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【事実】派遣SEのメリット・デメリットを完全解説【体験談あり】

SEへの転職を考えているあなたは、IT転職サイトを一度は見ているのではないでしょうか。
IT業界の転職サイトには「派遣」という言葉が多く見られます。

派遣」という働き方はSEに限った事ではありませんが、IT業界では良くある働き方です。

そこで、SEの派遣について、詳しく知りたいところですよね。
本記事では以下のような疑問にお答えします。

  • SEの派遣と正社員では何が違うの?
  • 派遣SEになるメリット・デメリットは何?
  • 派遣SEになるにはどうすればいいの?

今回は、SEの派遣の特徴やメリット・デメリットについて、SE歴25年、内派遣SEを19年勤めてきた私が経験談を交えて解説します。

正しいSEの「派遣」とは

SEの「派遣」について、自分の勤めている会社の取引先や契約している顧客へ出向することをSEの派遣と呼ぶ方もいますが、正式には雇用形態が「派遣」のことであり、派遣会社と派遣契約しているSEを指します。

SEの「派遣」とは

=派遣会社と契約して派遣社員になり、顧客の職場に出向する
✖=正社員になり、会社が契約している顧客の職場に出向する

派遣のSEのメリット・デメリット

SEの派遣社員にはどんな特徴があるのでしょうか。
このパートでは派遣SEのメリット・デメリットについて解説いたします。

派遣は残業が少ない

正社員SEの場合、顧客に対し責任ある立場でプロジェクトを受け持つため、作業量が多く残業することとなり労働時間が長くなります。
それに比べ派遣SEは、仕事を選ぶ時に作業範囲が明確になっており、正社員のような責任ある立場にはならないため、極端に作業量が増えるようなことはなく残業も少ないのです。

SEの仕事は残業が多くプライベートの時間がないと言われますが、派遣は残業が少なく、プライベートの時間が作りやすい働き方ともいえます。

派遣SEは仕事を選べる

正社員SEは、会社が顧客から請け負った開発案件の中でSEの仕事をする事になります。
そのため、開発案件や開発工程は会社の指示に従うことになり、自分で仕事を選ぶ事はできません。

派遣SEの場合、派遣会社が請け負っている案件の中から自分のスキルに合わせ、案件内容や開発工程を選ぶ事ができます。

派遣の仕事は高額報酬が多い

派遣SEの報酬は月50万以上の高額になることは少なくありません。

例えば、30歳の正社員SEの月額給与の平均は約32万ですが、派遣SEであれば年齢に関係なくスキルで仕事を選ぶため、月50万以上の報酬を得ることができるのです。
(参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」)

派遣SEの報酬が高額になる理由がいくつかあります。
次項「会社の保障面は期待できない」に詳しくあげてありますが、派遣の場合、交通費は自己負担ですし賞与・有給休暇もありません。
会社が保障しない分、報酬額が高いともいえるのです。

派遣で会社の保障面は期待できない

正社員であれば、福利厚生、有給休暇、交通費の支給、賞与、など、会社の保障がしっかりしているのが一般的です。
また、納税などの面倒な手続きも会社が行ってくれます。

派遣の場合は、会社の保障はなく全て自己負担になり、納税などの手続きも全て自己責任で行います。
つまり、国民健康保険に加入し、確定申告して納税する手続きをすべて自分で行うのです。

最近では福利厚生など保障をしてくれる派遣会社が出てきましたが、正社員のような保障には程遠い内容です。
「会社の保障という安心」を求める方には派遣は不向きですね。

派遣SEでキャリアアップは望めない

派遣SEで仕事をするという事は、今まで培ったキャリアと持っているSEのスキルを基ベースに派遣会社を通じて開発の仕事に就くという事です。

企業側の考えは、正社員には企業に必要となる人材に育てるための教育を想定していますが、派遣は企業の即戦力として期間を決めて雇うため、派遣社員に対する教育は想定していません。
派遣SEに対しては企業が必要なスキルを持っている人を求めており、企業が求めているスキルがない人は必要ないのです。

プロジェクトマネージャーになるための勉強を兼ねた職場経験を積みたい、というようなキャリアを積む為の教育を派遣先の企業に望むことはできないと考えておきましょう
「キャリアアップを目指したい」「新しくスキルを習得したい」という考えであれば、派遣SEではなく正社員になることを勧めます。

派遣の社会的信用が低い

正社員に比べ、派遣は社会的信用や身分が低いといわれます。
大きな理由として、派遣は継続的な仕事ができないことから、収入が安定しないという点です

例えば、車や住宅の購入でローンを組みたい場合、派遣社員の収入に対する信用は低いと判断され、ローンの審査は正社員に比べると厳しくなる傾向にあります。
その点、正社員は仕事の有無にかかわらず会社から給与が支給されるので、収入は安定し信用が高いと判断されるのです。

