将来の姿に不信感を持たれてしまいます。
調べた内容を面接でそのまま使う
私が看護師になりたい理由は、誰かのために働ける仕事をしたかったからです。
看護師は病気で苦しむ患者さんにとって、最も身近な職種だと考えます。
患者さんが困ったときにまず呼ぶのは看護師で、頼りにされる存在でもあると思います。
病気で苦しみ、助けを必要としている人を支える仕事は、とても魅力があると思います。
その中でも看護師はベッドサイドで患者を見守る、やりがいのある仕事だと感じたので看護師を選びました。
この回答例では、看護師について調べた内容や一般論をまとめて話しているだけで、自分自身の経験談が全くありません。
看護師について調べたことに対して、あなたがどう感じ、考えて看護師になろうと思ったのか。
面接官が看護師を任せられるか判断するため、知りたいのはこの部分なのです。
「あなたが誰かのために働けるような仕事がしたい、と思ったきっかけは何ですか?」
「あなたはなぜ、ベッドサイドで患者を見守る仕事にやりがいを感じるのですか?」
入試面接では、回答にあいまいな部分があれば、より深い内容を聞かれます。
調べただけで満足し、自分で考えることをしなかった人は、具体的な質問には答えられないのです。
なお以下の本は、志望動機の答え方はもちろん、面接全般にわたり詳しく解説されています。
看護師の採用面接に万全の対策をしたい場合は、参考にして下さい。
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「なぜ看護師になりたいのか」と面接で聞かれた時の回答方法まとめ
「なぜ看護師になりたいのか?」
看護学校の入試面接で聞かれた時どう答えればいいのか、OK・NG回答例を交えて解説しました。
短時間であなたのよさをしっかりと伝えるためには、一般論はいりません。
事前にしっかりと伝えたいことを整理し、あなただけが語れる回答を準備して面接にのぞみましょう!
- 面接の目的は看護師の役割を担えるか判断すること
- 求められているのは、あなた自身の経験や本音から生まれたオリジナルな回答
OK回答例3パターン
- 看護師と関わった経験を回答
【あなたがどう感じ何を考えたのか伝える】 - 看護師の魅力について語る
【あなた自身の言葉で語る】 - 熱意や志を伝える
【どうしてもなりたい理由をアピール】
NG回答例3パターン
- 看護師の魅力は安定性だけ
【自分勝手な印象を与える】 - 誰かに勧められた
【受身だと思われる】 - 調べた内容ばかり話す
【自分で考えていない】
しっかりとした準備ができていると、面接の本番も思ったほど緊張しないものです。
「看護学校合格」という最高の結果を手に入れるために、質問の意図を理解し、効果的な回答方法をしっかりおさえて、面接対策に活用してください。
またあなたの中の「なぜ看護師になりたいのか」という想いは看護師人生のなか、どこの職場で働くにしても忘れずに大事にしたいものです。
なお、看護師が就転職の際、面接で落ちる原因と対策ついて以下の記事で詳しく解説しています。
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