派遣は同じ職場で継続的に仕事ができない

派遣には契約期間があり、事業所単位の雇用期間3年に加え、2015年9月30日の派遣法改正で個人単位の雇用期間3年が決まりました。
(参考:厚生労働省 労働者派遣法)

派遣期間の制限
  • 事業所単位の期間制限
  • 同一の派遣先の事業所で労働者を雇用できる期間は最長で3年です。
    派遣先が3年を超えて労働者を雇用したいならば、派遣先の過半数労働組合からの意見聴取が必要となります。
    また、一回の意見聴取で延長を行える期間は3年です。

  • 個人単位の期間制限
  • 同じ人が同一組織で働ける期間は最長3年です。
    途中で業務内容が変わっても同じ部署では3年以上働けませんが、 他の部署に移れば同じ業務内容でもさらに3年働くことができます。

ここで気を付けなくてはならない事として、「派遣期間が最長で3年」ということです。
個人単位の派遣期間の制限ができた事により、個人としては3年経っていないのに、派遣元が事業所単位の期間制限にかかったために短縮されてしまう可能性があるのです。

この様に、派遣は3年以内で職場が変わる事から、いろいろな開発の職場を経験したいという方にとってはメリットとなります。
ですが、同じ職場で長く勤める事を求めているのであればデメリットになるため、派遣ではなく正社員のSEになることを勧めます。

次の職場が決まるまでの間は収入がない

派遣SEは、勤めた期間と時間に応じて報酬を受け取ります。

前項にもありように、派遣には期間の制限があるため職場を移る事は必然です。
派遣期間が終わると派遣会社から次の仕事の紹介をしてもらい、仕事を選んで派遣先企業と面接をし、Okとなってやっと次の職場が決まることになります。

次の職場が決まるまでの間は仕事に就いていませんので、その間の収入はありません。

正社員であれば、開発の仕事が途切れたとしても会社が給与を支払ってくれますので、収入が途切れる事はありません。
継続的な仕事を求めるのと同様に、継続した収入を求めるのであれば正社員SEを勧めます。

派遣期間を利用してプライベートの時間が作れる

派遣は期間の制限から職場を移らなくてはなりませんが、次の職場に移るまでの時間を調整することも可能です。
つまり、「次の仕事〇ヶ月後に始まるようにしたい」と派遣会社に依頼をすることができるのです。

職場を移る時間を有効に使って、ちょっとした夏休み感覚でプライベートの時間が過ごせるのは大きなメリットとも言えます。
もちろん、その間は収入がありませんから、プライベートを有意義に過ごすための金銭面の準備も必要にはなりますよ。

私が派遣SEを選んだ理由【体験談】

私は、SE歴25年の内、社員で6年、派遣社員で19年勤めてきました。
その中で、派遣SEを選んで続けてきた理由、職場で感じたメリット・デメリットについてお話しします。

正社員6年間でSEのスキルを習得

私は新入社員としてシステム開発の会社に入社し、金融系大手企業のシステム開発に出向しました。
IT業界の企業構造をよく知らないままシステム開発の会社に就職したので、後になって入社した会社が大手SIer企業の下請け会社だとわかりました。

大手SIer企業の開発に6年間出向して務め、SEとしてのスキルを一通り身につけることができました。
そして、開発職場の実態として「下請け会社のSEでは、顧客との要件定義を任せてもらえない」という事がわかり、今のままではこれ以上のキャリアもスキルアップも望めないと感じたのです。

キャリアアップを望めないことが派遣SEへのきっかけ

私が大手企業SIerSEであれば、女性でもキャリアアップが望めたと思います。
実際、取引先の大手企業SIerの女性SEはプロジェクトマネージャーに抜擢され、キャリアをしっかりと身につけていました。

しかし、下請け会社のSEではどんなに仕事を頑張っても要件定義を顧客と直接できる事はなく、顧客との打ち合わせに参加しても案件内容を理解するための参加でしかなかったのです。
今の職場環境ではこれ以上のキャリアとスキルアップが望めないとわかり、6年培ったSEスキルを活かして転職することを決めました。

大手企業システム開発6年というスキルがあるので、大手SIer企業への転職か、派遣SEへの転職か、と2択に見えますが、15年前のIT業界で20代後半の女性SEが大手SIer企業への転職は難しい時代だったのです。
それに比べ派遣SEでは月50万以上の案件が多数あり、おのずと派遣SEを選ぶ事になりました。

派遣SEは取引先との個人面接を行う

派遣会社と契約をして派遣先を紹介してもらう事ができたのですか、最初に驚いたのは派遣先との面接でした。
正社員の時には開発の仕事を会社同士の契約で請け負っているので、取引先との個人面接というものはありませんが、派遣SEは派遣会社を通じて派遣先と個人面接をします。

この面接で重要になるのが「SEスキルシート」です。
この「SEスキルシート」で、企業にとって即戦力として求めている人材かどうか判断されるのです。

派遣SEで月の報酬が50万以上

また、派遣会社から職場の紹介をもらった時に、高額報酬であることにも驚きました。
正社員の時は、20代後半の女性SEで約年収350万程度でしたが、20代後半の女性としては悪くない方です。

しかし、派遣SEとしての最初の報酬額は月50万以上、年収に換算すると約600万の収入になったのです
国民健康保険に加入し、自分で確定申告をして納税をする手間はありますが、年収が大幅に上がることを考えれば苦にもなりませんでした。

開発の職場に1人で派遣

面接にも無事合格し職場が決まったのですが、派遣先には1人で出向することになりました。
SEの派遣では、職場に1人で出向することは珍しくありません。

正社員ですと会社で開発チームを編成するので同じ会社の社員と仕事ができるため、わからない事があっても同じ会社内で助け合いながら仕事をすることができますが、派遣の場合はそれができません。
ですから、1人でも職場でコミュニケーションを取りながら仕事ができるだけのスキルがないと、派遣SEとして仕事することは難しいのです。

次の職場が決まるまでの時間でリフレッシュ

派遣SEとしての働き方がわかってくると、次の職場が決まるまでの時間を有意義に過ごせるようになりました。
派遣先との面接などで職場が決まるまで1~2カ月かかりますが、いい休息になります

正社員では残業が多く仕事に追われる生活が続いていたので、派遣先の職場が決まるまでの時間を「ちょっとした夏休み」という気分で過ごすことができ、気分がリフレッシュされたのを覚えています。

自分の時間を大切にしながら働ける派遣SE

最近では「自分の時間を大切にする働き方」を求める人が増えており、「派遣」という雇用形態がその1つとして広まっているのです。

私も、20代ではSEの仕事を覚える事に夢中になり、仕事中心の生活をしていましたが、派遣SEになったことで自分の時間を大切にしながら働ける生活の充実感を知ることができたのです。
これが、派遣SEを続けた大きな理由でもあります。

しかし、派遣SEはスキル無しできる働き方ではありません。
正社員でしっかりSEのスキルを身につける事が必要です。

派遣SEになる方法

派遣SEになるには、ITの仕事を取り扱う派遣会社に登録しなくてはなりません。
IT派遣会社を選択する際は、大手企業の取り扱いが多い派遣会社に複数登録することがセオリーです。

IT派遣会社を選択する理由は、取り扱っているIT案件数が多いからです。
特に、大手企業の案件が多い派遣会社を選びましょう。

大手企業はホワイト企業が多く、コンプライアンスがしっかりしています。
大手企業の派遣の報酬は中小企業の派遣の報酬より高い傾向にあり、大手企業への派遣条件は良いことが多いのです。

派遣会社は複数登録したからといって、何か問題があるわけではありません。
複数の派遣会社に登録した方が大手の求人が見つかる確率が2倍、3倍と増えます。

派遣会社は最低でも2~3社登録しておくことをお薦めします。
代表的なIT派遣会社は、以下の通りです。
「リクナビ派遣」はIT特化ではありませんが、派遣大手だけあってIT派遣会社に劣らない案件数を保有しているのでご紹介しておきます。

「SEの派遣」まとめ


これまでにあげた派遣SEの特徴やメリット・デメリットについてまとめてみました。

SEの派遣の特徴、メリット・デメリットのまとめ
  1. 正しい「SEの派遣」とは、雇用形態が「派遣」であること
  2. 派遣SEは正社員SEに比べて残業が少ない
  3. SEの派遣は自分のスキルにのあった仕事を選べる
  4. 派遣の仕事は高額報酬が多いが、会社の保障面は期待できない
  5. 派遣SEではキャリアやスキルアップは望めない
  6. 派遣の社会的信用が低い理由は収入が不安定であること
  7. 派遣は同じ職場で継続的に仕事ができず、次の職場が決まるまでの間は収入がない
  8. 派遣期間を利用してプライベートの時間が作れる
  9. 派遣SEは自分の時間を大切にしながら働くことができる【体験談より】
  10. 派遣会社を選ぶポイントは大手企業の案件が多いこと
  11. 派遣会社は最低でも2~3社登録する

私はSE歴25年のうち19年を派遣SEとして働いてきました。
私にとって「派遣SE」という働き方は、SEのスキルを活かして仕事に就くことができ、さらに自分の生活を充実させることができるものでした。

今はSEとしてのスキルがない方でも、正社員SEとして働いている方も、先々派遣SEとして働く事があるかもしれません。
あなたがSEの働き方の選択する場面に遭遇したとき、私の派遣SE体験談を参考にしていただければとても嬉しく思います。

なお派遣SEをする前に最低限取っておくべき資格を、以下の記事で確認しておきましょう。
それによって派遣先の選択肢が増えたり報酬に差がつくこともあるので、まだ取ってない場合は早めに取得しておきたいものです。

SEが取るべき資格3選|オラクルマスターの勉強法まで解説!私はSEとして10年間仕事をしています。 主な業務はプロジェクトマネージャーです。 システム開発、運用、保守と様々な現場を体験してき...
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